ワンランク上のコンデンサー・マイクで歌録りのパフォーマンス&録り音を向上させたい方向けに、10~20万円台の現行モデル15機種をエンジニア&ボーカリストがレビュー!ここでは、UNIVERSAL AUDIO Sphere LXを紹介。クラシック・マイクの数々を再現するモデリング・システムです。
名機とされるマイクの数々を再現するモデリング・システム
FET仕様のマイクとプラグインから成るモデリング・システム。プラグインは、クラシック・マイクの数々が再現されたプリセットを搭載し、Mac/Windowsをサポート。AAX/AU/VST2&3に準拠する。同社Apolloシリーズを併用すれば、リアルタイム処理にも対応。
価格:オープン・プライス(市場予想価格:139,700円前後)
●発売年:2023年 ●ダイアフラム径:35mm(実測値) ●指向性:無~単一~双 ●アンプ回路:FET ●ハイパス・フィルター:60/100/200Hz ●PAD:非搭載 ●出力インピーダンス:200Ω ●外形寸法:50(φ)×195(H)mm ●重量:約545g
【Engineer】再現元のマイクと区別がつかないほどの精度 〜中村公輔
名機と呼ばれるマイクの数々を再現できる“マイク+プラグイン”のシステム。1本のマイクでさまざまなカラーのサウンドが欲しい人には、最適なソリューションですね。
同社のオーディオI/O、Apolloシリーズを併用すればニアゼロ・レイテンシーでのプラグインかけ録りが可能ですが、今回はマイクで素の音を録ってから、録音後にプラグインをかけてみました。使用したプリセットは、AKG C 414やNEUMANN U 87、U 47などを再現したと思われるものです。シミュレート元になったマイクを用いて比較してみたら、“これは区別がつかない人もいるかもしれない”と思いました。オリジナルと似ているかどうか、という視点で言えば、名機を再現した実機のマイクよりSphere LXのプリセットに軍配が上がる場合も多いと思います。
【Male Vocalist】ノリ良くアグレッシブに歌える 〜高畠俊太郎
マイクの素の音をモニターしていて、ロック寄りなノレる感じだと思いました。ノレないとテイク自体がおとなしくなってしまうけど、このマイクならアグレッシブに歌えると感じます。平歌の部分では高域がよく出ると思いましたが、サビで声を張ると思いのほか耳に痛い感じがなく、これはアリだなと好印象。低域に関しても問題なく出ていて、歌いやすかったです。
【Female Vocalist】中域から高域にかけての成分が奇麗に出る 〜シバノソウ
高域がキラキラしていて、良いなと思いました。張って歌っても耳に痛い感じがせず、中域から高域にかけて奇麗に出てくれる印象です。マイク自体のコンプ感があまりなかったので、空気感を多く含むのかなと思ったのですが、プレイバックを聴いたらさほど多くはなく、中~高域がしっかり前に出ているイメージ。明るめに録れるマイクなので、エネルギッシュな音楽に良いと思いますね。
製品情報
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レビュワー紹介
Engineer|中村公輔
特集のイントロでも健筆を振るってくれたエンジニアの中村公輔氏。今回は、普段からエンジニアリングで携わっているボーカリスト2名を招いて、モニター音やプレイバックを聴き、各マイクを評価した
Vocalist|高畠俊太郎
LOOP LINE PASSENGERで活動中のボーカリスト/ギタリスト/ソングライター。今回は、同バンドのミドルテンポ・ロック・チューン「life」を歌い、各マイクを試した
Vocalist|シバノソウ
アーティスト/シンガー・ソングライター。2020年にリリースしたアルバム『あこがれ』からエモーショナルなポップ曲「あこがれの先」を選び、製品チェックに臨んでくれた