EARTHWORKS SR314 ~【10~20万円台】ワンランク上のコンデンサーマイク15本をレビュー

ワンランク上のコンデンサー・マイクで歌録りのパフォーマンス&録り音を向上させたい方向けに、10~20万円台の現行モデル15機種をエンジニア&ボーカリストがレビュー!ここでは、30kHzまでの高域特性を実現したEARTHWORKSのハンドヘルド・マイク、SR314を紹介します。

応答の速さを特徴とするステンレス筐体のハンドヘルド機

EARTHWORKS SR314

 スモール・ダイアフラムやFETのA級アンプを備え、30kHzまでの高域特性を実現したハンドヘルド機。ステンレス筐体はヘビーデューティに作られ、スタジオ品質の音をライブ・ステージでも得られるという。入力音声に対する応答の速さも、メーカー自信のポイント。

価格:104,500円

●発売年:2019年 ●ダイアフラム径:15mm(実測値) ●指向性:単一 ●アンプ回路:FET ●ハイパス・フィルター:非搭載 ●PAD:非搭載 ●出力インピーダンス:65Ω  ●外形寸法:40.6(φ)×181.1(H)mm ●重量:680g

【Engineer】クリーンさが際立つキャラクター 〜中村公輔

 ツルツルに磨かれた大理石のような音ですね。ボーカル用コンデンサー・マイクは、中域にダイナミック・マイクのようなザラつきを持ちながら、高域と低域を伸ばしたような特性になっていることが多いのですが、本機は中域に粗い部分が皆無で、フラットに素早く反応することを狙っている印象です。無味無臭な印象になるかと思いきや、その線を突き詰めているために、ほかのマイクと比べてクリーンさが際立つキャラクターに感じられます。さすが、測定用マイクを得意とするメーカーの製品ですね。

 4~5kHz周辺が控えめで歯擦音が柔らかく出るものの、10kHzや15kHz辺りが持ち上がっているため、トータルでは高域のプレゼンスを感じます。クリア系のマイクを求めるなら第一候補になりそうですし、特にウィスパー・ボイスとの相性が良さそうです。

【Male Vocalist】思い切りダイナミクスを付けて歌える 〜高畠俊太郎

 低域から高域までバランス良く出ていて、特に中低域がツルッとした質感なので歌いやすいです。どんな歌い方をしても声の粒立ちがきめ細かく収音され、自分の声のおいしい部分をしっかり捉えてくれますね。また、高音域で声を張ってもモニター音が耳に痛くならないため、思い切りダイナミクスを付けて歌える。だから、のびのびとパフォーマンスできるんです。

【Female Vocalist】高域が奇麗でまとまりのある音像 〜シバノソウ

 録音中に、ちょっとうまく歌えていないかな?と思ったのは杞憂で、プレイバックを聴いたらしっかり録れていて“すごい!”と。私の声の場合、特に高域が奇麗に録れていると感じました。まとまりのある音像という印象で、このマイクがマスタリングしてくれているかのよう。ボーカル・グループやコーラスに使うと、個々の声がしっかりまとまってバランスが取りやすそうですね。

製品情報

レビュワー紹介

中村公輔

Engineer|中村公輔
特集のイントロでも健筆を振るってくれたエンジニアの中村公輔氏。今回は、普段からエンジニアリングで携わっているボーカリスト2名を招いて、モニター音やプレイバックを聴き、各マイクを評価した


高畠俊太郎

Vocalist|高畠俊太郎
LOOP LINE PASSENGERで活動中のボーカリスト/ギタリスト/ソングライター。今回は、同バンドのミドルテンポ・ロック・チューン「life」を歌い、各マイクを試した


シバノソウ

Vocalist|シバノソウ
アーティスト/シンガー・ソングライター。2020年にリリースしたアルバム『あこがれ』からエモーショナルなポップ曲「あこがれの先」を選び、製品チェックに臨んでくれた

サウンド・チェックをした場所:マジコンスタジオ

マジコンスタジオ

製品チェックは、am8でのアーティスト活動で知られる冨田恭通氏が主を務めるマジコンスタジオで敢行。写真は、SSLのアナログ卓AWS900(初期型)を擁するコントロール・ルームの様子。各マイクをNEVEのマイク・プリアンプ1073で増幅し、AVID Pro Tools | HD I/Oを介してPro Toolsへ24ビット/96kHzで録音した

マジコンスタジオのボーカル・ブース

ボーカル・ブース

特集|ボーカル用マイク、次はどれにする? ワンランク上のコンデンサーマイク15本をレビュー