Yaffle × APOGEE Duet 3 〜Duet 3は所有欲をかき立てられるプロダクト・デザイン

Yaffle × APOGEE Duet 3 〜Duet 3は所有欲をかき立てられるプロダクト・デザイン

 ハイエンドなオーディオI/Oを提供するAPOGEEから、シリーズ第3世代となるDuet 3が登場した。コンパクトかつ、フラッグシップ・モデルと同等のサウンド・クオリティを実現していることも魅力だが、このDuet 3では新たにDSPを内蔵。同社の対応プラグイン・エフェクトを使ったかけ録りが行えるのもポイントとなっている。この連載では、クリエイター/エンジニアにDuet 3を試していただき、その秘められた能力を探っていく。今回Duet 3をテストするのは、小袋成彬や藤井 風、iriなど、多くの新世代ミュージシャンの楽曲に携わっているプロデューサー/トラック・メイカーのYaffleだ。

Photo:Takashi Yashima

APOGEE Duet 3〜DSPのパワーを得た第3世代

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 Duet 3(77,000円/9月30日までのイントロ・プライス)は2イン/4アウトのオーディオI/O。トップ・パネルはインジケーターと大きなロータリー・エンコーダーのみを装備するというシンプルなデザイン。表面には強化ガラス(ゴリラ・ガラス)を採用し、持ち運び用途も考えられた堅牢な設計となっている。ブレイクアウト・ケーブルを介して入出力が可能。別売りのDuet Dock(22,000円)を装着すれば、リア・パネルに各接続端子を備えることができる。USB-Cポートは2系統を用意し、USBバス・パワーだけでなく、外部電源供給でも駆動する。

ハイエンドなオーディオI/Oでも美しいものを持っていたい(Yaffle)

 Duet 2を持っていて、2020年にリリースしたソロ・アルバム『Lost, Never Gone』でも使いました。Duetを選んだ理由の一つは見た目の良さ。所有欲をかき立てられるようなプロダクト・デザインだと思います。ハイエンドなオーディオI/Oになると業務用っぽい見た目のものも多いですが、どうせなら美しいものを持っていたいと考える人も多いでしょう。例えばギターなどの楽器は見た目にもこだわっていたりしますよね。トラック・メイカーにとってのオーディオI/Oは、演奏者にとっての楽器と言えます。だからDuetシリーズのようにデザインを追求した製品がもっとあってもいいと思うんです。

 

 Duet 3のサウンドは、APOGEEらしいガッツのある音。低域も出ていてトランジェントも強めで、スナップが効いたようなサウンドです。現代的なトラックは映えるでしょう。オーディオI/Oはできるだけフラットな音質が良いという考え方もありますが、パンチが物足りないオーディオI/Oを使っていると、例えばクラブ映えするようなトラックは作らなくなってしまうと思うんです。トラック・メイカーはゼロから音を作るので、オーディオI/Oの持つサウンドは曲作りに影響してくるはずですし、自分の作るサウンドの方向性によっては音に個性のあるオーディオI/Oを選ぶのもありだと思っています。そういう意味でも僕はAPOGEEのサウンドが好きなんです。

 

 Apogee Control 2の操作性は分かりやすく、ループバック機能が付いているのが良かったですね。今は配信者だけじゃなくトラック・メイカーとしても必須の機能になっていると思います。また、前のモデルと同じくゲインをオフにしたライン入力ができるのもうれしいポイントです。家やスタジオではお気に入りのプリアンプで、外出先では内蔵のプリアンプでドライブするということができます。

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Apogee Control 2では、Duet 3のマイクプリ・ゲインやアウトのボリュームなどを調整できるほか、2系統のミキサーを使ってメイン・アウトとヘッドフォン・アウトへ別々のミックスを送ることも可能だ

 本体に装着するDuet Dockを使うとまた使い勝手が変わってきそうですね。外出時にはブレイクアウト・ケーブルと本体を持っていき、自宅に戻ってきたら入出力のケーブルをつなげっぱなしにしたDuet Dockに装着して使うということができます。現代の制作スタイルを考えて作られている印象を受けましたね。

 

Duet Dock

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 Duet 3に取り付けることで、背面に入出力端子を装備できるDuet Dock(22.000円)。ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)、マイク・イン(XLR)、ライン・イン(フォーンL/R)、メイン・アウト(フォーンL/R)、USB-C端子×2(パソコン接続用と電源供給用)が並ぶ。オーディオI/Oを持ち運ぶことが多いというYaffleは、自宅制作時と外出時の使い分けに便利そうだと語った。

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