「CLASSIC PRO PM08」製品レビュー:軽量&コンパクト200W×2の出力を実現したパワード・ミキサー

CLASSIC PROPM08
 CLASSIC PRO PM08は、カフェやウェディング・パーティなどでのちょっとしたライブや、店舗のイベント用PA設備に最適な、非常にコンパクトで専門的な知識があまり無くても扱えるパワード・ミキサーです。

アダプターでマイク・スタンドに設置可能
2バンドEQとリバーブを搭載

 開封しての第一印象は、とにかく想像以上にコンパクト。サイズは290(W)×80(H)×146(D)mmで、大きめのお弁当箱と言えばいいでしょうか。しかも1.9kgと軽量で、片手で簡単に持ち上げることができました。設営の手間も少なくなりますね。それでいてパワー・アンプの出力は、200W(4Ω)×2とサイズに似合わず強力です。パワードなので別途パワー・アンプを必要とせず、ミキサーの出力を直接スピーカーにつなげば音が出るため、配線の煩わしさもあまりありません。さらにマイク・スタンドに取り付けるためのアダプターも付属しており、場所を選ばず簡単に設置できるのも良いですね。ただ一点、一般的なマイク・スタンドのネジとアダプターのネジが合わないため、変換ネジ(5/8→3/8インチ)が必要になります。この変換ネジは一般的なマイク・ホルダーなどに付属しているので、簡単に入手可能です。

▲マイク・スタンドに取り付けるための専用アダプターが付属。変換ネジ(5/8→3/8インチ)は付属しないため、別途用意が必要だ ▲マイク・スタンドに取り付けるための専用アダプターが付属。変換ネジ(5/8→3/8インチ)は付属しないため、別途用意が必要だ

 入力は、XLRとTRSフォーンを併装したモノラル・チャンネルが4つ、ステレオ・チャンネル(TRSフォーンまたはRCAピン)を2つ搭載。4chのモノラル入力はマイクとライン両方に対応しているので、ボーカル用マイクや楽器類を直接接続できます。弾き語りや小編成なバンドであれば問題無く対応できそうです。ステレオ・チャンネルには携帯音楽プレーヤーなどを接続してバック・トラックを流すこともできますね。すべての入力チャンネルにHI/LOWのシェルビングEQが付いていて、音色の調整が可能。XLR端子ではファンタム電源(48V)が使用できるので、コンデンサー・マイクやダイレクト・ボックスなどもつなぐことができます。

 出力は、メイン・アウト(TRSフォーン)とは別にモニター・アウト(TRSフォーン)も装備しているので、演奏時のモニターを設置したり、出力を拡張することが可能。ただし、モニター・アウトはパワードではありません。また、RECアウト(RCAピン)がありますので、ライブをそのまま録音することができます。メイン・アウトにはNORMAL/SPEECH切り替え式のEQが付いており、催し物に合わせてワンタッチで最適な音質に切り替えが可能です。そしてデジタル・リバーブも内蔵しているので、エフェクターを別途用意することなくボーカルなどにリバーブを簡単にかけることができます。

高域に特徴のある抜けの良いサウンド
はっきりと聴き取りやすく声を再生

 それではメイン・アウトからスピーカー(YAMAHA S55)につなぎ、実際に音を出して各部機能をチェックしてみます。パワード・ミキサーなので、スピーカー・ケーブルをつなぐだけで音が出るのはやはり簡単で楽です。まずAPPLE iPodをステレオ入力に接続していきます。先述の通りステレオ入力は2系統あり、ch5/6がTRSフォーン、ch7/8がRCAピンになっているので変換プラグなどを使用することなく、さまざまな種類のケーブルを接続可能です。例えば、オーディオ・インターフェースの出力をch5/6に接続してバック・トラックを再生し、ch7/8に携帯音楽プレーヤーを接続してBGMを流すというような使い方ができますね。音質は高域に特徴のあるシャキッとしたサウンドで、抜けが良いと感じました。それからゆっくりとパワー・アンプのメーターがリミット点灯するところまで音量を上げていってみました。全体的に低域などのパワー感が少し物足りない印象は否めませんでしたが、コスト・パフォーマンスの点から考えれば十分かと思います。

 次にダイナミック・マイクを接続してテストしてみます。使用したマイクは一般的なSHURE SM58です。先にメイン・アウトに搭載されている内蔵EQをNORMALからSPEECHに切り替えておきます。SPEECHにすると余計な低域成分がカットされ、よりはっきりと声が聴き取りやすくなります。声の再生力は先ほどの音源再生よりもベターな印象。重厚さはありませんが、すっきりとしていて聴きやすい音で再生されています。男性より女性の声と相性が良さそうだとも感じました。

 ここでHIとLOWの2バンドEQを試してみます。効き具合は非常に良く、変化も大変分かりやすいですね。そのため特に機材の扱いに慣れていない初心者の方には親切な設定だなと感じました。

 続いてリバーブもテストしてみます。モノラル・チャンネルにリバーブ・スイッチが付いているので、使用したいチャンネルのスイッチをオンにしてオレンジのREVERBノブを上げていけばかかります。非常に簡単で分かりやすい設計で、操作も大変簡潔です。音色については、リバーブと言うよりはディレイに近い効果になっていますので、こだわりのある方は一度確認しておいた方がよいかもしれませんね。 初心者でも簡単に操作できるような設計になっており、専門知識のあるスタッフが居ないもののちょっとしたPAが必要な場合でも対応可能。トーク・イベントやライブなど、さまざまなニーズに重宝するミキサーだと思います。

サウンド&レコーディング・マガジン 2019年11月号より)

CLASSIC PRO
PM08
オープン・プライス(市場予想価格:15,800円前後)
▪入力端子:モノラル(XLR×4、TRSフォーン×4)、ステレオ(TRSフォーンL/R、RCAピンL/R) ▪出力端子:メイン・アウト(TRSフォーンL/R)、モニター・アウト(TRSフォーンL/R)、RECアウト(RCAピンL/R) ▪出力:200W×2(4Ω)、120W×2(8Ω) ▪外形寸法:290(W)×80(H)×146(D)mm ▪重量:1.9kg ▪付属品:マイク・スタンド・アダプター