最大音圧レベルは104dB SPL
場所を取らないコンパクト設計
104-Y3は、4.5インチ径のウーファーと0.75インチ径のツィーターから成る同軸構造の2ウェイ・スピーカー。接続端子やパワー・アンプなどの機能を集約したマスター・スピーカーと、パッシブ・タイプのエクステンション・スピーカーの2本で構成されています。また、内蔵するクラスDアンプの最大出力は30W×2で、周波数特性は60Hz〜20kHz。コンパクトながらも最大音圧レベルは104dB SPLを実現しています。
まず箱を開封して目を引いたのが、洗練された筐体のデザイン。女性でも負担無く持ち上げることができるサイズと重量感だと思うので、設置の際はそれほど苦労することはないでしょう。また、コンパクトな筐体はラップトップの両サイドに設置しても全く邪魔に感じません。
マスター・スピーカーのフロント・パネルには、ボリューム・ノブのほか、AUXインプットとヘッドフォン・アウト(いずれもステレオ・ミニ)を装備。電源がオンのときはボリューム・ノブの周りが点灯する仕様となっています。これらの端子がフロント・パネルにあるのはとてもありがたく、毎回スピーカーの裏側をのぞき込む必要がないのは高評価です。これならスマホやラップトップの出力端子を簡単に接続することができます。
続いて、マスター・スピーカーのリア・パネルを見てみましょう。上から出力レベルの小さいコンシューマー機器用のステレオ・イン(RCAピンL/R)と、出力レベルの大きいプロフェッショナル機器用のステレオ・イン(TRSフォーンL/R)、エクステンション・スピーカーへの出力(ターミナル)、電源スイッチが並んでいます。またエクステンション・スピーカーのリア・パネルには、マスター・スピーカーからの入力(ターミナル)のみが備えられており、両者は付属のスピーカー・ケーブル(約2m)で接続可能。エクステンション・スピーカーは電源が不要ということもあり、配線がシンプルなのはうれしいですね。
透き通るような高域とパワフルな低域
無駄な色付けの無い原音忠実なサウンド
実際に104-Y3でリファレンス音源を流してみると、普段使っているスピーカーと比べて高域は伸びやかで透き通るような印象。低域は、このサイズ感では十分なほどパワフルです。全体的には無駄な色付けが無く、原音忠実なサウンドと言えるでしょう。
試しに、いろいろな角度からもリスニングを行ってみました。104-Y3の指向角度は120°(水平)×120°(垂直)なため、スウィートスポットが幅広い感じがします。コライトを行うときなど、複数人で同じサウンドを聴けるのはありがたいです。
普段ミックスする際、僕はヘッドフォンでモニタリングし、最後に“鳴り”と“ミックス・バランス”をモニター・スピーカーで確認/微調整しています。しかしヘッドフォンを長時間装着していると耳が痛くなったりすることがあり、どうにかスピーカーをメインにしてミックスできないかと考えていたのです。ちょうどそんなときに104-Y3を試す機会が訪れたのですが、104-Y3はこの問題を軽々と解決してくれました。
まず104-Y3はフラットなサウンドなので、ミックスにも向いています。また高域は非常に繊細で、ピーキーな帯域が分かりやすいため、ミックスの最終調整などでも使えるでしょう。そして、僕のようにこれまでヘッドフォン中心で作業していたユーザーが、スピーカーでモニタリングすることに違和感無く移行できるサウンドでもあると感じました。近年は、完全にヘッドホン/イヤホンのみで制作している人も少なくないと思います。104-Y3は、そういった人たちにとっても非常に向いているスピーカーだと言えるでしょう。
104-Y3は、宅録環境で音楽制作を行っているクリエイターはもちろん、価格もリーズナブルなので作曲を始めたばかりのビギナーにもお薦めです。また、普段から良い音で音楽を楽しみたい人たちにも十分お薦めできるスピーカー。正直に言うと、104-Y3はサンレコ読者の皆さんだけとの秘密にしておきたいくらい良いスピーカーです。
(サウンド&レコーディング・マガジン 2019年10月号より)