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「CLASSIC PRO/ DM20」製品レビュー:タッチ画面やモーター・フェーダーを持つ20chデジタル・ミキサー

CLASSIC PRODM20
CLASSIC PROから20chデジタル・ミキサーDM20が発売されました。小型/軽量ながら7インチの大型タッチ・パネルや100mm長のモーター・フェーダーを備える視認性&操作性に優れた機種です。価格はエントリー・クラスですが、SHARCの40ビット・フロート・ポイントDSPを内蔵し、ライブ・ミックスに必要な機能を網羅的に搭載。例えば、専用のAPPLE iPadアプリによるリモート・コントロールや、USBメモリーを使ったステレオ・ミックスの録音/楽曲データの再生なども可能です。

最大12本のマイクを入力可能
空間系エフェクトやグラフィックEQを搭載

箱を開けてみると、iPadでのリモート・コントロールに向けた無線LANアダプターが本体のUSB端子に装着されています。Wi-Fiルーターを別途用意する必要がなく、ネットワーク設定の煩わしい作業から解放されるのはうれしいですね。筐体は思いのほか薄く、非常にコンパクト。もちろん軽くて、ちょっと気合いを入れれば片手でも持てました。デザインは、ミニマルかつ現代的です。

入力は全20ch。8つのマイク・インや4つのマイク/ライン・イン、2系統のライン・インL/Rといったアナログ入力に加え、デジタルのS/P DIFコアキシャル・インを備えています。これらにUSB端子の2インを加えて都合20chというわけです。チャンネル・ストリップには、4バンド・パラメトリックEQやノイズ・ゲート、コンプが備わっています。

出力に関しては、8つのライン・アウトと1系統のモニター用ライン・アウトL/R、デジタル出力のS/P DIFコアキシャル・アウトとAES/EBUアウトを1つずつ装備。バス(8系統)に立ち上げて使用するエフェクトは、リバーブとディレイ、モジュレーション系(コーラスやフランジャーを選択)が2系統ずつ用意されています。また、ハウリング対策などに必要不可欠なステレオ・グラフィックEQ(RTA装備)も2系統あります。

タッチ・パネルは7インチ型で、解像度1,024×600px。チャンネル・ストリップの情報表示や操作が行え、非常に分かりやすいユーザー・インターフェースだと感じます。画面をスワイプしていくと、インプット・チャンネルからバス、マスター・セクションまでが4つの画面で切り替わります。そしてチャンネル・ストリップにある“MIC IN”や“EQ”といった欄にタッチすると、そのセクションの設定画面が現れるというようにシンプルな操作性。デジタル・ミキサーに慣れていない方に向けても分かりやすく、親切な設計だと感じました。タッチ・パネルの右側には“コントロール・ポット”という大ぶりのノブがあり、タッチしたパラメーターを物理的にコントロールできるため、入力ゲインやEQの微調整などがやりやすいです。

▲タッチ・パネルのすぐ右側にあるコントロール・ポット。タッチ・パネル上で選択中のパラメーターを操作でき、細かい調整などに向く ▲タッチ・パネルのすぐ右側にあるコントロール・ポット。タッチ・パネル上で選択中のパラメーターを操作でき、細かい調整などに向く

SN比が良くスッキリとした音質
USBメモリー内の音源も遠隔操作可

マイクを使って音質などをチェックしましょう。AD/DAのスペックは24ビット/192kHz。スッキリとした音で、ハイエンドも伸びています。SN比の良さを含め、実用レベルの音でしょう。先述の通りチャンネルEQは4バンドで、別途ハイパス・フィルターも付いているため、音質補正も十分に行えます。またゲートやコンプは、打楽器の音作りに心強いですね。

次にリバーブなどの空間系エフェクトをチェック。少し注意が必要なのは、これらのエフェクトを使用する場合は、使いたいものをまずどこかのバスにインサートしなければなりません。また、バス・センドはデフォルトではすべてオフになっているので、自分でオンにしましょう。一度設定してデータを保存しておけば、次回からはセッティングがスムーズになると思います。リバーブなどの音質は“使える”クオリティだと感じました。ちなみにバス5にリバーブ1、バス6にリバーブ2、バス7にディレイ1、バス8にディレイ2というふうに、同時に4系統のエフェクトを使用することも可能です。

続いてはiPadでのリモート・コントロールを試してみます。まずは無償のコントロール・アプリCLASSIC PRO DM20をApp Storeからダウンロードし、iPadにインストール。起動して使ってみると、これも非常に分かりやすいユーザー・インターフェースですね。DM20本体の機能は、ほぼすべてこのアプリで制御でき、人によってはこちらの方が操作しやすいと感じるかもしれません。

▲APPLE iPad(iOS 8.0以降)に対応したDM20専用のコントロール・アプリ。基本的なセッティングやミックスの実作業、シーンのセーブ/ロードなどが行える ▲APPLE iPad(iOS 8.0以降)に対応したDM20専用のコントロール・アプリ。基本的なセッティングやミックスの実作業、シーンのセーブ/ロードなどが行える

非常に良いなと思ったのが、アプリからもUSBメモリー内の音源を扱える点。ミキサーのリモート・コントロール・アプリは今や必需品ですが、スピーカー・チェックなどでいったん客席の方へ出ると、曲を切り替えたいときなどにPA席へ戻らなければならないこともあります。しかしDM20アプリなら、客席位置で再生や曲の切り替えをしながら調整できますね。プレイ・モードの切り替えも行え、シングル再生も可能です。またUSBメモリーへの録音もリモートで問題なく行えました。

小型&軽量な筐体に、ミキサーに必要な機能をほぼすべて詰め込んだDM20。現時点で最高レベルのポータビリティと利便性を併せ持つミキサーだと思います。ライブ用のミキサーとしてはもちろん、スタジオ・ユースにおいても、小型のアナログ・ミキサーなどよりワンランク上の音作りを提供する製品ではないでしょうか。

▲リア・パネルには、モニター・アウトL/R(TRSフォーン)やライン・アウト×8(XLR)が並ぶ ▲リア・パネルには、モニター・アウトL/R(TRSフォーン)やライン・アウト×8(XLR)が並ぶ

サウンド&レコーディング・マガジン 2019年2月号より)

CLASSIC PRO
DM20
オープン・プライス(DL32S:市場予想価格153,600円前後、DL16S:82,700円前後)
●DL32S ▪入力チャンネル:16ch(XLR)+16ch(XLR/フォーン・コンボ) ▪出力チャンネル:10ch(XLR)+ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン) ▪外形寸法:447(W)×185(H)×147(D)mm ▪重量:4kg ●DL16S ▪入力チャンネル:8ch(XLR)+8ch(XLR/フォーン・コンボ) ▪出力チャンネル:8ch(XLR)+ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン) ▪外形寸法:358(W)×142(H)×147(D)mm ▪重量:2.8kg ●共通 ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪シグナル・プロセッシング:24ビット/48kHz ▪エフェクト・エンジン数:4