
2基の高解像度カラー・ディスプレイ搭載
ピッチ/モジュレーション・ホイールを装備
今回新しくリリースされたMK2は、49鍵と61鍵の2つのモデル。本体カラーはマット・ブラックのそのままで、サイズ感は初代と比べて奥行きが少し増した感じです。鍵盤には、プロ品質とも言えるFATAR製のセミウェイト鍵盤を使用し、本体パネルには2基の高解像度カラー・ディスプレイを新搭載。その真下には8つのタッチ・センサー付きのノブがあり、ディスプレイの右側にはサウンドのブラウズやプロジェクトのナビゲートを片手で行える4方向プッシュ式エンコーダーを装備しています。また、パネル左端にはNATIVE INSTRUMENTS Maschine SoftwareをワンタッチでコントロールできるボタンやDAWのトランスポート機能をコントロールするボタンなども配置。そして鍵盤の左側には、初代Komplete Kontrolにはなかったピッチ・ホイールとモジュレーション・ホイール、スライド式センサーでエクスプレッション・コントロールが可能なタッチ・ストリップが新たに追加されています。リア・パネルには、MIDI IN、OUT、フット・ペダル用のフォーン端子×2、電源端子、USB端子、電源スイッチが並び、基本的に初代と同じ構成になっています。ただし、今回からUSBバス・パワーに対応していて、ACアダプター要らずというのもうれしい改良点でしょう。
4方向プッシュ式エンコーダーにより
ハードウェアからプリセット選択が可能
それでは実際にMK2を使って、NATIVE INSTRUMENTS Komplete 11 Ultimate内のソフト音源を使用してみたいと思います。USBケーブルをコンピューターに接続しKomplete Kontrol Softwareを起動させると、Komplete 11 Ultimate内に収録されたNKS対応インストゥルメントが読み込まれ、MK2のディスプレイにその音源のサムネイルが表示されます。ディスプレイの下にある8つのノブのうち、左から1番目のノブでカテゴリーやインストゥルメントのベンダーなどを、左から2番目のノブでプラグイン音源の種類を、左から5番目のノブでベースやシンセ・パッドなどサウンドの種類を、6番目のノブでサウンド・キャラクターのサブタイプを選択していきます。それぞれ選んでいくごとに、右側のディスプレイに表示されるプリセットの数が絞り込まれていき、視覚的に確認できとても分かりやすいですね。もちろん途中でプリセット変更も可能です。プリセットはロードせずとも新搭載の4方向プッシュ式エンコーダーを回すことにより、プレビュー(音出し)が可能となっています。これまでは、ブラウズやインスタンス、バックというボタンを操作しなければ目的のプリセットのたどり着けなかったのに対し、この4方向プッシュ式エンコーダーによりコンピューターのキーボードやマウスに一切触ることなく、素早く直感的な操作で目的の音色を探し出すことが可能となりました。これなら18,000以上のサウンド・プリセットを有するKomplete 11 Ultimateでも、簡単に音色を見つけることができそうですね。
もう一つ、MK2の新機能として“DAWインテグレーション”が搭載されました。先述したようにDAW内のボリューム/パン/ソロ/クオンタイズ/ループなど、さまざまなコントロールを、MK2から行うことが可能なのです! 実際にAPPLE Logic Pro Xで使ってみると、一連の打ち込み作業をコンピューターに触ることなく、簡単に行うことができました。
ちなみにKomplete Kontrol Softwareは、NATIVE INSTRUMENTSが提唱する拡張プラグイン・フォーマット=NKSに対応しているソフト音源であれば、タグ・ベースのブラウジングや主要パラメーターのコントロールが自動マッピングされるため、面倒な設定は一切不要。この手間がなくなるだけでも、かなりの時間短縮につながるのではないでしょうか。
さらにバンドル・ソフトとして、NATIVE INSTRUMENTS Komplete 11 Selectという2,500以上のサウンド、11製品、25GBにも及ぶインストゥルメント&エフェクトのコレクションが付属。購入したその日から膨大なプリセットのソフト音源をハード音源のように直感的にコントロールし、あなたのプロダクションに活用できます。
コンピューターのキーボードやマウス操作からの解放は“なぜ今までなかった?”と思うくらい快適です! 初代ユーザーの筆者でもリプレイスしたくなるくらいMK2は魅力的で、作業効率も以前より確実に上がること間違いないでしょう。まずは、お近くの楽器店での試奏をお勧めします。きっと“そのままお買い上げ”なんてことになるかもしれませんよ。



撮影:川村容一
(サウンド&レコーディング・マガジン 2018年2月号より)