大口径45mmドライバーを採用
重さを感じさせないフィット感
ボディはツヤ消しのシックなデザインで、シンプルかつ丁寧に作られている印象です。本機はケーブルの着脱が可能で、３種類のケーブルが付属。その内訳は1.2mのカール・コード（伸ばすと3m）、3m/1.2mのストレート・コードと充実しており、使用環境に合わせて選べるほか、不意のアクシデントで断線させてしまった際も助かること請け合いです。接続端子はステレオ・ミニですが、ステレオ・フォーンに変換するアダプターが付属。また本機はコンパクトに折り畳むことができ、持ち運び用のポーチも付いています。ちなみにATH-M50Xには“WH”という白色モデルのほかに、700本限定で青色×茶色の“BL”（オープン・プライス：市場予想価格19,950円前後）もラインナップされています。早速装着してみると、イア・パッドは十分な厚みがあり、すっぽりと耳を包み込んで遮音性がとても高く、音に入り込める感じがします。個人的には側圧がやや強めに感じましたが、かといって数時間使用しても耳が痛くなるようなことはありませんでした。ヘッド／イア・パッドは可動式で、ヘッド部は頭のサイズに合わせて35mmずつ伸縮します。イア部は横方向に90°ずつ、縦に180°回転し片耳でのモニタリングに対応。DJモニターとしての使用も考慮しての設計かと思われます。今回はDJの現場で使用できるタイミングがなかったのですが、先述の通り密閉感がしっかりとあるので、大音量の中でのモニタリングにも有利なように思いました。またこれは“音漏れを抑えている”ことでもあるので、ボーカル／楽器のレコーディング時のモニター用としても力を発揮するのではないでしょうか。このヘッド／イア・パッドは触り心地も良好な上、耐久性を高めるために新素材を採用しているとのこと。確かにヘッドフォンを日々使用しているとこの辺りが消耗することが多いので、この変更はうれしいところです。
音はワイド・レンジかつ
ステレオ・イメージを判断しやすい
肝心の音質ですが、基本的には密閉ダイナミック型の特性を生かしたパワフルなサウンドを聴かせてくれます。攻め過ぎない滑らかな高域、丁寧な響きを聴かせる中域、そしてよく見える豊かな低域といった感じで、センターがビシっと出るのも好印象。中でも低域の伸びは特筆すべきポイントで、聴いていて気持ちいいです。ローエンドもよく見え、これまで自宅環境で聴こえづらかった部分が聴こえてくることで、楽曲の魅力を再発見させてくれるかもしれません。密閉型ならではの“ダイナミックな低域”“遮音性”というキャラクターを明確に打ち出しているように感じます。再生ソースとしては、やはり打ち込み系との相性がダントツかと思いきや、ジャズ、ファンクなどの生音でも、きらびやかなライド・シンバルやつややかなエレピ、力強いベースやキックを聴かせてくれました。“あくまでオールマイティな王道モニター・ヘッドフォンを目指した上で、低域などのバランスを時代感に合わせて絶妙にチューニングしているのだな“と、あらためて同社の本シリーズへの気勢を感じました。 レコーディングやミキシング、DJ時のモニタリングに、はたまた自宅や外出環境で音楽や映画に集中したいときにも活躍してくれるであろうATH-M50X。高い遮音性で音に“入り込める”ので、ミキシング時はもちろん、個人的には集中して作曲したいときに使うのもお勧めです。
▲左より1.2mカール、3mストレート、1.2mストレートの３種類のケーブルが付属する
