「CAD GXL3000BP」製品レビュー:単一/双/無の指向性が選択できる低価格なコンデンサー・マイク

 今回紹介するCADは、以前から音楽制作をされている方であれば、名前を聞いたことがあるメーカーだと思います。私もかれこれ10年位前に、同社のミキサーやマイクを使っていた記憶があります。それ以来、このレビューで久々に出会えたのはうれしいものです。そんなCADのラインナップの中から今回紹介するのは、低価格モデルのコンデンサー・マイクです。アマチュアの方でも手に入れやすい価格ですが、果たして実際にちゃんと使えるサウンドなのか、早速チェックしていきましょう。  

CADGXL3000BP
 今回紹介するCADは、以前から音楽制作をされている方であれば、名前を聞いたことがあるメーカーだと思います。私もかれこれ10年位前に、同社のミキサーやマイクを使っていた記憶があります。それ以来、このレビューで久々に出会えたのはうれしいものです。そんなCADのラインナップの中から今回紹介するのは、低価格モデルのコンデンサー・マイクです。アマチュアの方でも手に入れやすい価格ですが、果たして実際にちゃんと使えるサウンドなのか、早速チェックしていきましょう。  

100Hzから低域を切れるハイパス
単一指向では明るくはっきりした特性


本体はブラックパールの鏡面処理がしてあり、とてもキレイな仕上げです。クロスも付属するので、使う度に磨きたくなってしまうかもしれません。サイズは一般的なラージ・ダイアフラムのコンデンサー・マイクと同程度で、ショックマウント・アダプターも付属します。本体には指向性の切り替え(単一指向/双指向/無指向)と、6dB/oct@100Hzのハイパス・フィルター、−10dBのPADが装備されているため、機能面も全く問題ないでしょう。


ハイパス・フィルターはなだらかなスロープになっていて、低域成分を高い周波数から切ることができるので、ミキサーなどのハイパスとの使い分けも、用途によっては行えそうです。また最大SPLは135dBなので、PADを使えば一般的に使う音量にも十分に対応します。このマイクの特徴でもある指向性の切り替えに関しては、他社製のものとは違う特性を持っていて、これは後ほど詳しく書きますが、使い分けるとかなり楽しい変化が得られます。ちなみに本機はコンデンサー・タイプなのでファンタム電源で動作します。それでは早速音をチェックしてみましょう。


まずは単一指向でボーカルを試すと、サウンド的には明るくはっきりとした印象で、滑舌もよく聴き取れました。最近のハイファイ系マイクプリを合わせると歯擦音が少し気になる感じで、低域はちょっと薄いイメージですが、これは高域が伸びているからだと思います。とは言え、扱いづらい高域のクセがあるというものではなく、EQ後の音としてとらえれば、使いづらい印象は全くありませんでした。


このような特性からマイクのセッティングは、通常のボーカル録音の距離感よりも、ぐっとオンマイクで使った方が中低域が充実します。それに加えて近接効果で低域が変に持ち上がることも少なかったです。宅録をする場合は周辺への音の配慮もある上、大声が出しづらいこともあると思います。そんなときに、オンマイクで質の良い録音ができるマイク何かとは重宝するでしょう。また、本機はダイアフラムの編み目も細かくなっているので、吹きに対する感度もうまく抑えられていると思います。


中低域に太さが出る双指向
高域の伸びが印象的な無指向


次に指向性を双指向にしてみます。音質的には単一指向時よりもわずかに高域が落ちて、中低域に太さが出てきます。好みとしてはこちらの方が好きでした。双指向なので背面からの音の回り込みが気になるところですが、背面ダイアフラムの感度は確かに上がるものの、高域があって抜ける感じではなく、どちらかと言えばこもっているので、それほど気にしなくて良いのも本機の特徴と言えるでしょう。声や音によって単一指向性との使い分けが十分にできる音質だと思います。ただこの特性から言って、双指向を選択してマイクに向かって2人の歌を同時に録音するのは不向きだと思います。


無指向性にした場合は、低域がかなりすっきりし、高域がグンと伸びた音色になります。双指向時のように背面で高域が落ちることもなく、ちゃんとした無指向になるので、多人数でマイクを囲んで録音する場合も問題ありません。かなり開放的ですっきりした空間になります。高域は若干上がり過ぎる感じもするので、そこをうまく抑えれば音色バリエーションとして使えるでしょう。


続いて単一指向でアコースティック・ギターで試聴してみます。アコギならではのくっきりした感じが良く出るので、EQ無しでも明るい音が録れますが、高域の特性上、ピッキング・ノイズを拾う傾向があるので、マイキングに工夫が必要かもしれません。通常サウンド・ホールからネック側を狙うことが多いと思いますが、ボディから狙ったほうがこのマイクは良い感じになりました。


 


まとめると、洋楽的な明るい音がEQ無しでも録音できるマイクという印象でした。低域がすっきりしているので、宅録でも変にこもった感じにもならずに抜けが良くなります。そのため自宅で録音する際にこもった印象があって、困っているという方は試してみると良いでしょう。オンマイクで使いやすいのというのも利点だと思います。高域が伸びるとはいえ、ノイズっぽいシャリシャリ感は無いので、洋楽っぽい明るいサウンドを求めている方にぜひオススメしたいマイクです。


サウンド&レコーディング・マガジン 2012年7月号より)



CAD
GXL3000BP
26,250円
●形式/コンデンサー型 ●指向性/単一、双、無 ●周波数特性/35Hz〜20kHz ●出力インピーダンス/200Ω ●最大SPL/135dB@1%(PAD使用時) ●外形寸法/55(φ)×195(H)mm ●重量/600g