思い付いたアイディアをパっと録れる機動性に優れたオーディオI/O - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

ROLANDDuo-Capture

高畠俊太郎

ギターを使うシンガー・ソングライターにとって曲作りに最も必要なのは、仕様がシンプルでストレスの少ない操作が可能な録音機材ではないでしょうか？　浮かんだアイディアをすぐに録る／作りたての歌をサクっと録音する......Duo-Captureは、こうした軽快な使い方にも対応した機動力の高いオーディオI/Oとなっています。

名刺入れ×２サイズの２イン／２アウト機
基本的な機材を一通り接続可能

まずは"軽い！"という印象。サイズは名刺入れ２つを並べたくらいと、非常に小型です。入出力は２イン／２アウトで、24ビット／48kHzによる録音／再生が可能。トップ・パネルには入出力それぞれに対応したボリューム・フェーダーが２つ配置されます。インプット・フェーダー上方のLEDで、入力レベルなどを確認できるのも◎。フロント・パネルにはライン入力（ステレオ・ミニ）やマイク／ギター入力（フォーン）、ライン出力（ステレオ・ミニ）、そしてヘッドフォン端子（フォーン）を備え、シンプルながら十分な装備。ライン入力は電子楽器やAPPLE iPodといったステレオ出力の音源を入力する際に使えます。マイク／ギター入力については、リア・パネルのHi-Zスイッチをオンするとギターやベースなどハイインピーダンス楽器の音をダイレクトに入力可能。基本的な機材全般を直接接続し、その音をDAWソフトなどに録ることができます。リア・パネルにはそのほか、入力ゲインを調整する"INPUT GAIN"スイッチを装備。マイク／ギター入力にダイナミック・マイクなどを接続する際の"HI"とライン入力にオーディオ機器などをつなぐ場合の"LO"を切り替えて使います。また、ダイレクト・モニタリング機能のオン／オフを行う"INPUT MONITOR"スイッチも備え、録音の弊害にもなり得るレイテンシーを回避できます。なお、本機はUSBバス・パワーにて動作します。

微細な設定が可能なフェーダー
歌／ギター共に中域が特徴の録り音

僕が普段使っているシステムでDuo-Captureを試してみます。本機を動かすためのドライバーをAPPLE MacBookにインストールし、再起動。USBケーブルで本機とMacBookをつなぎます。ライン出力にパワード・スピーカー、ヘッドフォン端子にはヘッドフォンをそれぞれ接続。次にAPPLE Logicを立ち上げてドライバーを"DUO-CAPTURE"に設定し、新規ファイルを録音待機状態にします。次にギターを直接マイク／ギター入力へ接続し、Hi-Zスイッチをオン。INPUT GAINはLOに設定します。ギターを弾きつつトップ・パネルのフェーダーで入出力レベルを決めて、"録ってみるか！"と、ここまでに要した時間は10分！いよいよ録音です。プラグイン・エフェクトなどでイメージを膨らませてから、入出力レベルを微調整します。このフェーダーは見た目のシンプルさ以上にセンシティブで細かい設定が可能。録り音は中低域に粘りがあり、中域にはパワー感が感じられます。次にマイクを直接マイク／ギター入力に接続し、Hi-Zスイッチをオフ。INPUT GAINをHIに設定します。マイク録りした歌声も中域に伸びのあるしっかりとした音質です。今度はINPUT GAINをLOにして、ライン入力からシンセを演奏。出力音も含め、総合的に良い意味でデジタルっぽくない、懐かしさも漂うサウンドという印象です。とりわけギターにはよく合うと思うので、ロック・テイストの作品にも積極的に使えそうです。また操作系がシンプルなので、思い付いたフレーズをひらめきが逃げないうちに録れるでしょう。小型／軽量なため、リハーサル・スタジオなどへも持ち込みやすそうです。操作性と機動性に優れたDuo-Capture。シンガー・ソングライターの作曲にはもちろん、宅録初心者のレコーディング〜中級者以上のデモ録音など、広い用途で長く使えそうなツールです。