24ビット/96kHzに対応の軽量機
マイクプリ4基やデジタル入出力を装備
US-600は重量580gという軽さのUSBオーディオI/O。入出力数は6イン/4アウトとなる。マイク/インスト・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)×1とマイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)×3から成る4chのアナログ入力すべてに、マイクプリが搭載されているのが特徴だ。バス・パワーでは動作せずACアダプターでの電源供給となるが、ファンタム電源に安定した電圧を供給できることから、安心な設計と考えられる。今回の録音では、管楽器とギター・アンプにコンデンサー・マイクを1本ずつと、ステージのアンビエンスにステレオ・ペアのコンデンサー・マイクを使用。本機は持ち運びやすく、アナログ入力数が最大4chのため、こうした小編成のライブ録音にも対応する。またS/P DIFイン/アウト(コアキシャル)が1系統備えられるので、生楽器にパソコンが加わったグループにも有用だろう。録音に使ったのはWindows XPマシン。ドライバーのインストールは付属CDから難無く完了した。本当はバンドルされるSTEINBERG Cubase LE 5で録りたかったのだが、アクティベーシ
ョンに必要なインターネット環境が現場で得られなかったため断念。普段使っているDAWの1つ、COCKOS Reaperを用い、本機が対応する最高の24ビット/96kHzで録音を行った。US-600には、信号の入力を表す緑色のLEDと過大入力を示す赤色のLEDが備えられる。ギターを弾きつつ録音状況を把握したい場合も、確認に困ることは無いだろう。各ツマミの頭部は鏡面仕上げのため、照明によっては設定位置がやや確認しにくいことがありそう。ステージ上では、本機の設置位置を工夫すると良いだろう。
プレイヤーの息使いや場の空気感も収音
モノラル/ステレオを選べるモニター
2時間弱のライブ録音はトラブルの気配も無く、終始信頼感があった。その後、録音データをMOTU Digital Performer 6に移して確認。録り音からは管楽器の息使いまでが奇麗に聴こえる上、アンビエンスも空間の気配が伝わるような、高音質録音ならではの生々しい仕上がりだ。4基の内蔵マイクプリはなかなかの好印象。さらに、後日スタジオにボーカリストの佳村萠さんを迎え、ギター伴奏で歌録りする機会を設けた。US-600では、ファンタム電源を入れるとすべてのマイク・インに電源が供給される。私は佳村さんのような繊細な歌声には、"これ"と決めているリボン・マイクを持っている。しかしアンビエンスにコンデンサー・マイクを使う場合、前述したチャンネル共通のファンタム電源によって、リボン・マイクを本機のマイク/ライン・インに直接つなぐことができない。そのためリボン・マイクには外部のマイクプリを用い、TRSフォーンでライン接続。録り音についてはやや音の芯が損なわれたような気はしたが、AD変換などを含め、US-600の価格からすると十分な品質に思えた。マイク/インスト・インはHi-Z対応で、エレキギターを直接接続できる。MON MIXツマミで、ダイレクト・モニタリング機能も活用した。モニタリング向け機能としてはもう1つ、フロント・パネルに配置された2つの入力端子と、リア・パネルに位置する2つのマイク/ライン・インそれぞれに対応したST/MONOスイッチが挙げられる。このスイッチでは、モニター時の各チャンネルの入力を完全にL/Rchへ振り分けるか、モノラルにミックスするかを選択できる。歌とギター伴奏を録るような場合は、ギターをヘッドフォンなどのLchのみから出力できるというわけだ。こうして録ったエレキギターの音は、ラインのクセをあまり感じさせないクリアなものだった。手軽さが魅力であるものの、内蔵マイクプリには価格帯を超えた品質の高さが感じられるUS-
600。今回試したような編成の録音に加え、マイク・インから外部の生音を取り込みつつ、デジタル・インに2台目のパソコンを接続し演奏するような音楽家にも使い勝手が良さそうだ。
▪Windows/Windows 7/Vista/XP(SP3以上)、INTEL Pentiumまたは1GHz以上の互換プロセッサー、512MB以上のメモリー▪Mac/Mac OS X 10.4.11以降、INTELプロセッサーまたはPowerPC G5、512MB以上のメモリー