"アルミニウム製の鉄琴"が持つ神妙な音色を活用できるライブラリー - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

SONICCOUTUREMORPHEUS

Firo

アルミニウム製の音板をフレーム上で自由に入れ替え可能で、さまざまなスケールを演奏できるという鍵盤打楽器"モルフェウス"。アメリカのメーカーFREENOTESが製造／販売するこの楽器のサウンドがライブラリー化されました。

単音素材のWAVやNATIVE INSTRUMENTS Kontakt 4／APPLE EXS24用のパッチが用意されているこの素材集。収録サウンドはビブラフォン的でありながらも、"アルミニウム製の鉄琴"とあってやはり独創的です。アタック音が柔らかく、倍音の多いその音色はどこか厳かです。また、中域〜高域のリッチな残響感はマリンバ・サウンドのリリースを伸ばしたかのよう。"木琴のテイストを持つ鉄琴"といった印象の音です。筆者はKontakt 4で試しましたが、まずはそのパッチ設計が優れていると感じました。"スケールを自由に設定できる"という楽器の特性を生かしたアルペジオ・パッチがとても良いのです。多彩なスケールを用いてプログラムされているため、思いも寄らないフレーズが飛び出す上、そのサウンドが持つどこか神妙な世界にはインスパイアされるものがあります。また、モルフェウスをパッドやベースの音色として使えるパッチや単一のノートを和音として演奏できるパッチなども用意され、幅広いサウンドが楽しめます。編集のしやすさも印象的。エンベロープ・ジェネレーターやフィルターなど、最小限かつツボを心得たモジュールとその操作子がパッチごとに用意され、簡単に好みの音色を絞り込めます。収録素材は深遠な気配をたたえているので、アンビエントや音響派、サウンドトラックなどの音楽にはバッチリでしょう。個人的には、残響が命とも言える音色のリリース・タイムをあえてゼロにし、リズミックなシーケンスを打ち込んだ際の響きにも引かれました。アイディアに合わせて活用できる魅力的なライブラリーです。