洋楽器との相性も抜群な琴を中心としたライブラリー

IMPACT SOUNDWORKSKoto Nation
IMPACT SOUNDWORKSから、琴と十七弦箏(そう)/(以下、十七弦)、三味線の素材集が登場。収録素材の演奏はニューヨークを拠点にハリウッド映画のサウンドトラックなどでも活躍する演奏家、石榑(いしぐれ)雅代によるものだ。

9GBという大容量の本製品。収録形式はNATIVE INSTRUMENTS Kontakt2用パッチとWAVの2種類となっている。素材は3種類のフォルダー"Close""Room""FX"に分類。"Close"はオンマイク、"Room"はオフマイクでそれぞれ同じ演奏を収めた素材群となり、音にアンビエンスが必要かどうかで使い分けられる。"FX"は録り音をエフェクトしたサンプル群だ。収録素材は全体的に太いサウンドで、ピッチやベロシティによる音の変化も自然。とても丁寧な仕上がりとなっている。フィラデルフィアのスタジオでBEYERDYNAMIC MC834やNEUMANN TLM170、KM184といったマイクを使い収録された各素材は、日本家屋の和室で聴く邦楽器の響きとはかなり異なるが、洋楽器と組み合わせやすいだろう。また、その楽器ならではの特徴的な奏法が網羅されており、琴や十七弦にはピチカートやトレモロに加え、各種グリッサンド、ハーモニクスなども用意。三味線にもスタンダードな演奏のほか、独特のピッチ・ベンド奏法などが収められている。こういったサウンドによって一気にその楽器の世界観が広がる。さて、ここで特に注目してほしいのは十七弦だ。
箏(そう)と呼ばれる楽器ジャンルにおいて、低音弦が拡張して生まれた十七弦は、オーケストラの弦楽器の中ではチェロにあたる存在で、その音色は実に魅力的だ。西アフリカの弦楽器コラなどと同じく、コード・バッキングやリフ・パターンに使え、和テイストに絞らず、エレピやマリンバと同様、オール・ジャンルに使える音の一つとして扱うと面白い。


サウンド&レコーディング・マガジン 2011年3月号より)
IMPACT SOUNDWORKS
Koto Nation
8,715円(為替レートによる価格の変動あり。表記の価格は2011年2月2日現在のもの)
●ダウンロード販売●容量:9GB●DATA FORMAT:Reason(ReFill)、WAV、Kontakt2