豊富なエフェクトを搭載しDJ/制作の両現場に使えるDJ用CDプレーヤー

NUMARKAxis 8

最近のDJ用CDプレーヤーはどんどん進化してきて、アナログのターンテーブル感覚でスクラッチして頭出しができるPIONEERのCDJ-1000のようなタイプも出てきています。今回レポートするこのAxis 8は、その対抗馬としてNUMARKが出してきたモデルと言えるんじゃないでしょうか。では、早速チェックしていきましょう。

アナログライクな操作性と
12種類のエフェクトが魅力


まずCDを入れて、説明書も見ずにDJ感覚で触ってみたところ、ジョグ・ホイールを回すとスクラッチ感覚でゴキッゴキッと頭出しができるのがうれしくなります。スタート・ボタンを押して音を出し、ピッチを合わせるには右上のピッチ・ボタンを押すとピッチ・シフターの上の6、12、25%のボタンが点灯し、ピッチが変更できます。ピッチ・ボタンを押しながら−か+を押すことで段階が変えられて、なんと±100%までの変更ができるので、BPM170ぐらいの高速ビートを、やろうと思えばBPM90ぐらいのロービートにすることも可能です(リズムのブレはあるけど)。また、−や+のボタンを押すことにより、ミックスのときに必要な少し早めたり遅らせたりといった微調整も可能。そしてKEYのボタンをオンすることにより曲の音程を変えずにスピードのみをコントロールすることもできます。これはリミックスのときなど、テンポの違うトラックにア・カペラ・ボーカルを乗せていくような作業にも威力を発揮しますね。特筆すべきは、12種類のエフェクトが内蔵されていて、SCRATCH、PHAZE、SONAR、SLIDE、ECHO、CHOP、ISOLATE、REVERSE、A.D.、PAN、KILL、BLEEPと、挙げただけでも目が回りそうなほど充実しています。これらもジョグ・ホイールを回すことによってエフェクトがかかり、どれもさすがクラブ対応という感じで大胆に効きます。ジョグ・ホイールの回し方にちょっとクセがあるので慣れが必要かなという気もしますが、スクラッチに関してはアナログを擦ってキュッキュキュッキュしてる感じが違和感無く再現されていて素晴らしいです。

MIDIやデジタル端子を装備し
音楽制作にも威力を発揮


DJ用CDプレーヤーを使っていて、CDの焼きが甘いものはDJの途中で音飛びがする場合があり、せっかく盛り上がっているときに"ダダダダダッ"っと音が飛ぶと台無しになりますよね。しかし、本機にはCDから常時48秒前の音をメモリーする機能が付いているため振動に強くて音飛びの心配が無いのです。CD-Rにも完全対応しているので、コンピューターなどでCD-Rにまとめて焼いてきたものをDJで使う場合にも音飛びすることがありません。その辺のDJユースとしての機能性はかなり考慮されているように思います。あと、MIDIのIN/OUTが付いているのですが、これは後々のバージョン・アップで、シーケンスとCDのBPMをシンクさせたりといった、MIDI情報のやりとりができるようになるそうです。そのほか、暗いところでもCDの交換をしやすいようにCDのトレイ部分にもLEDのライトが付いていて、その辺は現場を分かって作られているなあと実感しました。デジタル・アウトも付いているので、制作の現場でもサンプル・ネタのピッチを変えてデジタル・サンプリングできたりするのはありがたいです。もう1つ特徴的なのは、LOOP機能が2つ付いていることです。LOOP INを押したところからLOOP OUTを押したところまでがループするわけですが、その間にもう1回ループを作ることができるのです。実際リズムに合わせてポンポンたたいて使ってみると、少しややこしくなってくる感は否めませんが、機能に慣れてきたら可能性はかなり広がると思います。単純にループしているところにRELOOPボタンをタイミングよく押してリフレインするだけでもクラブDJプレイっぽくなりますから重宝しますよ。何よりもボタンがデカいところがいいですね。また、本機を2台使用することでAUTO START/AUTOシンク機能も利用可能ですが、これはリモート機能が付いたミキサーを使用した場合に限られており、本機2台とそれに対応したミキサーも用意しなければならないのでその辺は少し融通が利かないかも。NUMARKのミキサーはすべて対応しています。以上のように、アナログのターンテーブルに慣れていて、CDは使いづらいと思ってたDJにもアナログと同じような感覚でDJプレイができるので、この手のスクラッチ方式のCDプレーヤーが普及してくれば、劣化しやすいアナログをあらかじめCD-Rに焼いておいてCDでプレイするという時代になるかもしれません。さらにエフェクターが充実しているので、今までのアナログだけでは到底できなかったような瞬間リバースや音色のバリエーションが増えるわけです。今後はCDのデジタル臭い音色をいかにアナログの独特のまろやかな音質に近づけるか、という競争になってくるのかもしれませんね。DJ/制作の両現場で十分威力を発揮する1台だと思います。
NUMARK
Axis 8
オープン・プライス

SPECIFICATIONS

■周波数特性/20Hz〜20kHz
■サンプリング周波数/88.2kHz
■外形寸法/216(W)×247(D)×82.5(H)mm
■重量/2.95kg