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WAVES Waves Harmony レビュー:リアルタイムで最大8パート生成可能なボーカル・ハーモニー・プラグイン

WAVES Waves Harmony レビュー:リアルタイムで最大8パート生成可能なボーカル・ハーモニー・プラグイン

 筆者は“ダブルやハモりはなるべく人力でやるべし!”と常々言っておりましたが、スケジュールや喉のコンディション、ハモが歌えないなど、さまざまな要因でハーモニー・パートが録音できないことがあったり、予算などの都合でコーラスを別建てにすることができないこともあるのが事実。そうした制作現場において“使える”ハーモニー生成プラグインの登場を待ち望んでいるのは、偽らざる事実でした。そんな中、WAVESがリリースしたWaves Harmonyは数多あるピッチ・シフト系のプラグインとは何が違うのか? その実力の程を検証していきたいと思います。

MIDIキーボードで演奏できる

 Waves HarmonyはVocal ProductionとMercuryの両バンドル製品に含まれており、単体購入も可能です。また、AAX Native/AudioSuite/AU/VST/VST3に対応し、主要なDAWで動作します。後述しますが、M1搭載のMacでもきちんと動作するのはうれしいところです。

 では各機能に触れていきましょう。本プラグインには使い方に応じた3つのワークフロー・モードが用意されています。まずは自動モード。難しいことは分からない人でも、キー/スケールを合わせてプリセットを選べば、自動的にハーモニーが生成されます。曲に合うコード・プリセットを探したり、偶発的なボーカル・ハーモニーのアイディアを求めるのもよいでしょう。音楽制作だけではなく、イメージに合うプリセットを選ぶだけで簡単に企業のサウンド・ロゴが作れそう……そんな印象も受けました。

 Graphicalモードは縦軸が音量、横軸がパンになっていて、画面上をクリックするだけでグラフィカルにハーモニーを配置することができます。いわゆる“字ハモ”みたいなハモりを求めるならこのモードが早いですね。メロディに対してのハモり方が分からない歌い手さんが手軽にハモりを作るのにも良さそうです。

 そしてPlayable MIDIモードは、文字通りMIDIトラックやMIDIキーボードからリアルタイムで音やコードを演奏することができます。

AVID Pro Toolsでは、上段のオーディオ・トラックにWaves Harmonyをインサートし、下段のMIDIトラックのMIDIアウトプットセレクタでWaves Harmonyを指定すれば(赤枠の箇所)、すぐにMIDIでハーモニーを操れる

AVID Pro Toolsでは、上段のオーディオ・トラックにWaves Harmonyをインサートし、下段のMIDIトラックのMIDIアウトプットセレクタでWaves Harmonyを指定すれば(赤枠の箇所)、すぐにMIDIでハーモニーを操れる

 実際に試してみた第一印象は非常に音楽的。作編曲家という私の立場上、“使える”し“早速使っていきたい”モードだと感じました。WAVESのWebサイトにも書いてありますが、イモージェン・ヒープの「Hide And Seek」みたいなことが簡単にできてしまいます。

4系統のLFOや2系統のADSRを装備

 WAVESのWebサイトを見てみると、“〜ステージでの演奏に最適”とあったので、ライブ・パフォーマンスで使えるのであれば、ボーカリストやライブ・パフォーマンスをする方々には間違いなく福音に違いない!ということで、シンガー・ソングライターのParanormalizer(Twitter:@paranormalizer)さんにお手伝いしていただくことにしました。

 機材はライブを想定し、コンピューターにAPPLE MacBook Air、DAWはPRESONUS Studio One 5、オーディオI/OはAUDIENT ID4を使い、あえてスピーカーから音を出してモニターし、マイクはSHURE SM58を手持ちで検証という環境です。

 まずはGraphicalモードで、3度下のハモリを試してみました。パッとマイクをつないで歌ってみた雰囲気では、レイテンシーは感じないようです。それもそのはず、レイテンシー表示を見ても0.0msと表示されているのです!

PRESONUS Studio One 5での、Waves Harmonyのレイテンシー表示は“0.0ms”(赤枠)。これならばマシン・パワーが許す限りレイテンシーを追い込んでいけるので、ライブでの使用も現実的といえる

PRESONUS Studio One 5での、Waves Harmonyのレイテンシー表示は“0.0ms”(赤枠)。これならばマシン・パワーが許す限りレイテンシーを追い込んでいけるので、ライブでの使用も現実的といえる

 ピッチ・シフト系のプラグインは基本的にレイテンシーが大きいものが多いので、ライブでも使えるプラグインと言ってよいでしょう。とは言え、CPU負荷が大きいようではライブで安心して使えないので、CPU使用率をチェックしてみました。32ビット/48kHz、バッファーは64サンプルの場合、プリセットにより増減しますが、4声のハーモニーを作るくらいであれば、9〜10%程度なのでライブでの使用は問題ないと思われます。使用するオーディオ・インターフェースにもよりますが、このバッファー・サイズならラウンド・トリップ・レイテンシーが6〜7ms程度で、距離に換算すればモニターから2mほど離れている程度なので、まず問題にはならないでしょう。

 もちろん、インイア・モニターなどでモニタリングした方が良いと思いますが、モニター・スピーカーからの音のかぶりが多少あっても、しっかり認識してくれたことも付け加えておきます。また、細かいスピード調整こそできないものの、効きの強弱をコントロールできるピッチ・コレクト機能が付いているので、ライブ・パフォーマンス時のピッチ補正や、あえてケロケロさせることもできるのは地味にありがたいことだと思います。

 さらに使い込み、プリセットを掘り下げるにつれ、Waves Harmonyがただのインテリジェント・ピッチ・シフターではなく、多用途なクリエイティブ・ボーカル・プラグインだということに気付かされました。本プラグインには4系統のLFO(ステップ・シーケンサーに切り替え可能)と2系統のエンベロープ・ジェネレーター(ADSR)を搭載。

画面右下の三角(赤枠)をクリックすると、LFOやステップ・シーケンサー、アンプ・エンベロープの設定などが行える

画面右下の三角(赤枠)をクリックすると、LFOやステップ・シーケンサー、アンプ・エンベロープの設定などが行える

 インスタンス数を増やすことなく、各声部のピッチ、フォルマント、パン、ディレイ、フィルターなどに動きを付けることができ、よりエフェクティブだったり、ほのかな揺らぎでより有機的なサウンドにすることも可能です。ピッチ・ディレイとしてもなかなか優秀なのでAUXにインサートする……など、いくら文字を重ねても説明し切れるものではない上、500を超えるプリセットが搭載されているので、まずはデモ・バージョンを試してもらいたいです! なお、WAVES製品は7日間のデモ期間中、機能制限なく使えますが、楽しくて時間が溶けるのでしっかり時間を確保してから試しましょう!

 

中土智博
【Profile】Remark spiritsのサウンド・プロデューサーを経て、作編曲家として活動中。栗林みな実、乃木坂46などへの楽曲提供のほか、『あんさんぶるスターズ!』などのゲーム音楽も手掛ける。

 

WAVES Waves Harmony

20,460円

WAVES Waves Harmony

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.15.7/11.6.5/12.3.1(INTEL Core I7/I9/Xeon-W、APPLE M1)、
▪Windows:Windows 10 バージョン 21H2(64ビット)/11バージョン 21H2(INTEL Core I5/I7/I9/Xeon ※Gen 5以降、AMD Quad-Core)
▪共通項目:8GB以上のRAM(Macは16GB以上推奨)、16GB以上の空きディスク容量、解像度1,024×768以上のディスプレイ(1,280×1,024または1,600×1,024を推奨)
▪対応フォーマット:AAX Native、AudioSuite、AU、VST、VST3、SoundGrid

製品情報

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