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「UJAM Beatmaker Nemesis」製品レビュー:マルチバンド・コンプとひずみを搭載するサイバーパンク向きドラム音源

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 UJAMからドラムンベースのプロデューサーDJ RusherがプロデュースするMac/Windows対応ドラム音源=Beatmaker Nemesisが発売されました。ダークで激しいサイバーパンクがテーマで、中央に表示されるキャラクターがチャーミングですね。では、Beatmaker Nemesisの魅力を余すところなく解き明かしていきます!

60種類のサンプルや10種類のドラム・キットを
30種類のリズム・パターンで再生可能

 Beatmaker Nemesisには、60種類のドラム・サンプルと、キック×2、スネア×2、ハイハット×3、タム×3、シンバル×2、パーカッション×2、ボイス・サンプル×2の16パートで構成されたドラム・キットを10種類収録しています。画面左上の“Kit”をクリックすることでキットの切り替えが可能。画面左下の“Instrument”で1音ごとにサンプルを変えたり、それぞれの音のボリューム/ディケイ/ピッチ/フィルターのパラメーターを調整可能です。自分の理想通りのドラム・キットを設定することができます。

 

 画面右下の“Style”では、用意された30種類のリズム・パターンでドラム・キットを再生可能。基本はDAWのテンポにシンクして再生されますが、種類ごとに推奨されるテンポが記入されています。操作は白鍵部分の“Verses”“Choruses”“Specials”で基本となるパターンを再生。黒鍵部分の“Intros”“Fills”“Endings”“Breakdowns”でビートの始まりと終わりのパターンを変えたり、フィルなどブレイクを差し込むこともできます。“Micro Timing”では再生速度を2倍、1倍、1/2倍に設定可能。例えばDAW上のBPMを2倍に変えても、Beatmaker Nemesisの倍率を1/2倍に設定することで、ドラムのみ速度を変えずに作業ができます。

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“Instrument”でドラム・サンプルを指定し、エディット。右の“Style”でリズム・パターンを選択して再生できる。画面下に表示されるパラメーターを使うことで、各パートの加工や、マスターの音の調整をすることも可能

 また、画面左上の“Snare〜Kick”のパラメーターでは、スライダーを動かすことでスネアとキックの音量を調整でき、例えばSnare側に振り切るとキックが完全にミュートされます。リズム・パターンに直感的な展開を付けることが可能です。その右には、完成したビートの質感を変化させるパラメーターも用意。アグレッシブなマルチバンド・ディストーション“Hypercharge”と、存在感を強調するマルチバンド・コンプ“Pressurize”です。強力で暴力的な音にしたければ“Hypercharge”に、重たいメタリックなサウンドにしたければ“Pressurize”にスライダーを寄せるのがお勧めです。

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右のスライダーで、マルチバンド・ディストーション“Hypercharge”またはマルチバンド・コンプ“Pressurize”をかけられる

12種類のドラム・ミックス・プリセットを収録
レトロな質感や金属的な響きも演出可能

 次に画面右上の“Mix”は、エフェクトを用いて多角的にサウンドを変えられるパラメーター。この“Mix”がBeatmaker Nemesisで最も重要かつ特徴的な機能だと思いました。操作方法は極めて簡単で、まず12種類のミックス・プリセットから好みのものを選択し、“Amount”でかかり具合を調整するのみです。“Beat Intensity”は音の強度を調整するパラメーターで、上げると高域が強調され、下げると高域が削れてこもった音像になります。

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“Mix”で好みのミックス・プリセットを選び、“Amount”でエフェクトのかかり具合を調整することが可能だ

 例として幾つかミックス・プリセットを紹介しましょう。“Smack”は、中域を抑える代わりにハイハットの高域とキックの低域を自然に前へ出すプリセットで、より打ち付けるような質感を得ることができます。“Retro”は名前の通り古いラジカセのようなノイズ混じりの質感を付与することが可能。一般的なデチューン系のエフェクトでは音やせしたりもしますが、それが“Retro”では全く起きないのが素晴らしいです。“Vibes”は中域を鋭くブーストして音のリリースを持ち上げるので、金属音のような響きを演出することができます。

 

 ミックス・プリセットとディストーション系の設定が素晴らしく、内蔵サンプルの量は多いとは言えないものの、加工の仕方で無限のバリエーションが作れます。どのパラメーターもユニークですが、どんなに無茶な使い方をしてもビートが破たんすることないのが魅力。ハードなサウンドを扱う際は、耳に刺さる帯域や不自然な音量差、アタック感などの問題が山積みなので、Beatmaker Nemesisはそれらを事前解決してくれていると言えます。SF的な世界観の楽曲はもちろん、インダストリアルなエレクトロにはうってつけ。しっかりと芯を残したままビートの質感や強度を変化できるので、EDM、ハイブリッドなトラップ、ダブ・ステップ、ハード・テクノ、レイブなどにも有効でしょう。ハードでインダストリアルなビートを、短時間かつ高いクオリティで作れますので、楽曲制作の糸口としても良さそうです。ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。

 

Carpainter
【Profile】横浜在住のDJ/ビート・メイカー、Taimei Kawaiによるソロ・プロジェクト。ベース・ミュージックやテクノを軸とした楽曲で世界的な評価を得る。TREKKIE TRAX発足/運営メンバーの一人。

 

UJAM Beatmaker Nemesis

7,502円(価格は為替相場によって変動)

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REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.11以降、AAX/AU/VST対応のDAW(64ビットのみ動作、APPLE Logic Pro 10以降に対応、APPLE M1対応は準備中)
▪Windows:Windows 8以降(64ビット)、AAX/VST対応のDAW
▪共通:INTEL CPU、4GB以上のRAM、1,280×768pixel以上の画面解像度