ダイナミック型インイア・イヤホンのSENNHEISER IE 500 Pro（オープン・プライス／市場予想価格：78,000円前後）。ダイナミック・ドライバーの動作原理から再設計し、モニタリング・イヤホンに求められる性能を実現。さらに専用コネクターを採用したツイスト・ペア・ケーブルにより、ノイズの影響を最小限に抑えているという。そんなIE 500 Proをゴンドウトモヒコに使ってもらった。日ごろからハイエンドなイヤホンをライブや制作に使っている彼に、その魅力を語っていただく。
Photo: 川村容一
【Profile】 METAFIVEや蓮沼フィルのメンバーをはじめ、玉置浩二や吉澤嘉代子らのサポートも行う音楽家。NHK Eテレ『ムジカ・ピッコリーノ』の音楽監督も務める。自身のレーベル愚音堂も主宰
重量を感じず演奏に集中できる装着感
スムーズに着脱可能なイア・アダプター
イヤホンはライブ中のモニタリングはじめ、音楽制作やリスニングなど、あらゆる場面で使用しています。制作に煮詰まるとイヤホン・ショップに行くくらい好きです。イヤホン隆盛ということもあって機種が多い中、僕は50,000円以上の機種を聴き比べることが多いです。
まずIE 500 Proを装着してみて思ったのが、重量を感じさせない装着感の良さ。これならライブでプレイに集中できますね。イア・アダプターはフォームのLサイズを使ったのですが、すっと耳に入りますし、外すときも圧迫感がありません。数あるイア・アダプターの中でも質が高いと言えます。ケーブルはほどよい固さで取り回しやすいです。耳にかける部分を好きな形状に変えられるのも好印象。コネクターを再生機器につないでみると、回ったりせずにぴったり付いてくれました。作りの良さを感じますね。ケーブルの端子は専用コネクターを採用しています。
フラットかつ分離感に富んだサウンド
距離感や余韻の再現性に優れた特性
ではAPPLE iPhoneにつないで聴いてみます。普段から耳型を取ってカスタム・オーダーしたイヤホンを使っているのですが、それと比べてもそん色の無いサウンドです。フラットな音響特性かつ分離感に優れています。ある程度大きな音量を入力してもひずみません。低域と中域がやわらかいニュアンスで、良い音だと感じます。高域も痛くなく、しっかりとフォローしている印象。距離感や余韻の再現力に優れているので、ジャズやクラシックに合います。特にウッド・ベースの細かな表現力が素晴らしい。弦楽器も美しく響きます。
IE 500 Proはドライバーが耳から近いからか、鼓膜に音が直接届くような感じがしました。そのおかげで、着けた瞬間に良いポジションになります。これは、片方だけ外すこともあるライブではありがたい性能です。僕は耳に押さえ付けながらモニターのチェックをすることが多いのですが、機種によってはその際に位相がズレて音が変わってしまうことがあります。IE 500 Proでもやってみたところ、そういった問題は起こりませんでした。
次はオーディオI/Oにつないで、マスタリングのチェックに使ってみました。昨今はイヤホンで音楽を聴く方が多いため、最終チェックはいつもイヤホンで行っています。日ごろ使っている機器で、音楽的な要素をリスナーの視点で確認するのです。いつもはスピーカーのFOSTEX NF-1とヘッドフォンのAUDIO-TECHNICA ATH-MSR7Bでモニターしているのですが、IE 500 Proに切り変えても全く違和感がありません。モニター機としてもしっかり使えます。
良い音を聴いてしまうと、以前のクオリティでは満足できなくなってしまうのがオーディオ機器。ぜひIE 500 Proでネクスト・ステップへ足を踏み入れてみてください。既に高級機を持っている方へもサブ機としてお薦めです。
【SPECIFICATIONS】
▪形式：ダイナミック・カナル型 ▪周波数特性：6Hz～20kHz ▪感度126dB（1kHz/1Vrms） ▪ケーブル長：1.3m、Y 型 ▪コネクター：専用コネクター ▪インピーダンス：16Ω ▪全高調波ひずみ率：0.08%以下 ▪重量：18g
製品情報
SENNHEISER IE 500 Pro
オープン・プライス／市場予想価格：78,000円前後
▪形式：ダイナミック・カナル型 ▪周波数特性：6Hz～20kHz ▪感度126dB（1kHz/1Vrms） ▪ケーブル長：1.3m、Y 型 ▪コネクター：専用コネクター ▪インピーダンス：16Ω ▪全高調波ひずみ率：0.08%以下 ▪重量：18g
製品情報
