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RUPERT NEVE DESIGNS Newton Channel レビュー:出力トランスの倍音を増幅させる“SILK”機能搭載のチャンネル・ストリップ

RUPERT NEVE DESIGNS Newton Channel レビュー:出力トランスの倍音を増幅させる“SILK”機能搭載のチャンネル・ストリップ

 数々の名盤に使われてきたプロ用録音機材の名門メーカーNEVE。その創始者=ルパート・ニーヴ氏が立ち上げたブランド、RUPERT NEVE DESIGNSから、新たなチャンネル・ストリップ、Newton Channelが発売になった。製品名の“Newton”とは、彼の生まれ故郷であるイギリスのニュートン・アボットに由来する。いわば、彼の人生における音の旅の集大成と言えよう。

出力段にカスタム・トランスを搭載

 Newton Channelは、マイクプリ、EQ、コンプレッサーの3つのセクションで構成されている。マイクプリ・セクションには、標準的なマイクのインピーダンスにマッチするように調整されたマイクプリが配されているが、ライン・レベルでも同様に駆動させることが可能。また入力段には、バイパス・スイッチを備えた周波数レンジの調整が行えるハイパス・フィルターが搭載されており、不要なノイズや低域のうなりなどの除去が可能だ。

 EQセクションは、最大12dBのブースト/カットが可能な低域(60/150Hz)と高域(8/16kHz)のシェルフ・バンド部と、220Hzから7kHzまでの帯域をブースト/カット可能なパラメトリック・ミッドバンド部の3バンド構成。コンプレッサー・セクションには、+20dBのメイクアップ・ゲインが可能なVCAコンプレッサーが搭載されている。コンプレッサーをEQセクションの前に配置することができる“PRE EQ”ボタンも搭載されているところは、さすがRUPERT NEVE DESIGNSの設計と言えるだろう。

 Newton Channelの大きな特徴は、出力段にカスタム出力トランスを備えていることと、その出力トランスを飽和させることで2次と3次の倍音を増幅し、ビンテージなトーンを得ることができる“SILK”という機能を装備していることだ。SILKには、高域と中高域から発生する倍音成分を強調する“SILK RED”と、低域と中低域から発生する倍音成分を強調する“SILK BLUE”があり、それぞれハイエンドにキラキラとした輝きを加えたり、信号をボトム・アップして強化したりすることが可能だ。

 出力については、メイン・アウト以外に独立した−6dBuのアウトプットが用意されており、高いレベルの入力や、SILKによる倍音の飽和を補正することが可能。次に接続するデバイスをクリップさせることなくNewton Channelをフルドライブさせ、より多くのトランスの倍音を得ることができる。これら2系統の出力は、同時に使用することも可能だ。

リア・パネル。左から、電源、メイン・アウトと−6dBアウトのXLRピン1を、シャーシ・グランドから分離させるグランド・リフト、−6dBアウト、メイン・アウト、2台のNewton Channelをリンクさせて、ステレオ・コンプレッサーとして使用できる端子(TRSフォーン)、インプット(XLR/TRSフォーン・コンボ)

リア・パネル。左から、電源、メイン・アウトと−6dBアウトのXLRピン1を、シャーシ・グランドから分離させるグランド・リフト、−6dBアウト、メイン・アウト、2台のNewton Channelをリンクさせて、ステレオ・コンプレッサーとして使用できる端子(TRSフォーン)、インプット(XLR/TRSフォーン・コンボ)

NEVE 1073と同様のしっかりした音

 それでは、実際にチェックしていこう。チェックにあたり、比較用の機材としてビンテージのNEVE 1073を使用した。

 まずはマイクプリ・セクションについて。マイクプリは、1073と同系統のしっかりとした音だ。低域が少しファットで若干ぼやけるようだが、価格差を考えると上出来なレベルであろう。ボーカル録音で試した印象は“さすがのNEVEサウンド”。少し音像が大きくなるが、1073に似た芯をとらえた音だ。アコースティック・ギターについても同様、しっかりとした音が得られる。ハイパス・フィルターについては、1073の場合、LCRフィルターであるが故に若干レベルが下がってしまうのだが、Newton Channelはレベルが下がらないので、使いやすいと感じた。

 次はEQセクション。低域は60Hzと150Hzのシェルビングで、1073にある30Hzが省略されている。30Hzは扱いが難しい部分なので、一般の人が使う想定で省略したのかもしれない。ブーストした後のサウンドが1073に比べ若干腰高な印象で、ポップスの音作りの際に扱いやすそうだ。中域は1.5kHz辺りをブーストしてみたところ、1073に比べてかかり方がマイルドな印象だった。いわゆるEQくささの少ない奇麗なサウンドを求める人に向いていると思う。高域は8kHzと16kHzの2種類のシェルビングで、こちらも1073に比べてマイルドなかかり方をする印象。今までもルパート・ニーヴ氏のデザインする機材は奇麗な音がしてきたので、この方向性は彼の目指したサウンドなんだろうと思う。

 続いてコンプレッサー・セクションについて。リリース・タイムは50~500msと幅広く設定できるが、アタック・タイムは20ms(固定)と、比較的遅めのタイムでデザインされている。この点においては、ベースやドラムに向いているのではと思う。また、アコースティック・ギターのカッティングに用いても、気持ち良いサウンドが得ることができた。

 最後はSILKについてのチェック。“SILK”と書かれたスイッチを1回押すとLEDが赤く点灯し、“SILK RED”となる。“TEXTURE”と書かれたツマミを時計回りに回していくと、高域と中高域の倍音が付加され、ボーカルやアコースティック・ギターに向いたジャキっとした気持ちの良いサウンドに変化していく。SILKスイッチをもう1回押すと、今度はLEDが青く点灯し“SILK BLUE”となる。こちらは、低域と中低域から発生する倍音が強調された、力強いサウンドが得られる。ベースやドラム、エレキギターなどに最適なサウンドだ。いろいろと組み合わせて試してみたが、ハイパス・フィルターで150Hz辺りまでの低域をカットし、コンプレッサーを入れ、SILK REDモードでTEXTUREノブを目一杯回した設定で録音したアコースティック・ギターのカッティングが、かなりかっこいいサウンドであった。

 Newton Channelを含め、現代の機材はSN比が良好である。ビンテージ機材の良さもあるが、この価格でこれだけのパフォーマンスが得られるメンテナンス・フリーの現行機材を使うことは、ストレスのない録音環境を得る手段として、アドバンテージとなる。Newton Channelはルックスが往年のNEVEの機材を踏襲しているという点も、気分を上げてくれて良いのではないだろうか?

 

山田ノブマサ
【Profile】福山雅治、南佳孝らのミックス/マスタリングを担当。LOVE PSYCHEDELICOやダイアモンド ユカイの制作ではミュージシャンとしても活動。ジャズに注力したハイレゾ配信amp'box Label主宰。

 

 

 

RUPERT NEVE DESIGNS Newton Channel

オープン・プライス

(市場予想価格:286,000円前後)

RUPERT NEVE DESIGNS Newton Channel

SPECIFICATIONS
▪入力インピーダンス:8,900Ω ▪最大入力レベル:+23.6dBu ▪ノイズ:−102dBu(ライン出力)、−107dBu(−6dBライン出力)、−95dBu(ライン出力、+30dBゲイン)、−125dBu(等価入力ノイズ@+30dBゲイン) ▪最大出力レベル:+23.6dBu ▪周波数特性:10Hz〜30kHz(±0.1dB)、5Hz〜70kHz(±0.25dB)、5Hz 〜140kHz(−3dB) ▪THD+N、BW(10Hz〜22kHz):0.0013%(0dBu@1kHz)、0.0007%(+20dBu@1kHz) ▪外形寸法:483(W)×45(H)×483(D)mm ▪重量:3.1kg

製品情報

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