トラップのループ・メイキングに役立つFL Studio付属インストゥルメンツ・トップ3|解説:Puckafall

トラップのループ・メイキングに役立つFLStudio付属インストゥルメンツ・トップ3|解説:Puckafall

 サンレコ読者の皆さん、こんにちは。音楽プロデューサーのPuckafallです。普段はトラップ・シーンのラッパーを中心に楽曲提供を行っています。また愛用するIMAGE-LINE FLStudioは、これまでWindowsのラップトップにインストールして使っていましたが、今月からはAPPLE MacBook Proで使用しています。FL StudioはWindowsとMacに両対応なのでありがたいですね。
 連載第2回はトラップのサブジャンルなども含め、トラップのループ・メイキングに役立つFL Studio付属インストゥルメンツ、トップ3をご紹介していきましょう。

サウンド・ライブラリーを土台に音作りするFlex ハイパーポップや哀愁系のループにもお薦め

 まずは万人受け間違いなしのFlex。

Flexは、FL Studioの全エディションに付属するインストゥルメンツ。PACKSと呼ばれるサウンド・ライブラリーがあり、それに収録されたプリセットを土台としてサウンド・メイキングを行っていきます。画面中央上部にあるANALYSISセクションにはオシロスコープ、スペクトラム、ベクタースコープ、スペクトログラムを搭載しており、視覚的に音を分析することが可能です

Flexは、FL Studioの全エディションに付属するインストゥルメンツ。PACKSと呼ばれるサウンド・ライブラリーがあり、それに収録されたプリセットを土台としてサウンド・メイキングを行っていきます。画面中央上部にあるANALYSISセクションにはオシロスコープ、スペクトラム、ベクタースコープ、スペクトログラムを搭載しており、視覚的に音を分析することが可能です

 FL Studio全エディションに付属するインストゥルメンツで、減算合成、ウェーブテーブル、マルチサンプル、FM/AM方式のシンセサイズが可能なソフト・シンセです。こう書くとシンセ初心者の方は“なんだか難しそう”と感じるかも知れませんが、FlexはPACKSを基本に音作りするシンセなので使い方は超簡単!

 PACKSとはFlex専用ライブラリーのことです。画面左端にはPACKSとそのプリセットを選択するセクションがあり、さらにその右隣にはANALYSIS/MACROS/PITCH/FILTER/ENVELOPES/MASTER FILTER/DELAY/REVERB/LIMITER/OUTといったセクションが配置されています。

 使い方としては、任意のPACKSからプリセットを選び、その右隣にある各パラメーターをコントロールしてサウンドを微調整するというもの。プリセットを駆使することで、より素早いサウンド・メイキングが行えるでしょう。またPACKSはトラップ・ビートで重要なROLAND TR-808系キック・ベースからシンセ、ギター、ベースまで豊富です。さらにSTOREタブでは新たなPACKSを追加購入することも可能。私はEssential GuitarsやEssential WindsなどのPACKSが好きでよく利用しています。

 特に気に入っているところはMACROSセクション。ここにはプリセットに応じて変化する8つのマクロがあります。例えばギターやピアノのプリセットにおいてPositionやMicといったマクロを調節すると、スムーズなサウンド・メイキングが行えるので大変便利です。またシンプルな音色でも8つのマクロをいろいろと駆使することで、かなり使える音色になることが多いでしょう。

 個人的な感想としては、Flexのシンセ・サウンドはエレクトロ・ミュージックや、それをふんだんに取り入れたハイパーポップなどにかなり有用です。ちなみにアメリカ人ラッパー、ジュース・ワールドへの楽曲提供でも知られる音楽プロデューサーのニック・ミラも、Flexでハイパーポップのトラックを制作していましたので、ぜひ皆さんも試してみてください。全体的に明瞭なサウンドで、哀愁系のループを作りたいときにも活躍します。

プラグに応用できる音色が満載のGMS レイジ・サウンドに対応可能なPoizone

 次に紹介するのは、GMS(Groove Machine Synth)。

FL Studioの全エディションに付属するインストゥルメンツ、GMS(Groove Machine Synth)。画面左上にはSYNTHパネル(赤枠)とMIDI/EQパネル(青枠)を搭載し、左下にある“▶MIDI/EQ”ボタンと“SYNTH◀”ボタンでそれぞれのパネル表示に切り替えることができます。画面右側には10種類のエフェクトを搭載しているのも特徴で、全体的に操作性が分かりやすいのもポイントです

FL Studioの全エディションに付属するインストゥルメンツ、GMS(Groove Machine Synth)。画面左上にはSYNTHパネル(赤枠)とMIDI/EQパネル(青枠)を搭載し、左下にある“▶MIDI/EQ”ボタンと“SYNTH◀”ボタンでそれぞれのパネル表示に切り替えることができます。画面右側には10種類のエフェクトを搭載しているのも特徴で、全体的に操作性が分かりやすいのもポイントです

 先ほどのFlexと同じで、こちらもFL Studioの全エディションに付属するシンセ系インストゥルメンツです。画面左上にはSYNTHパネルを搭載し、このパネルの左下にある“▶MIDI/EQ”ボタンをクリックすることでMIDI/EQパネルへ画面表示を切り替えることができます。

 このパネルの下には、FILTER/ENVELOPE/LFOという3つのセクションを配置。さらにその右手にはLVL EGセクションとCHANNELセクション、10個のエフェクト・ボタン、XYパッド、AMOUNTスライダー、LFOセクションなどを搭載しています。

 GMSはプリセットが300種類以上あるので、細かいシンセサイズが苦手なビギナーにもお薦めです。イメージ通りのサウンドを必ず見つけられるでしょう。私としては、GMSは他のシンセ系付属インストゥルメンツの中でも幅広い音楽ジャンルで使えるプリセットが多い印象で、実際に“これカッコいいな!”と思うサウンドがたくさんあります。

 特に“Leads & Synths”というプリセット・カテゴリーに収録された音色は、2017年〜2019年ごろのピエール・ボーン、ヤング・ヌーディ、ヤング・バンズなどの楽曲に登場するループ・サウンドに近い傾向があります。つまり、生演奏っぽいフレーズが特徴と言われるトラップのサブジャンル、プラグ(Plugg)に応用できる音色も少なくありません。

 もちろんプリセットをそのまま使うだけでなく、各セクションのパラメーターや画面右側のエフェクトでサウンド・メイクしていくのもよいでしょう。例えば私はシンセ・リードで良いメロディができたら、ディストーションやフェーザー、エコー、リバーブなどのエフェクトを試します。各エフェクトは画面右側にあるXYパッド上の赤い点をマウスでドラッグすることでかかり具合を直感的に調節可能です。ここがGMS一番のお気に入りポイント。個性的なサウンドを演出したいときにもお勧めです。総じてシンプルな操作性なので、初心者の方でも扱いやすいソフト・シンセだと思います。

 最後に登場するのは、All Pluginsエディションに付属するシンセ系インストゥルメンツのPoizone。

FL StudioのAll Pluginsエディションにのみ付属するインストゥルメンツ、Poizone。画面の最上段にはプリセット切り替えパネル(赤枠)のほか、UNISON DETUNE/UNISON PAN/GLIDE TIME/TRANSP/MICRO TUNE/GAINといったノブを備えています。また、それらの下部にはLFO/ENVELOPE/AMPLIFER/OSCILLATOR A&B/FILTER/ARPEGGIATOR/DELAY/CHORUSなどのセクションを搭載。各操作子は比較的シンプルにデザインされているように思います。約400弱ものプリセットを収録しているのもトピックで、私的にはシンセ・ベースの“33 BAS creamsick”、シンセの“113 LED Diva”や“231 YSN DigitalTC”が個性的なサウンドなのでお気に入りです

FL StudioのAll Pluginsエディションにのみ付属するインストゥルメンツ、Poizone。画面の最上段にはプリセット切り替えパネル(赤枠)のほか、UNISON DETUNE/UNISON PAN/GLIDE TIME/TRANSP/MICRO TUNE/GAINといったノブを備えています。また、それらの下部にはLFO/ENVELOPE/AMPLIFER/OSCILLATOR A&B/FILTER/ARPEGGIATOR/DELAY/CHORUSなどのセクションを搭載。各操作子は比較的シンプルにデザインされているように思います。約400弱ものプリセットを収録しているのもトピックで、私的にはシンセ・ベースの“33 BAS creamsick”、シンセの“113 LED Diva”や“231 YSN DigitalTC”が個性的なサウンドなのでお気に入りです

 今回紹介した3つのインストゥルメンツの中では、Poizoneが近年流行しているトラップ・サウンドに一番対応できると考えます。プリセットは約400弱もの数を収録し、怪しげかつ、パワフルなシンセ音が特徴的です。どちらかというとトランスやテクノよりの音色が多い印象なので、ラッパーのイート(Yeat)やラッキー(Lucki)、ソーフェイゴ(SoFaygo)などの楽曲に見られるようなクラウド・ラップやレイジといった系統のサウンドに合うでしょう。プリセットの音が独特かつカッコいいので、私はそのまま楽曲に採用することも多いです。

 さらにアルペジエイター機能も付いているためクリエイティブなリフを生み出しやすく、各セクションのパラメーターは必要最小限なので操作も簡単。トランス・ゲートも搭載するので、“もう少し音色にインパクトが必要だな”と思った場合はTRANCE GATEセクションをいじると良い感じになることが多いです。もし読者の方がSignatureエディションの場合はPoizoneのデモ版が付属していますので、ぜひ試してみてください。Poizoneは単体購入することも可能です。それでは、また次回!

 

Puckafall

【Profile】2000年生まれのヒップホップ・プロデューサー、ビート/ループ・メイカー。2020年からIMAGE-LINE FL Studioを用いたビート・メイキングを始める。これまでにリル・キード、ハンクスホーといった海外のラッパー勢のほか、国内ではJP THE WAVYやLEX、Only U、Sound's DeliのメンバーTim Pepperoni、Showyなどへ楽曲提供している。またオンライン・ゲーム、VALORANTのWEB CM音楽も制作。ピアノやシンセサイザーを使用した哀愁のあるループが特徴だ。

【Recent work】

『宝物 (feat. ShowyVICTOR & ShowyRENZO)』
Showy
(Showy Production)

 

 

 

IMAGE-LINE FL Studio

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LINE UP
FL Studio 21 Fruity:19,800円|FL Studio 21 Producer:33,000円 |FL Studio 21 Signature:39,600円|FL Studio 21 Signature クロスグレード:25,300円|FL Studio 21 Signature 解説本バンドル:41,800円|FL Studio 21 クロスグレード解説本バンドル:27,500円

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.13.6以降、INTELプロセッサーもしくはAPPLE Silicon M1をサポート
▪Windows:Windows 8.1/10/11以降(64ビット)INTELもしくはAMDプロセッサー
▪共通:4GB以上の空きディスク容量、4GB以上のRAM

製品情報

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