ZOOM ZSG-1 レビュー:ビデオグラファーに最適なプラグイン・パワー方式のショットガン・マイク

ZOOM ZSG-1 レビュー:ビデオグラファーに最適なプラグイン・パワー方式のショットガン・マイク

 ZOOMから新たなオンカメラ・ショットガン・マイクZSG-1が9月中旬に発売されます。今までレコーダー付きのものや交換式マイクとしてのショットガン・マイクは発売していたZOOMですが、今回初めてショットガン・マイク単体でのリリースとなります。最近のオンカメラ・マイクの需要に応えた形かとは思いますが、早速、気になる仕様などを見ていきましょう。

ショック・マウントやウィンド・スクリーンが付属 長時間の収録にも有用な軽量性

 ZSG-1には、ショック・マウント、ウィンド・スクリーン、接続用ステレオ・ミニ・ケーブルが付属しています。ウィンド・スクリーンは、野外などの風がある場所で装着すると吹かれを防止できるので便利です。

ZSG-1(写真左から2番目)と付属のウィンド・スクリーン(同左)、ショック・マウント(同右)、ステレオ・ミニ・ケーブル(同右から2番目)

ZSG-1(写真左から2番目)と付属のウィンド・スクリーン(同左)、ショック・マウント(同右)、ステレオ・ミニ・ケーブル(同右から2番目)

 マイク種別としてはコンデンサー・タイプなので電源が必要ですが、プラグイン・パワー方式のマイクになっているため、乾電池などは必要ありません。外部マイク端子が付いている最近のカメラは、ほぼプラグイン・パワーに対応していますが、念のため使用するカメラが対応しているかどうか確認した方がいいでしょう。また、カメラによっては自動的にプラグイン・パワーがオンになるものと手動でオンにするものがあるため、その辺りは持っているカメラごとに確認しておいた方がいいと思います。ちなみに、マイク入力端子のあるコンピューターなども最近はプラグイン・パワー対応のものが多いため、そちらで使用することも可能です。

 出力はカメラに直接音声を送るマイク・レベルの出力端子が1つ付いているのみで、ヘッドフォン・アウトなどはありません。そのため使用時の音の確認には、カメラ側のヘッドフォン・アウトを使う必要があります。

ZSG-1の左面にある出力端子。出力レベルはマイク・レベル程度となっている

ZSG-1の左面にある出力端子。出力レベルはマイク・レベル程度となっている

 製品を手に取って一番驚いたのは、重厚感のある見た目に反してあまりにも軽いその筐体。手元にあったキッチン・スケールで測ったところ、なんとショック・マウントとケーブル込みでたった87gしかありませんでした。今までさまざまなオンカメラ・ショットガン・マイクを見てきましたが、こんなにも軽量なのは初めてです。筆者が既に使用している同社のM3 MicTrakも軽量だなとは思っていましたが、レコーダー機能を排しただけでこんなにも軽くなるのか……と驚きました。周りのカメラマンの中には、“マイクを付けると重くなるから使わない”という人が少なからずいるので、これは製品として大きなアドバンテージになると思います。

耐久性と音質の良さを両立 マイク正面の音をしっかりと捉える指向性

 軽量ということで耐久性や音質面はどうなのか?という疑問が生じる方もいることでしょう。まず耐久性の部分ですが、ショック・マウントをカメラのホット・シューに固定する部分は金属製のため、しっかりとカメラに固定することが可能で、安心できる仕様になっています。耐久性が必要な部分を、ちゃんと金属で作っていることに好感が持てました。マイク本体に関してはほぼプラスチック製ですが、固定する部分がしっかりとした仕様なので、よほどのことがない限りは壊れる心配もなさそうだなと感じます。

 肝心の音質については、スペック上の50Hz〜20kHzという周波数特性はしっかり感じられ、SN比も申し分なく、不必要なノイズは感じませんでした。最大音圧レベルは118dB SPLということなので、通常の状況ではマイク側でひずむことはないでしょう。音の質感も癖のない素直な音質で、収録後の調整なども行いやすい音でした。

 指向性はショットガン・マイクらしく、周りのノイズを抑え、マイク正面の音をしっかり捉えることが可能。インタビュー映像を撮影する場合やコメントを録る際には、話者の言葉をしっかりと聴き取りやすい音で録れます。特にエアコンなどのノイズや部屋鳴りが響くような場所ではカメラの内蔵マイクとZSG-1では比較にならないほどの差があります。

 一点注意が必要なのは、同社のM3 MicTrakは同じ見た目でM/Sステレオなどに対応していたのですが、ZSG-1はモノラルのみなのでステレオで臨場感のある音が録りたいという場合には適さないと思います。その場合はM3 MicTrakがお薦めです!

 また、ZOOMの製品は32ビット・フロート録音技術を搭載したものが多いため、このマイクもひずまずに録音できるのか?と思ってしまう方がいるかもしれませんが、こちらはマイク本体のみの製品ですので、録音時の性能はカメラ本体に依存しています。そのため、カメラ本体側での適切なゲイン調整が必要です。使用するときはできる限りヘッドフォンでモニタリングしながら音がひずんでいないかなどを確認することをお勧めします。

 実売で1万円を切るということなので、これはもう初心者の方が最初に購入するオンカメラ・ショットガン・マイクとしてもお薦めできますし、同系統の製品を既に持っているけれど、より軽量なマイクが欲しかったという人にもとても買いやすい製品だと思います。音質も性能も上位機種譲りの音なので、映像だけでなく音のクオリティをアップしたい方にぜひ手に取ってほしいです。しかし、本当にどうやったらこの価格でこの製品を作れるというのでしょうか……不思議でなりません。

 

森田良紀
【Profile】studioforestaを拠点として録音からミックス、マスタリング、映像撮影、配信までを行う。Fender Music Japan、TikTok LIVE、地経学研究所などの映像や配信番組の制作に携わる。

 

 

 

ZOOM ZSG-1

オープン・プライス

(ZOOM STORE価格:9,900円)

ZOOM ZSG-1

SPECIFICATIONS
▪タイプ:バック・エレクトレット・コンデンサー型 ▪指向性:スーパー・カーディオイド ▪周波数特性:50Hz〜20kHz ▪最大音圧レベル:118dB SPL ▪等価雑音レベル:24dB ▪出力インピーダンス:2.2kΩ ▪電源:プラグイン・パワー ▪SN比:70dB ▪ダイアフラム径:14mm ▪外形寸法:22.6(φ)× 176(H)mm ▪重量:40g ▪付属品:ショック・マウント、ウィンド・スクリーン、接続用ケーブル

製品情報

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