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NEXO P18 / L20 レビュー:シリーズで最も大型となるPA用ポイントソース・スピーカー/サブウーファー

NEXO P18/L20 レビュー:シリーズで最も大型となるPA用ポイントソース・スピーカー/サブウーファー

 NEXOから新たに発売されたポイントソース・スピーカーのPlusシリーズ。そのラインナップの中で、最も大型のP18とサブウーファーのL20をレポートしていこう。

音圧のある低域を実現するP18 高域は音量を上げてもヒリつかない

 P18は、18インチ・ネオジムドライバー(ウーファー)と、4インチダイアフラムの同軸で構成されたポイントソース・スピーカー。床に置くとコロガシモニターになる形状で、ポールマウントすればFOHスピーカーとしても機能する。

P18とL20をポールマウントした状態

P18とL20をポールマウントした状態

 また各種リギングアクセサリーを使用すればフライングも可能だ。指向角度は標準で60°×60°で、オプションのマグネット式フランジを取り付けることによって90°×40°に、または同社のPSシリーズで採用されている非対称の50°~90°×40°の指向性に変更することもできる。

オプションとして用意されているマグネット式ホーンフランジ(赤枠)を取り付けることで、指向角度を90°×40°、または非対称の50°~90°×40°に変更できる

オプションとして用意されているマグネット式ホーンフランジ(赤枠)を取り付けることで、指向角度を90°×40°、または非対称の50°~90°×40°に変更できる

 サブウーファーのL20は、755(W)×594(H)×905(D)mmという昨今のスピーカーからするとかなり大型な形状で、20インチ・ロングエクスカーション・ドライバーを搭載し、天面はポールマウントも可能な仕様になっている。後方への音量を減少させるカーディオイドモードも選択でき、フライングのためのリギング用ネジ穴も用意されている。

 まずはL20の上にP18を少し上向きにセッティングして、いつも使っている音響スペースにて、普段から用いているリファレンス音源でチェックした。その形状とスペックを見たときから想像していた音があり、実際に鳴らしてみると想像通りだったことに思わすニヤリとしてしまった。“やはり!”という感じである。

 というのも、P18の大型のキャビネットと口径の大きなウーファーから、ラインアレイやワンボックス型出現以前の、音圧を稼ぐために数で勝負していたころのサウンドを予測していた。当時は空気を揺らすためのウーファーの数でその音圧を稼いでいて、特に低域を出すためには口径の大きさやキャビネットの構造や容積も重要であった。キャビネットを自作したり、アンプとの組み合わせを考えたりして実現していた時代で、そのころからオペレートに関わってきた人にとっては、ある意味懐かしい音と感じるのではないか。

 高域は、音量を上げていってもヒリヒリしない。一般的なPAスピーカーでは、EQでスピードを抑えることが多い帯域が飛び出してこないのは、4インチという大きなダイアフラムの利点ではと想像できる。クロスポイントが900Hzと低めなのも功を奏していると感じる。同軸スピーカーの愛好者はレコーディング業界も含めて多く、それを大型のPAシステムで実現していることも画期的と言えるだろう。

20インチドライバーで十分な低域を再生するL20 P18はアクティブ/パッシブの切り替えに対応

 L20は、クロスポイントを60/85/120Hzから選ぶことができる。各ポイントを聴いてみたが、20インチという圧倒的な大きさの口径と、P18も18インチであるため、クロスポイントを下げていってもまさにサブローとして成り立っている。試聴スペースには低域に特有のピークがあるのだが、そのピーク内の上下の帯域もたっぷりと出ているためか、あまり気にならなかったのが不思議であった。最近では12インチクラスでもしっかりとした低域が感じられる製品も多いが、L20はリアルに大きな口径で低周波の空気振動を伝えていることが実感できた。

 パワーアンプはNEXO純正のNXAMP4x4MK2が推奨されており、今回の試聴にも用いてみた。P18はアクティブ(バイアンプ)/パッシブの切り替えに対応し、アクティブではクロスポイントの辺りが少し前に出るサウンドとなり、バイアンプのパワーを実感できる結果となった。

P18の背面にはスピコン×2とACTIVE/PASSIVE切り替えスイッチを装備

P18の背面にはスピコン×2とACTIVE/PASSIVE切り替えスイッチを装備

 次に、P18を足元に置いてコロガシのモニタースピーカーとして試聴。圧倒的な音圧とハウリングマージンが高いことに驚愕(きょうがく)した。こちらでもアクティブとパッシブを試してみたところ、近距離ではパッシブの滑らかさの方がなじみが良い。かつて主流であったこのようなラージシステムも、さすがに今時では、“これは舞台監督に怒られる(笑)”という大きさだが、イヤモニが苦手なアーティスト向けや、当時を再現するような意味では面白いかもしれない。

 ポイントソースなので、積み方、つり方は均一である必要はなく、カバーしたいエリアに向けて使うのがよいだろう。距離のあるスペースに対してのアドバンテージには劣る部分もあるかとは思うが、スピードが速すぎない音もライブに必要な要素ではある。物理的な大きさは見た目の安定感があり、サウンドもベースの安定した音になっている。

 体力勝負で数多くのスピーカーを積み上げ、圧倒的なサウンドを競い合っていた時代がかつてのPAにはあった。ラインアレイや計算されたワンボックスの登場以前は、位相やディレイなど、理論で構築されたサウンドというよりは、ユニット数で面を作り、ロスがあることも含めて数で補っていたともいえる。そのサウンドを知る者にとって、このシステムに対するアプローチはイメージしやすいのではないか。P18とL20は、昭和の“あの”サウンドを、位相などを整えた上で、より少数で実現していると言えるだろう。

 

山寺紀康
【Profile】PAをメインに手掛けるサウンドエンジニア。磯貝サイモン、武藤彩未、井上苑子、新谷祥子、未唯mieなどのライブでPAを担当。尚美学園大学の芸術情報学部情報表現学科で教授を務める。

 

 

 

NEXO P18 / L20

各オープンプライス

NEXO P18/L20

SPECIFICATIONS
●P18
▪コンポーネント:18インチ・ネオジムドライバー、4インチ・コンプレッションドライバー ▪ドライブ方式:2ウェイパッシブまたは2ウェイアクティブ ▪周波数特性:50Hz〜20kHz ▪感度:107dB SPL Nominal(1W@1m) ▪最大音圧レベル(1m) :140dB SPL(パッシブモード)/142dB SPL(アクティブモード) ▪推奨パワーアンプ出力:1200~1900W/8Ω ▪外形寸法:579(W)×680(H)×446(D)mm ▪重量:33kg
●L20
▪コンポーネント:20インチ・ネオジムドライバー ▪周波数特性:28~120Hz ▪最大音圧レベル:141dB Peak(1m) ▪推奨パワーアンプ出力:2100~3300W/4Ω ▪外形寸法:755(W)×594(H)×905(D)mm ▪重量:59kg

製品情報

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