MACKIE. MP-20TWS レビュー:原音の再生に忠実なノイズ・キャンセリング機能付きワイアレス・イアフォン

MACKIE. MP-20TWS レビュー:原音の再生に忠実なノイズ・キャンセリング機能付きワイアレス・イアフォン

 MACKIE.から“ワイアレス・イアフォンでもスタジオ・モニター・サウンドを”とうたう魅力的なイアフォン、MP-20TWSがリリースされました。MACKIE.エンジニアリング・チームが設計、開発を行った10mmカスタム・ダイナミック・ドライバーを採用した製品ということで、“音楽制作にも使える”イアフォンとして期待値がとても高いです。

自然でクセのない音質

 まずMP-20TWS本体について、一言で表すと“質実剛健”。大きさも程よく、耳に装着してみたところ、イアフォン自体は片側10gで重さも感じられず心地良いです。イア・チップが3種類付属しているので、ご自身でベストな装着感に調整可能。私自身、左右の耳の大きさが若干違うので、まずは装着感の調整を行いました。イアフォンのポテンシャルを最大限に引き出すためにも、とても重要なポイントです。

イア・チップ側から見た本体。それぞれ中央にL/Rが表記されている

イア・チップ側から見た本体。それぞれ中央にL/Rが表記されている

 充電池内蔵のケースは50gと非常に軽く、外出時にカバンやポケットに入れてもストレスがないでしょう。連続動作時間は最大約13時間と長く、充電を気にせず長時間使用できることは大変心強いですね。

付属品としてワイアレス充電ケース、大きさの異なる3種類のイア・チップ、USB-C to Aケーブルを用意。MP-20TWS本体のみでは最大約13時間の連続使用が可能で、ケースによる充電も併用すれば最大約40時間連続使用できる

付属品としてワイアレス充電ケース、大きさの異なる3種類のイア・チップ、USB-C to Aケーブルを用意。MP-20TWS本体のみでは最大約13時間の連続使用が可能で、ケースによる充電も併用すれば最大約40時間連続使用できる

 それでは、早速音を聴いていきましょう。Bluetooth(バージョン5.2に対応)で、スマートフォンとの接続はサクッと完了。普段のリスニング用途を想定し、サブスクにていろいろなジャンルを聴いてみました。まず感じたのは、“音にクセがない”こと。私が聴き慣れているモニター・ヘッドフォンの傾向や音質と大きく変わらず、“ここまで自然なのか……!”と驚きました。もちろんリスニング用として捉えても地味な感じは全くなく、しっかりとMACKIE.らしいパリッとクリアなサウンドです。こういうイアフォンの登場はうれしいですね。

 続いて、アレンジを進行中のDAWのアウトプットにつないでみました(コンピューターとのペアリングもスムーズです)。プロジェクトの再生をしたりソフト・シンセを弾いてみたりしたところ、音の印象は音楽制作しているときでもリスニング時と相違なく、アレンジ作業に違和感なく没頭できました。個性として特定の帯域を伸ばしたり、ロー感を強調し高揚感を演出したりしているものがリスニング用のイアフォンには多い印象ですが、本機は特定の帯域にピークが感じられず、原音の再生に忠実な仕上がりです。制作時にスピーカーやヘッドフォンなどと併用する際も、作りたい音の方向を迷ったり悩んだりすることが少ないだろうと感じました。

 また、作業中にヘッドフォンの重さや耳の位置からアウトプットまで物理的な線があると、どうしても煩わしく思うときがあります。ですが、MP-20TWSならワイアレスで、付け心地良く高音質で音楽制作できるのは最高ですね。Bluetoothのストリーミング・レイテンシーとは別に、DAWやプラグインの負荷によるレイテンシーなどもあるので、DAW側のバッファー調整が必要かと思いますが、バッファーを上げても体感的にレスポンスが特段悪くなる印象はありませんでした。

 本機には、外部の音を取り込むアンビエント・モードやノイズ・キャンセリング機能も搭載(後に詳述します)。リバーブのエッジ感やL/Rの広がりといった細かいチェックをするときにはオフにするなど、作業する場所や工程の中で都度使い分けることも良い選択だと思います。

閉塞感のないノイズ・キャンセリング

 次に機能面について。私は移動の際に耳の保護やリラックスするために音楽を再生せず、無音のままノイズ・キャンセリングのみをオンにしてイアフォンを装着することが多いです。本機にはKNOWLES製のSiSonicというマイクが3基搭載され、ハイブリッドなノイズ・キャンセリング機能が備わっており、外出時に試したところ異次元の静かさでした。ありがちな閉塞(へいそく)感もあまりなくS/Nも良いので、すぐに平穏なプライベート空間を作ることができます。またL側のロゴを一度タップするとアンビエント・モードになり外音がすぐ入ってくるのでとっさのコミュニケーションが必要な際もすぐ対応できます。

 上記の機能を利用してオンライン会議や通話で使用したところ、無駄なノイズが皆無で、先方のニュアンスも拾い損ねない明瞭な音質のおかげでクリアに会話できました。マイクの感度も絶妙で、専用機として購入してもいいほど円滑なWebミーティングが可能だと思います。イアフォン本体のタップで各機能へのアクセスも可能。SiriやGoogleアシスタントにも対応しており、操作も簡単です。

 IPX4に準拠した生活防水も兼ね備えており、あまり神経質にならず日常生活でも使えます。最近はラップトップに直接イアフォンをつないで作業するクリエイターも増えていますが、その先を見据え、本機を普段使いとスタジオ・モニター用途と併用するスタイルもアリなのではないでしょうか。

 MP-20TWSは、まさに触れ込み通り、“スタジオ・モニター”としての抜群の作り込みと、あるとうれしい性能が求めやすい価格ながらハイクオリティで搭載されているイアファンです。ぜひ試してみてください。

 

高藤大樹
【Profile】“イマ”の時代を意識した音楽を作る、プロデューサー/作編曲家/キーボード・プレイヤー。クリエイター・マネジメントを行うSound Bahnの代表も務めている。

 

MACKIE. MP-20TWS

オープン・プライス

(市場予想価格:24,970円前後)

MACKIE. MP-20TWS

SPECIFICATIONS
▪ドライバー形式:10mmダイナミック・ウーファー+KNOWLES製バランスド・アーマチュア・ツィーター ▪周波数特性:10Hz〜20kHz ▪最大SPL:106dB@1kHz/1mW ▪感度:103dB(±3dB@1kHz/1mW) ▪Bluetoothバージョン:5.2 ▪対応コーデック:AAC/SBC ▪外形寸法:69(W)×42(H)×29(D)mm(ケース) ▪重量:10g(本体×1、実測値)、50g(ケース、実測値) ▪付属品:ワイアレス充電ケース、イア・チップ(3種類)、USB-C to Aケーブル

製品情報

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