誰でも簡単にゲーム配信が始められる、MACKIE.のプログラマブル・コントロールキー搭載ライブ配信/ビデオキャプチャー・インターフェース、その名もMainStream。今年の夏頃に発売を予定している本機を、ゲーム実況の配信を経験したことのあるバンドマンがレビューさせていただきます。
6つのカラフルなボタンは自由に機能を割り当てられる
結論から言うと、このMainStream、個人的に大満足です。まず素晴らしいと思ったのがその外観。MACKIE.と言えば、現場でイヤモニ用に使わせていただくことのあるアナログミキサーMIX8のような硬派なデザインの印象があったのですが、こちらはマットな質感でとても可愛いです。以前レビューさせていただいたデジタルミキサーDLZ Creatorに似た、ポップなテイストを感じました。わずか0.6kgと軽量であることや、横幅20cm程度というコンパクトなサイズ感はちょうどよく、机に置いているだけで楽しくなってしまいます。
トップパネルは非常にシンプルながら、“こんなことができたらいいのに”がすぐ実現できるような、細やかな配慮を感じます。
中央2カ所に配置された、マイクレベル、ヘッドホンレベルをコントロールする大きくて回しやすいノブ、オンにすると赤く点灯する視認性の良い各セクションのミュートボタンに加えて、上部には自由に機能を割り当てられる6つのマルチファンクションキーがカラフルに光っています。中央の緑~黄色~赤に光る大きなメインメーターも見やすいです。コンピューターとはUSB-Cケーブル1本で接続&起動でき、バスパワーで駆動する点も良いですね。
特にMainStreamが優れているのは、ストリーミング配信、録画に必要な映像&音声の機能のすべてが一台に集約されている点です。私が普段ゲーム実況を行う際には、オーディオインターフェースとHDMIキャプチャーボードを別々にApple MacBookへ接続する必要がありましたが、MainStreamを使用すれば必要な機材の量が減りますし、特に音声の部分でメリットがあります。配信に必要な音声すべてがこのMainStreamを通って出るので、本機だけですべての音量バランスを直感的に調整できるのです。背面にはダイレクトモニタースイッチを搭載しているため、ヘッドホンやスピーカーから、ゼロレイテンシーで音を確認することが可能です。特にゲームは、映像と音声とのタイミングのズレはできるだけない方がいいですからね。
そして、入力数の多さも魅力です。メインマイクを接続するXLR端子に加え、チャット用のヘッドセットを接続できるステレオミニ端子、スマートフォンを接続するステレオミニ端子も用意されています。自分のスマートフォンを接続して、配信中にゲストの音声を登場させるといった使い方もでき、配信の幅が広がるでしょう。
付属のソフト“Matrix”と組み合わせてDiscordやSpotifyの音声をルーティングできる
今回は実際にMainStreamを用いてゲーム実況動画を作成しました。動画の録画は、今まで使ってきた配信ソフトOBS Studio(以下OBS)を使用しています。
音声は調整したものがそのまま“MainStream”として出力される仕様。まとまっているのが分かりやすくていいですね。マイクのみ、HDMI音声のみミュートしたいときも、トップパネルに配されたミュートボタンを押すだけなので、とても分かりやすいです。また今回は、6つのマルチファンクションキーを効果音パッドとして使用しました。OBS上に音声トラックを作成し、設定画面でキーを指定するだけで、MainStreamがサンプラーに早変わりします。ほかにも、OBSのシーンをボタンで変更するなど、さまざまな用途に使えそうです。
音質もさすがMACKIE.。35年にわたる実績と経験に裏付けされたサウンドがしっかりと継承されているように感じました。映像については、4K×60fpsのパススルー機能を持つHDMI映像ポートに加えて、デュアルUSB-Cインプットハブを搭載しており、外部カメラやUSBマイク、USBメモリーなどを接続することが可能です。
そして、付属のソフト“Matrix”と組み合わせれば、DiscordやSpotifyなど、最大6つのバーチャル入力と4つのハードウェア入力を追加して、ストリーミング配信にルーティングすることが可能。
また、私は今までOBS上で音声トラックにコンプやEQなどのプラグインを挿して整音していましたが、そのような作業をMatrix上で完結させられるだけでなく、ボーカルエフェクトを追加したり、エフェクトのオン/オフをMainStreamのマルチファンクションキーに対応させることも可能です。さらに驚きなのがこのMatrix、MainStream以外の機器においても動作するということ。今後OBSに並んで音声面における配信ソフトのスタンダードになっていくのではないでしょうか。執筆時点ではWindowsのみの対応だったため、Mac版のリリースが待ち遠しいところです。
MainStreamは配信者の味方です。接続した外部カメラで多点アングルを作りながらゲームを楽しみ、Discordからチャットの音声を取り入れることもでき、場を盛り上げるための効果音も自分で鳴らせて、手元のボタンはカメラアングルの切り替えや待機画面へ入れ替えられるスイッチャーにもなります。これらの接続、操作が1台に集約されているので、リスナーを待たせることなくスムーズに配信を行えるでしょう。自分のアイディア次第でさまざまな使い方ができる素晴らしい製品だと思いました。ぜひ、自分だけの使い方を探してみてください。
いけだゆうた
【Profile】5人組オルタナティブ・ファンクバンドBREIMENのキーボード&コーラス担当。楽器のみならずラジオ/動画/ジングル/SE /BGMや録音編集などを自身で手掛けるマルチプレイヤー
MACKIE. MainStream
オープンプライス
(市場予想価格:42,680円前後)
SPECIFICATIONS
▪対応OS:Mac(macOS 10.12以降)、Windows(Windows 10以降) ▪周波数応答:20Hz〜20kHz ▪ビット/サンプリングレート:24ビット/48kHz ▪ゲインレンジ(マイクプリ):0〜60dB ▪HDRパススルー:4Kp60(Ultra HD) ▪解像度/フレームレート:1,080p60(Full HD) ▪外形寸法:214(W)×62(H)×95(D)mm ▪重量:0.6kg