MACKIE. M・Caster Studio レビュー:サンプリング・パッドを実装したライブ配信用コンパクト・デジタル・ミキサー

MACKIE. M・Caster Studio レビュー:サンプリング・パッドを実装したライブ配信用コンパクト・デジタル・ミキサー

 今回はMACKIE.からリリースされた、サンプラー搭載のライブ配信用コンパクト・ミキサー、M・Caster Studioのご紹介をさせていただきます。

視認性に優れたカラー・ディスプレイ ライブ配信に役立つ4つのサンプリング・パッド

 M・Caster Studioは、新書よりも少し大きいくらいのサイズ感で重量は700gと、机の上に置いても場所を取らないコンパクトさが魅力の一つ。トップ・パネルのノブ、ボタン、パッド、ディスプレイは過不足のない装備で操作性も十分と言えます。また、底面に実装されたLEDライトで、自分のデスクトップ上をスタイリッシュに彩ることができます。

LEDライトは10色+RGBの可変から選択可能。

LEDライトは10色+RGBの可変から選択可能。

 入出力周りを見ていきましょう。左端上から、スマートフォンからの音声入出力(TRRSフォーン)、ステレオ・ヘッドフォン出力とスピーカー出力(いずれもステレオ・ミニ)、電源端子。中央上から、ライン入力(ステレオ・ミニ)、コンピューターと接続するためのUSBポート(Type-C)。右端上からヘッドセット入出力(TRRSフォーン)、48Vファンタム電源ボタンとマイク入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)を装備。Bluetooth入力にも対応しており、お手持ちのスマートフォンなどから直接、M・Caster Studioに音声信号を入力し、ストリーミングに乗せることも可能です。

リア・パネル。左端上から、スマートフォンからの音声入出力(TRRSフォーン)、ステレオ・ヘッドフォン出力とスピーカー出力(いずれもステレオ・ミニ)、電源端子。中央上から、ライン入力(ステレオ・ミニ)、コンピューターと接続するためのUSBポート(Type-C)。右端上からヘッドセット入出力(TRRSフォーン)、48Vファンタム電源ボタンとマイク入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)

リア・パネル。左端上から、スマートフォンからの音声入出力(TRRSフォーン)、ステレオ・ヘッドフォン出力とスピーカー出力(いずれもステレオ・ミニ)、電源端子。中央上から、ライン入力(ステレオ・ミニ)、コンピューターと接続するためのUSBポート(Type-C)。右端上からヘッドセット入出力(TRRSフォーン)、48Vファンタム電源ボタンとマイク入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)

 次はトップ・パネルを見てみましょう。最上段中央には視認性に優れたカラー・ディスプレイを搭載し、瞬時に全体の信号レベルを把握/確認することができます。ディスプレイ左横にあるコントローラーのスティックのような役割を担うナビゲーション・ノブ、その左下のメニュー・ボタン、その右のホーム・ボタンで簡単に画面内を操作することができます。

ボイス・チェンジャーに特化したStreamFX ContourFXでラジオ放送の質感も再現可能

 カラー・ディスプレイの下には4つのサンプリング・パッドを実装。内蔵の3GBストレージ内の効果音や、M・Caster Studioで直接録音した音を各パッドにアサインすることで、ライブ配信中、瞬時にパッドを押して再生することが可能です。サンプリング・パッドの音量はカラー・ディスプレイ右横のノブで調節できます。

サンプラーのオプション画面。パッドに音を録音できる“Record”、ストレージ内の音をアサインする“Assign”、アサインした音を消去する“Clear”、パッドを押したときの再生モードを変更する“Mode”、パッドの発色を変更する“Colors”が用意

サンプラーのオプション画面。パッドに音を録音できる“Record”、ストレージ内の音をアサインする“Assign”、アサインした音を消去する“Clear”、パッドを押したときの再生モードを変更する“Mode”、パッドの発色を変更する“Colors”が用意

 サンプリング・パッドの下には、ノブやスイッチが縦3列でまとめられています。まず左の列ですが、こちらはマイク入力/ヘッドセット・マイク入力に関わる操作子。上から、StreamFX調節ノブ、ContourFX調節ノブ、入力ソース選択ボタン、ボリューム調節ノブと並んでいます。

 StreamFX/ContourFXは、M・Caster Studioに搭載されている2系統のエフェクト機能で、これらは内蔵DSPによって処理されています。StreamFXはピッチ・シフターなどのボイス・チェンジャーに特化した計21種類のエフェクト・プリセットを収録。

StreamFXのプリセット選択画面。著しく声のピッチが下がる“Diablo(悪魔)”といったボイス・チェンジャーに特化したラインナップに加え、ディレイやリバーブなどの空間系エフェクトも数多く用意

StreamFXのプリセット選択画面。著しく声のピッチが下がる“Diablo(悪魔)”といったボイス・チェンジャーに特化したラインナップに加え、ディレイやリバーブなどの空間系エフェクトも数多く用意

 ContourFXは歯擦音を軽減するディエッサーや、ラジオ放送の質感を再現するプリセットをはじめとした、EQ/コンプ系の計11種類のエフェクト・プリセットが用意されています。

ContourFXのプリセット選択画面。選択中の“De-Esser(ディエッサー)”のような配信者にうれしいプリセットだけでなく、ラジオ放送の質感を再現できるような“AM Radio”といったEQやコンプに特化したプリセットが収録されている

ContourFXのプリセット選択画面。選択中の“De-Esser(ディエッサー)”のような配信者にうれしいプリセットだけでなく、ラジオ放送の質感を再現できるような“AM Radio”といったEQやコンプに特化したプリセットが収録されている

 どのプリセットもかなり実用的に作られており、初心者でも手軽に理想のサウンドを作ることができます。各調節ノブによってエフェクトのかかり具合を調節可能で、反時計回りに回しきることでバイパスが可能。

 各調節ノブの下にある入力ソース選択ボタンは、選択されているソースのロゴが点灯する仕様で、その下のボリューム調節ノブは選択した入力ソースのゲインのレベルを−∞dB(オフ)から+10.0dBの範囲で調節することが可能です。

 次に中央の列ですが、こちらはライン/コンピューターからの音声入力に関わる操作子で、各ノブ/スイッチの仕様に関しては左の列と同じです。最後に右の列ですが、一番上にあるのがメイン・ミックス・ボリューム・ノブで、ヘッドフォンやヘッドセット出力などに送信される信号のレベルを調節できます。その下はBluetooth接続入力/スマートフォンからの音声入力に関わる操作子で、他の列と同じ仕様です。

 とてもコンパクトな作りにもかかわらず、内蔵プリアンプの質がとても良く、耳なじみの良い音で信号を入力することができます。なので、ただのミキサーとしてだけではなく、オーディオ・インターフェースとしての運用もお勧めです。また、気軽に持ち運びできることを考えると、M・Caster StudioはDTMerにとってもうれしい製品なのではないかなと思いました。

 

kain
【Profile】ボーカル/アレンジャー/サウンド・エンジニア。2011年から動画サイトへ投稿。2015年以降は編曲やエンジニアとしても活し、ミキシング、編曲などで参加した動画の総再生数は30億回以上。

 

 

MACKIE. M・Caster Studio

オープン・プライス

(市場予想価格:50,050円前後)

MACKIE. M・Caster Studio

SPECIFICATIONS
▪入力:マイク入力(XLR/TRSフォーン・コンボ、TRRSフォーン)、ライン入力(TRRSフォーン×2、ステレオ・ミニ) ▪出力:モニター出力(ステレオ・ミニ)、ヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ) ▪外形寸法:129(W)×72(H)×203(D)mm ▪重量:0.7kg

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS X 10.13以上 ▪Windows:Windows 10以上 ▪Android:Android 9以上 ▪iOS:iOS 13以上

製品情報

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