MACKIE. EM-99B レビュー:ポッドキャストなどのトーク配信のために開発されたダイナミック・マイク

MACKIE. EM-99B レビュー:ポッドキャストなどのトーク配信のために開発されたダイナミック・マイク

 ポッドキャストやライブ配信など、音楽制作以外においてもさまざまなコンテンツでより良い音質が求められる現代。今回は、MACKIE.が発売した配信用ダイナミック・マイクロフォン、EM-99Bを紹介します。

安定感のあるスタンドが付属

 EM-99Bは、サイズが274(W)×140(H)×213(D)mm、重量が2.3kgのダイナミック・マイク。どっしりとした安心感があり、付属の卓上マイク・スタンドに設置すると、デスクの上でしっかりと安定してくれます。

付属のマイク・スタンドに立てた状態。高さを調整するノブはプッシュ・タイプで、安定感がある

付属のマイク・スタンドに立てた状態。高さを調整するノブはプッシュ・タイプで、安定感がある

 付属のマイク・スタンドというと、正直“そこまでクオリティを求めるのは違うかな……”と思うことが多かったのですが、これは台座の部分がなんと10kgとかなり重く、しっかりしているので驚きました。高さを調整するノブはプッシュ・タイプなので、ネジを締めすぎて困ることなどがなく、とても便利です。単体で販売されているようなレベルのものだと思いました。この価格でこのクオリティのスタンドが手に入り、届いたその日から買い足すものなく制作を始められるのは、とてもうれしいですね。ブーム・アーム派の方は、別売りのデスクトップ・ブーム・アームDB-200(オープン・プライス:市場予想価格14,850円前後)をチェックするとよいかもしれません。

マイク・ケーブルはグリーンで華やか

 デザインにも重厚感があります。マットな質感のブラックが特徴的なマイク本体に、MACKIE.カラーのグリーンのマイク・ケーブルがアクセントに。このカラーは自宅スタジオが明るくなるので、魅力的に感じました。ブランド・マークが入ったポップ・フィルターも付属しています。

グリーンのマイク・ケーブル(左)とブランド・マークが入ったポップ・フィルター(右)が付属する

グリーンのマイク・ケーブル(左)とブランド・マークが入ったポップ・フィルター(右)が付属する

マイクの底面にはXLR端子を装備

マイクの底面にはXLR端子を装備

高域は柔らかく中低域/低域には深みがある

 オーディオ・インターフェースにつないでヘッドフォンでモニタリングしてみると、ダイナミック・マイク特有の温みのあるサウンドと、感度の良さを感じました。

 まずは、ボーカルを録音してみます。付属のポップ・フィルターは取り外し可能なので、声質や曲調に合わせて外したり取り付けたりと、試してみるのもよいかもしれません。私の場合は外した方が声に合っていて、高域は柔らかく、低域、中低域は深みのある音という印象です。周波数特性は50Hz〜16kHzで、感度は−53dBと十分ですが、コンデンサー・マイクより環境音を拾いにくいことを考えると、セッション映像の撮影などで、同時に複数のパートを録音するような場面にぴったりではないかと思いました。

 続いて、アコースティック・ギターを録音してみます。ギターそのものの音をキャプチャーしながら、カッティングやストロークの際に発生しがちなノイズは抑えてくれる印象。ナチュラルで、中低域に深みがあります。弾き語りの場合は、マイクを口元に向けて設置するとギターはどうしても小さくなり、傍らで鳴っている感じになります。ポッドキャストの収録の合間に弾き語りを披露する、といった使い方には向きそうです。

トーク収録の際にバランスの良さが発揮される

 そして、最後にトークの収録をテスト。スピーチや朗読、ポッドキャストやライブ配信に適切なサウンドを提供するために開発されたそうで、特別な調整をせずとも高いクオリティで収録や配信を行うことが可能です。

 演出のためにマイクから少し遠ざかって収録してみても、EM-99Bの感度の良さが分かります。逆にマイクに近づくと、より細かい声の質感を拾い、とても聴き心地の良い音を収録できました。低域が深く、高域が柔らかくなる印象です。トークの収録では、思わずマイクを触ってしまったり大きな声を出してしまうこともありますが、サスペンション・ホルダーが振動防止/緩和の役割を果たし、ポップ・フィルターがリップ・ノイズや大きな声を出したときのノイズを低減してくれます。基本的にはマイク・スタンドに設置して使用するものですが、ハンド・ノイズが少ないのも特徴なので、最近SNSでよく見るマイクを手に持って歌う演奏動画を制作する際にも役立ちそうです。拍手なども音量や音質の調整/編集を行う必要なく、奇麗に収音してくれました。

 EM-99Bは、もちろん歌や楽器のレコーディングにも使用できますが、特にトーク収録の際にそのバランスの良さが存分に発揮される印象です。オーディオ・インターフェースにつなげるだけでかなうクオリティの高い音質。周りと一つ差が付くコンテンツの制作をすることができそうです。ポッドキャストや映像撮影など、音楽以外にもさまざまなコンテンツを制作するシンガー・ソングライターやアーティスト、そしてポッドキャスターは、特に要注目のマイクでしょう。

 

ナミヒラアユコ
【Profile】神奈川県座間市出身のシンガー・ソングライター。2023年の夏に、ニュー・アルバム『DAYS』をリリース。現在は音楽だけでなく、絵やアニメーションにも手法を広げている。

 

 

 

MACKIE. EM-99B

オープン・プライス

(市場予想価格:22,330円前後)

MACKIE. EM-99B

SPECIFICATIONS
▪形式:ダイナミック ▪指向性:カーディオイド ▪周波数特性:50Hz〜16kHz ▪感度:−53dB ▪インピーダンス:350Ω(±15%) ▪外形寸法:274(W)×140(H)×213(D)mm ▪重量:2.3kg

製品情報

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