MACKIE CR StealthBar レビュー:ビート・メイクからミックス確認まで可能なBluetooth対応サウンド・バー

MACKIE CR StealthBar レビュー:ビート・メイクからミックス確認まで可能なBluetooth対応サウンド・バー

 近年、手軽に音楽を聴くために小型のBluetoothスピーカーを使うことは極めて一般的になりました。持ち運びやすく、どこでもスピーカーから音楽を鳴らせることが魅力です。同時に、私のようにDTMをする方の大多数は、コンピューターに接続したオーディオ・インターフェースの出力を、ステレオのアクティブ・スピーカーでモニターしながら作業することが大半だと思います。それぞれの一般的なユース・ケースに対し、お手軽な小型Bluetoothスピーカーよりは本格的なサウンドを楽しみたい、逆に普段の制作環境より簡易かつ機動力のあるセットアップが必要……そんな中間の需要が発生するのも必然です。それに応えられるのが、今回ご紹介するMACKIE. CR StealthBarです。

オーディオ入力ソース&EQプリセットをサイドのボタンで即座に切り替え

 まず第一に、本機はサウンド・バー・タイプであることが最大の特徴と言ってもよいでしょう。横幅は475mmで、24インチ・ディスプレイの横幅に対して収まるようなサイズ感です。

 スピーカーの下には傾斜が付けられる脚がデフォルトで付いており、これがとにかくデスクでの取り回しが良くなるように工夫されています。

脚は着脱式で、0°(取り付け無し)、8°(写真手前の脚を取り付け)、15°(同奥の脚を取り付け)の3パターンのセットアップが可能だ

脚は着脱式で、0°(取り付け無し)、8°(写真手前の脚を取り付け)、15°(同奥の脚を取り付け)の3パターンのセットアップが可能だ

 机に直置きしたモニター直下に設置可能で、ケーブルの取り回しも容易です。さらにこの脚の幅が40cm程度で、テンキーレス・タイプのキーボードであれば本機の下に収納できる絶妙なサイズとなっています。マウスを激しく動かすゲーマーが、スペースの都合でテンキーレスのキーボードを好んで使うケースが多いことを意識しているのかもしれません。

 さらにデザインの特徴として、ノブやボタンの数が少なく、見た目がすっきりしていることが挙げられます。前面にはボタンとノブ、ヘッドフォン出力があるのみ。頻繁に使用する機能がストレスなく操作できるように工夫されています。

 日常使用での操作は前面右下のノブのみで完結。左に回し切った際にクリック感があり、そしてそのクリックが電源のオン/オフを兼ねています。時計回りに回し始めるだけで電源が入り、このタイミングで接続したことのあるBluetooth機器と自動的にペアリング完了。そのあとは好きな音量に合わせて準備完了です。さらにこのノブは押し込むことでミュート・ボタンとして機能します。

 入力ソースとしてはBluetooth、USB-C経由でのコンピューター・サウンド、そして3.5mmステレオ・ミニ端子でのアナログ入力の3つが使用可能です。さらにこの3つの入力をサイドのボタンで即座に切り替えられるのが非常に便利。

リア・パネル。左から、電源アダプター用端子、コンピューター接続用のUSB-C端子、ライン・イン(ステレオ・ミニ)、ライン出力(ステレオ・ミニ)を搭載している。また、本体前面のロゴ横にはヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ)を備える

リア・パネル。左から、電源アダプター用端子、コンピューター接続用のUSB-C端子、ライン・イン(ステレオ・ミニ)、ライン出力(ステレオ・ミニ)を搭載している。また、本体前面のロゴ横にはヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ)を備える

本体側面には、EQ切り替え用ボタンと入力ソースの切り替え用ボタンを搭載。EQはMUSIC/VOICE/GAME、入力ソースはUSB/ライン入力(ステレオ・ミニ)/Bluetoothから選択できる

本体側面には、EQ切り替え用ボタンと入力ソースの切り替え用ボタンを搭載。EQはMUSIC/VOICE/GAME、入力ソースはUSB/ライン入力(ステレオ・ミニ)/Bluetoothから選択できる

 スマートフォンをBluetooth接続して音楽を聴いている状態から、アイディアが沸いたらアナログ入力に接続したサンプラーですぐにトラック・メイクを始めるなど、ボタン一つで素早く切り替え可能です。接続先は、前面にあるMACKIE.ロゴ外周のLEDの色が変化することで確認できます。

 本機はデフォルトのMUSIC EQモードのほか、声の聴き取りにフォーカスしたVOICE EQモード、臨場感を演出するためにハイエンドとローを強調したGAME EQモードという3つのEQプリセットが搭載されており、これもボタンを押すだけで切り替わる簡単仕様です。

キックの帯域を中心としたエネルギッシュな鳴り

 取り回しや使い勝手が抜群のCR StealthBarは、ゲーム・プレイや映画観賞用のスピーカーを探しているが、本格的なペアのアクティブ・スピーカーを買うほどではないという人のステップアップ用途にバッチリで、コスト・パフォーマンスと使い勝手の面で非常にお薦めです。同時に、自宅にガッツリ制作環境がある人のサブ機としての活用にもかなり有用です。

 サウンド面は、取り回しが容易な一体型でありながら、絶妙な横幅によりステレオのパンニングを感じられ、サイズからは想像できないくらいキックの帯域を中心にエネルギッシュにビートを鳴らします。サイズの都合上、サブロー帯域を細かくモニタリングするような使い方には限界がありますが、ラジカセ・チェックのような要領で、メインの制作環境以外の小型スピーカーでのミックス確認用途として、ステレオ感も含めた全体のバランスの確認に活用できるでしょう。

 私個人のお勧めの使い方は、簡易モニター用途での使用です。リビングでリラックスしながらサンプラーでビート・メイクをする、DJ前に選曲をする、現場でのライブ・セット前に準備をする、マシン・ライブの様子を動画撮影するなど、メインの制作環境以外でヘッドフォンではないモニター手段が欲しくなる場面は非常によくあります。そんなときに持ち運びや設置が容易なサイズ感で、ステレオ感が確認でき、全体のバランス確認に耐え得る性能がある本機は実に重宝します。

 特に、最近はラップトップやスタンドアローンのサンプラーのみで制作を完結させる人も増えています。場所を固定せず、家の好きな場所、好きなタイミングでトラック・メイクをする。そんな使い方をする上でかなり活躍できそうです。既存の製品群の中間に位置するCR StealthBar。価格帯やスペック面での競合が比較的少なく、刺さる人には刺さるでしょう。

 

in the blue shirt
【Profile】1991年生まれ、大阪在住、有村崚によるソロ・プロジェクト。自身の作品のほか、TVドラマの劇伴、CMやWEB広告の音楽も手掛ける。2020年7月に『in my own way e.p.』をリリース。

 

MACKIE CR StealthBar

オープン・プライス

(市場予想価格:13,420円前後)

MACKIE CR StealthBar

SPECIFICATIONS
▪指向角:45°(水平)×90°(垂直) ▪周波数特性:67Hz〜20kHz ▪最大SPL:100dB ▪ダイナミック・レンジ:105dB ▪外形寸法:475(W)×102(H)×76(D)mm ▪重量:2.0kg

製品情報

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