「KEF LS50 Wireless II」製品レビュー:MAT技術でドライバー背面の不要音を削減したワイアレス・スピーカー

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 2021年で創立60周年を迎える英国のスピーカー・メーカー=KEFから、アンプ内蔵のワイアレス・スピーカーKEF LS50 Wireless IIがリリースされました。現在のKEFの製品と言えば、高品質のホーム・シアター用スピーカーやヘッドフォンなど生活に根差したものが多い印象ですが、LS50 Wireless IIは一体どんなスピーカーなのでしょうか。早速見ていきましょう。

ネットワーク接続で最高24ビット/384kHz対応
正確な位相が得られるUni-Qドライバー搭載

 まず外見は、他に類を見ないほどシンプルです。正面にはネジ穴の一つも無く、肌触りもサラサラしていて高級感があります。カラー・バリエーションも豊富で、インテリアとしてもおしゃれです。L側のキャビネットの上部にはタッチ式のディスプレイを装備しており、ここで電源のオン/オフや入力ソースの選択ができます。ボタンを設置しないことで凸凹を無くすなど、どこまでも無駄を省くスタイルには感心です。電源は自動オフ機能もあるので、機能の劣化防止や耐久性を高めて長く使えるように気遣われているのが素晴らしいと思います。さらに、音にとって一番近い反射面になるフロント・パネルが丸みを帯びているため、音に良い効果が得られそうだと思いました。重さは片側につき20kg以上とずっしり重く、低音を出すのに必要な重厚感があり安心します。

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フロント・パネル。どのカラー・モデルでも、ドライバー・ユニットとキャビネットは対照的な色になっている。写真はチタニウム・グレイ

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L側キャビネット上部に設置されたタッチ式ディスプレイ。ここで電源オン/オフや入力ソースの選択が可能

 またKEF LS50 Wireless IIは、旧モデルLS50 Wirelessに比べて機能面で大きくアップデートされています。内蔵アンプ出力が合計760Wに、ビット・レートが最高24ビット/384kHz(ネットワーク)になりました。そして、ドライバー後方に発生する不要な音の吸収率が99%に高められています。この吸収力の秘密は、KEFの最新技術MAT(Metamaterial Absorption Technology)です。MATとは、ドライバー・ユニットやキャビネットから出る不要な音を吸収してくれる技術。迷路のような溝が掘られた丸型のプレートが一枚、ドライバー・ユニットの後方に設置されています。キャビネット内部に吸音用チューブを収めるスペースが不要になる上に、高域のひずみを吸収できるという優れものです。

 

 そして、KEFのほとんどのスピーカーに搭載されているUni-Qドライバーは、LS50 Wireless IIにも受け継がれています。このドライバーは、ツィーターをウーファーのボイス・コイル内の中央に配置することで、縦横/前後方向の音響芯が一致して、正確な位相が得られるもの。多数の国で特許を取得しています。

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マスターのL側リア・パネル。HDMI(eARC)、S/P DIFオプティカル&コアキシャル、アナログ(ステレオ・ミニ)などの入力端子を用意。L/Rのスピーカーは、ワイアレスもしくはイーサーネット・ケーブルで接続する

 LS50 Wireless IIはBluetooth接続が可能で、Spotify、Apple Musicなどのストリーミング・サービスのほか、インターネット・ラジオやポッドキャストに対応しています。ほかにも、APPLE AirPlay 2、GOOGLE ChromecastでのWi-Fiストリーミング再生やテレビ、オーディオ・プレーヤー、ゲーム機器などとの接続も可能です。日常生活に必要なほとんどの機器を網羅していて、利便性に優れていると感じます。付属のリモコンやスマートフォン・アプリの操作もスムーズにできるので、ストレスを感じさせません。

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付属のリモコン。電源オン/オフや音量調整、ミュートなどの操作が行える

ボーカルの立体感が繊細に再現されていて
空間の響きはきめ細かく聴こえてくる

 では実際に、APPLE MacBookからBluetooth接続のクラシックやジャズの音源を聴いてみましょう。中域が高解像度なので、ボーカルの立体感は繊細に、空間の響きがきめ細かく聴こえてきます。左右バラバラに設置してみても、センターの音がしっかりと中央にぽっと浮かんで来るのが分かりました。低域には迫力もあり、キックやベースの輪郭もはっきりと見えます。次に、Wi-Fi(2.4/5GHz)は最高24ビット/96kHz対応とのことなので、同じ曲のハイレゾ音源で聴いてみました。Bluetooth接続時の印象と比べると、より高域が伸びやかで中域の奥行きが感じられます。聴いてしまった以上、このスピーカーで音楽を楽しむならばハイレゾ音源を聴くことをお勧めします。とてもクリアな音質とその場で演奏されているかのような効果からは、MATやUni-Qドライバーを含めて、あらゆるところが繊細にチューニングされていると感じました。CDや24ビット/48kHzの音源などを聴き直すのにもうってつけのスピーカーであることに間違いありません。“ワイアレス・スピーカーもついにここまで来たか”と進化を実感しました。ハード・ディスクやクラウドに保存した楽曲を再生できるソフトROON LABS Roonをお持ちの方は、家にある複数のスピーカーと連動させることも可能。これは、特にホーム・シアターを楽しむ場合には便利な機能になることでしょう。

 

 多種類の端末や機種と連動することができるLS50 Wireless IIは、音へのこだわりが詰まっていてインテリアとしてデザインも優れています。アンプ内蔵でワイアレスなので設置場所の自由度が高く、あらゆる場所にすっきりと収まりますね。中域がきめ細かく聴こえるので、ボーカルのEQ調整なども容易に行うことができました。ミックス・チェックにも使用できる、素晴らしい製品です。

 

yasu2000

【Profile】NYのInstitute of Audio Reserch卒業後、ブルックリンBushwick Studioを経て、2005年に帰国。現在はorigami PRODUCTIONS所属のアーティストのほかあいみょんなどを手掛ける。

 

製品情報

jp.kef.com

 

KEF LS50 Wireless II

270,000円/ペア

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SPECIFICATIONS
▪ドライバー・ユニット:Uni-Qドライバー・アレイ(HF:25mmMAT搭載ベンテッド・アルミ・ドーム、LF:130mmアルミニウム・コーン) ▪入力:Wi-Fi(2.4/5GHzデュアル・バンド)、Bluetooth 4.2、HDMI(eARC)、S/P DIFオプティカル&コアキシャル、アナログ(ステレオ・ミニ)、イーサーネットL/R接続(RJ45)、USB Type-A(サービス用) ▪出力:サブウーファー(RCAピン) ▪アンプ出力:280W(LF)+100W(HF) ▪出力解像度:最高24ビット/384kHz ▪最大出力(SPL):108dB ▪周波数特性:40Hz〜47kHz ▪外形寸法:200(W)×305(H)×311(D)mm ▪重量:20.1kg(片側)

 

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