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JBL PROFESSIONAL Eon712 レビュー:アプリでリモート操作できるPAスピーカー

JBL PROFESSIONAL Eon712 レビュー:タブレットなどからアプリでリモート操作できるDSP搭載のPAスピーカー

 JBL PROFESSIONAL Eon712は中規模PAに適した12インチ・ウーファー搭載のBluetooth対応パワード・スピーカーです。Bluetoothは音楽再生、そして専用アプリによるリモート操作にも利用できます。Eon700シリーズには、10インチ・ウーファーのEon710、15インチ・ウーファーのEon715、18インチ・サブウーファーのEon718Sがそろっています。弊社では以前、Eon600シリーズを使用していました。シリーズが違うので比較にはなりませんが、参考にしながらレビューしていきます。

音圧感のあるバランスの良いサウンド

 まず外観ですが、正面から見た印象はEon600シリーズとほとんど変わりがなく見分けがつかないくらいです。しかし、サイドから見るとEon612ではハンドル(取っ手)が両側にあったのに対して、Eon712は片側のみでシンプルなデザインになっています。重量はEon612が14kgでしたが、Eon712は14.5kgとほとんど変わっていません。この重量なら女性で1人でもスタンドへの設置が十分可能です。

 仕様としては、周波数特性が50Hz〜20kHz(−10dB)/60Hz〜20kHz(−3dB)で、指向角は100°(水平)×60°(垂直)、スピーカー構成は12インチ・ウーファー(モデル名は712G)+1インチ・ツィーター(モデル名は2414Hコンプレッション・ドライバー)となっています。これらの数字だけを見ているとEon612と似ている印象でしたが、実際に音を聴くと明らかに異なります。しっかりとした音圧がある非常にバランスの良いサウンドです。クラスDアンプを搭載し、定格出力は1,300W(ピーク)/650W(RMS)とこのクラスでは十分。入力はXLR/フォーン・コンボのマイク/ライン・インが2系統で、XLRのパス・スルー出力も用意されています。内蔵ミキサーは3ch仕様で、アナログ入力のほかに冒頭で触れた通りBluetooth接続による音楽再生が可能となっています。電源は100〜120Vに対応するユニバーサル・タイプです。

背面。左手と上部にハンドルが設けられており、中央辺りに操作子などを装備。液晶ディスプレイの右側には、電源スイッチとロータリー・エンコーダーが上下に並んでいる。このエンコーダーはホーム画面ではメイン・ボリュームとして機能するが、押し込むとメニュー選択ノブとなる。その下にあるのは選んだメニューから前の項目に戻るBackボタン。液晶ディスプレイの下には、シグナル/クリップ確認用のLED、ゲイン調整用ノブ、2系統のアナログ入力(XLR/フォーン・コンボ)が並び、その右にはパス・スルー出力(XLR)が用意されている

背面。左手と上部にハンドルが設けられており、中央辺りに操作子などを装備。液晶ディスプレイの右側には、電源スイッチとロータリー・エンコーダーが上下に並んでいる。このエンコーダーはホーム画面ではメイン・ボリュームとして機能するが、押し込むとメニュー選択ノブとなる。その下にあるのは選んだメニューから前の項目に戻るBackボタン。液晶ディスプレイの下には、シグナル/クリップ確認用のLED、ゲイン調整用ノブ、2系統のアナログ入力(XLR/フォーン・コンボ)が並び、その右にはパス・スルー出力(XLR)が用意されている

自動フィードバック抑制機能を搭載

 ここからは700シリーズの特徴となっているさまざまな機能を紹介していきます。

 まずDBXのスピーカー・プロセッサーであるDriveRackシリーズの技術を採用したDSPが搭載されており、8バンドのパラメトリックEQを内蔵しています。このEQにはFlat、Speech、DJ、Café、KTV、Monitor、On Wallといったプリセットが用意されており、さまざまなシチュエーションに応じた設定を簡単に呼び出せます。もちろん、カスタマイズも可能です。また自動でフィードバックを抑えてくれるAFS機能も用意されています。さらに便利なのはダッキング機能も搭載している点です。例えばBGMを流しているときでも、マイクの音声が入力されると自動的にBGMの音量を下げることができます。元の音量に戻す時間も設定可能で、イベントや展示会などの現場では非常に重宝するでしょう。

 パス・スルー出力には3つのモードがあり、Full Rangeは別のスピーカーに出力するモード、Subはサブウーファーと接続するモードで、80Hz以下の音声信号をパス・スルーから出力し、それ以上の周波数はEon712本体で鳴らします。Customは手動で周波数設定ができるモードです。さらに、パス・スルー出力で複数のスピーカーを使用する場合の位相ズレ調整用にディレイ・タイムを設定することも可能です。

 このようにEon712は非常に多機能ですが、入力レベルやEQ、ダッキング、パス・スルー出力の設定などはプリセットとして保存可能なので、いつでも瞬時に呼び出せます。しかもプリセットの切り替え時にはメイン・ボリュームのレベルが自動的に0になるので、呼び出した瞬間に大音量が流れたり、ハウリングを起こすといった心配がなくて安心です。

 各機能は本体背面の液晶ディスプレイとツマミでも設定できますが、専用アプリのPro Connect(iOS/Android対応)を使うと、スマートフォンやタブレットからワイアレスで操作できます。

APPLE iPadでのPro Connect画面。メイン・ボリューム、各チャンネルのボリューム、パス・スルー出力などの各種設定を一画面で見渡せる

APPLE iPadでのPro Connect画面。メイン・ボリューム、各チャンネルのボリューム、パス・スルー出力などの各種設定を一画面で見渡せる

 アプリにはボリューム・フェーダーとレベル表示があるため、メイン・ボリュームや各入力チャンネルのレベル操作を簡単かつストレスなく行えます。前述のダッキング機能やディレイ・タイムの設定なども可能です。

 また、Pro Connectは2台のEon712を1台のタブレットなどからコントロールすることも可能です。メイン・ボリュームや各入力チャンネルのレベルも調整できますし、リネーム機能があるのでデフォルトで表示される機種名を“Lch/Rch”や“No.1/No.2”あるいは“Front/Rear”といった具合に設置場所などで名前を付ければ区別が容易になり大変便利です。一度、Pro Connectを使ってしまうと、もう手放せなくなるほど快適です。

 音圧感のあるサウンドと多彩な機能を備えたEon712は、Eon600シリーズから大きな進化を遂げたPAスピーカーと言えるでしょう。Pro Connectを使ってコントロールすれば、スピーカーの近くにいる必要がなくなるのでワンマン・オペレートの現場でも活躍してくれると思います。欲を言えば、ハンドルを両サイドに付けてほしかったことと、Bluetoothでの音楽再生時にパス・スルーからRchもしくはLchを出力するモード(つまりステレオ再生)があれば最高……ですが、これはぜいたくな望みですよね。それはさておき、現状でもEon712は十分に多機能で高音質な製品と言えます。

 

須藤 浩
【Profile】PAカンパニーのサウンド・オフィス代表。コンサート、イベント、式典から演劇、ミュージカルまで幅広く手掛けている。特に2.5次元系が得意。音響系の専門学校で後進の指導にもあたっている。

 

JBL PROFESSIONAL Eon712

オープン・プライス

(市場予想価格:79,800円前後)/1台

JBL PROFESSIONAL Eon712

SPECIFICATIONS
▪ウーファー・サイズ:12インチ ▪ツィーター・サイズ:1インチ ▪最大SPL:127dB ▪周波数特性:50Hz〜20kHz(−10dB)/60Hz〜20kHz(−3dB) ▪指向角度:100°(水平)×60°(垂直) ▪クロスオーバー周波数:2kHz ▪定格出力:1,300W(ピーク)/650W(RMS) ▪外形寸法:382(W)×669(H)×324(D)mm ▪重量:14.5kg

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