IK Multimedia iRig Stream MIC USB レビュー:AUX入力とループバック機能を搭載した動画配信に最適なUSBマイク

IK Multimedia iRig Stream MIC USB レビュー:AUX入力とループバック機能を搭載した動画配信に最適なUSBマイク

 配信やオンライン会議、動画配信サイトのコンテンツなど、画面越しに話し声を相手に届ける機会は増える一方です。より快適な情報伝達やコミュニケーションのために、できる限り高音質での収録をしたいという要望から、比較的安価で、かつ音質の良いUSBマイクの製品への需要が高まっています。そして、コンピューターだけでなくスマホのみでも使いたい、コンピューター上の音をループバックしたい、加えて外部機器からの入力音とともに音量調節してまとめて相手に届けたい……と、ライトユーザーが求める機能も多様化しています。今回ご紹介するiRig Stream MIC USBはそのような需要にたった一台で応えられる製品となっています。

机上での使用に便利なスタンドを付属 Web会議や配信時に有用なハイパスフィルター

 iRig Stream MIC USBは、マイク本体に加えて、机上での使用が想定されたスタンドが付属品として用意されています。スタンドは、金属製のがっしりとした作りで、軽い力で曲がったり折れたりする心配はなく、非常に安定感があります。左側面の手回し可能なネジによって取り外せるようになっていて、かつ一般的な1/4インチのものが使われているため、マイクのみを市販のマイクスタンドやアームに取り付けることもできます。

付属のテーブルスタンドに取り付けた様子

付属のテーブルスタンドに取り付けた様子

 マイク本体は非常にコンパクトです。左側面にはループバックとマイク入力のハイパスフィルターのオン/オフスイッチ、右側面には各種音量ダイヤルを搭載しています。操作しやすいフロント面には大きめのマイクゲイン・ノブとミュートスイッチが配置され、音量調整やとっさの消音が瞬時に可能。オーディオの入出力の端子は共に3.5mmのTRSミニジャックで、本体の底面に差し込む形です。

左側面のループバックとマイク入力のハイパスフィルターのオン/オフスイッチ

左側面のループバックとマイク入力のハイパスフィルターのオン/オフスイッチ

右側面にはヘッドホンボリューム、マイクゲイン、マイクとホストデバイスのモニターバランス調整の、各種ダイヤルを装備

右側面にはヘッドホンボリューム、マイクゲイン、マイクとホストデバイスのモニターバランス調整の、各種ダイヤルを装備

底面の入出力端子(TRSミニ×2)と電源供給用USB-C端子

底面の入出力端子(TRSミニ×2)と電源供給用USB-C端子

 iRig Stream MIC USBはUSBバスパワーで動作するため電源は不要で、USBケーブル1本を介してパソコンやスマホにつないで使用します。正しく接続できるとマイクゲイン・ノブ上部のLEDが点灯します。このLEDはマイク部の入力レベルに応じて色が変化するので、ゲインを簡単に適切なレベルに設定することができます。音声のモニタリングは基本的にはヘッドホンやイヤホンの使用が想定されています。インピーダンス値が比較的高めのモニターヘッドホンでも、十分な音質でモニターすることができました。

 マイクの指向性はカーディオイドのみで、マイクグリルのフロント面方向の音を拾います。試しにボーカルやアコースティックギターを録音してみたところ、価格とサイズからすると驚くほどクリアな音質で録音が可能です。内蔵のハイパスフィルターをオンにすると150Hzから下の周波数が緩めの減衰傾度でカットされます。こちらは音楽作成用途というよりは、オフィスでのWeb会議やトーク配信など、比較的周囲に騒音源がある環境での声の収音時にぴったりの設定であるように感じました。

演奏動画の収録にも便利なAUX入力 持ち運びやすく机に直置きしても安定する形状

 iRig Stream MIC USBは、”Stream MIC”の名を冠している通り配信用途に最適です。外部機器だけでなくPC内で動作するソフトの音声もスイッチひとつで容易に配信に乗せることができます。特に最近はDTMやイラスト制作、動画編集をしながら作業風景を配信する人も増えていますが、そういった用途にもバッチリです。

 また、動画作成用途にも非常に適しています。特に演奏動画の作成に便利で、ギターや鍵盤など好きな楽器をAUXオーディオ入力端子に接続すれば、PCでオケを流しつつ、それに合わせて演奏したり、MC込みでDJ機器によるプレイを録音することが可能です。スマホやタブレットとの接続にも対応しているので、カメラアプリの入力音声デバイスを本製品に指定すれば、PC/外部入力の楽器/マイクの3系統の音声をミックスした高音質なサウンドでそのまま演奏動画を撮影可能です。

 さらに特筆すべきはそのサイズで、スタンドを外して、シンプルに2イン/2アウトの小型オーディオインターフェースとしてのモバイル用途での活用もオススメです。直方体の角を落としたようなマイク部の形状はカバンなどに入れての持ち運びにおいて非常に優れており、背面もフラットなため机に直置きしても安定します。意外とこれができるUSBマイクは少ないです。出先に持ち出しループバックも可能な音声再生装置として使いつつ、会議や配信が必要な場面になれば高音質での会話ができますし、ふと制作のアイディアが浮かんだ際にはマイクと外部入力端子を用いて簡単なデモの作成が可能です。

 持ち歩き用途でなくても、とにかく机の上をスッキリさせることを目的として、ミニマムな作業環境の構築に本製品を導入するのもよいでしょう。電源不要、必要なのはUSB-Cケーブル一本のみ。お気に入りの有線ヘッドホンとパソコンやタブレットさえあれば、制作からコミュニケーションまで対応可能な環境が手に入ります。

 USB-C端子の普及が進み、スマホやコンピューターのメイン端子としての採用率は非常に高くなっています。今後USB-Cケーブルのみで動作するメリットはますます大きくなるでしょう。オールインワンシステムとして、iRig Stream MIC USBがベストな選択になりうるユーザーは、かなりいるのではないでしょうか。

 

in the blue shirt
【Profile】有村崚のソロプロジェクト。Maltine RecordsやSecond Royalからのリリースを経て、2016年と2019年にアルバム、2020年には最新EPを発表。ドラマの劇伴やCM音楽も手掛ける。

 

 

 

IK Multimedia iRig Stream MIC USB

17,600円

IK Multimedia iRig Stream MIC USB

SPECIFICATIONS
▪形式:エレクトレットコンデンサー ▪指向性:カーディオイド ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪最大SPL:115dB ▪ヘッドホン出力レベル:7mW/チャンネル(32Ω 負荷) ▪ハイパスフィルター:150Hzオン/オフ ▪外形寸法:55(W)×136(H)×38(D)mm ▪重量:435g

製品情報

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