ICONNECTIVITY Audio4Cレビュー:最大2台のPCなどを同時接続できるオーディオI/O

ICONNECTIVITY Audio4Cレビュー:最大2台のPCなどを同時接続できるオーディオI/O

 ICONNECTIVITY Audio4Cはオーディオを専用アプリAuracle(Mac/Windows対応)でストリーミングに最適化、出力できるオーディオ/MIDIインターフェースです。Mac/Windows/iOS/Androidデバイスは2台まで同時接続できて(ただしAndroidの2台同時接続には非対応)MIDI、オーディオをAuracleで自在にルーティング可能。幾つものタスクを一台で実行できます。

最大8台のUSB MIDIデバイスを接続できる

 まず配信用セッティングの際に、1台のコンピューター接続でDAWや配信ソフトなどを起動すると、操作が困難な上にCPU負荷が高くなったりしますね。はたまたハブなどを用意して、複数のコンピューター、マイク、楽器などを使用する大掛かりなセットは、ルーティングも複雑化して大変です。そんなときにAudio4Cならば1台で、配信ソフトとDAWなど用途を分けたコンピューターを2台接続できると同時に、最大4イン/6アウト(ヘッドフォン出力を含む)のマイクやライン入出力が使えます。

 

 そんなAudio4Cのオーディオ入出力は、48Vファンタム電源供給可能なマイク・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)とライン・アウト(TRSフォーン)を4つずつ、そしてヘッドフォン端子を1系統搭載。24ビット/96kHzまでのレコーディングとAD/DAに対応します。パネルはタッチ・センサー式で、パラメーターをセレクトして右のノブを回すことで入出力のレベル調整やファンタム電源のオン/オフが可能です。MIDIについては、1系統のMIDI IN、OUTと最大8台(USBハブが必要)のUSB MIDIデバイスを接続できるUSB To MIDI HOST端子が用意されています。そして核となる2系統のUSB端子はポート1がMac/Windows/iOS/Android用、ポート2がMac/WindowsとiOSのみの対応ですが、こちらはバッテリーのチャージが可能でAPPLE iPhoneやiPadをつないだままでも、充電切れを気にしなくてよいです。

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リア・パネル。左からUSB To MIDI HOST端子、USB Type-Cを2系統(ポート2は最大電源出力3.0A)、MIDI IN、OUT、オーディオ出力(TRSフォーン)×4、ヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)を備える

USB接続したデバイス間で信号の送受信も可能

 それでは実際に音を出していきましょう。今回は演奏をストリーミング配信する想定でライブ・セットを組んでみます。USBポート1にはMacを接続し、ABLETON Live 11のオーディオ出力にAudio4Cを選択。本機のUSB端子はType-Cですが、付属の変換アダプターでType-Aケーブルでも接続可能です。そしてUSBポート2にはAPPLE iPadを接続し、シンセのアプリを立ち上げました。Macから専用アプリAuracleを起動し、Streamモードにして“USB1 CH1&2”と“USB2 CH1&2”のフェーダーを上げるとMacとiPadの両方から音が鳴りました。驚いたのは、iPadからの音が非常にクリアで奥行きを感じるものだったこと。いつものステレオ・ミニ端子からの出力音とは全く別物です。

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Audio4C専用ソフトのAuracle(Mac/Windows対応)。コンピューター、DAW、iOS/Android端末、楽器やマイクなどのオーディオ入力をAudio4C内でミックス可能。アナログ出力1/2、アナログ出力3/4、ヘッドフォン・アウト、それぞれ個別に音量調整して出力できる

 USB To MIDI HOST端子にはNOVATIONのMIDIコントローラーLaunchPad Xを接続。Live 11とiPadのアプリの音源ともにレイテンシーはほとんど気にならず、気持ち良く演奏できました。筆者はiPadに入ったiOSアプリを出先でのスケッチ程度にしか使ってなかったので、これを機にAudio4Cとセットで、制作にも積極的に使いたいと思いました。

 

 次にギターを入力し、Auracleの“Mic 1”のフェーダーでレベル調整をします。そこからDAWやiOSデバイスを経由して録音できますし、デバイスを経由せずに出力も可能。またマイク入力も行い、実際に歌を録音してみると、内蔵マイクプリはクリアかつフラット、クセの無い音質で非常に扱いやすいです。Auracleを介した際のレベル調整も扱いやすく、リモート会議などで使用してもクリアな声を届けられると思います。

 

 そして特筆すべきは、USBポートに接続されたデバイスはMIDIとオーディオを相互にやり取りできることです。試しに、USBポート2に接続しているiPadのシンセ・アプリに立ち上げたMIDIトラックの信号を、USBポート1に接続しているLive 11に送って、Live内の音源を鳴らしてみました。もちろん逆も可能で、DAWのMIDIトラックでiOSデバイス上の音源を演奏することも可能です。

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筆者はAudio4CのUSBポート1にLiveを立ち上げたコンピューターを接続、ポート2にAPPLE iPadを接続してみた。画面は、iPadのシンセ・アプリで作ったMIDIトラックを、ABLETON Live 11が受信している画面

 

阿瀬さとし
【Profile】Kco(vo、ac.g)とのアコトロニカ・ユニット=Cojokでギターとプログラミングを担当。現在Smash Roomに所属し、CMソングや映画サントラの制作、マニピュレーションもこなす。

 

ICONNECTIVITY Audio4C

52,800円

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SPECIFICATIONS
▪AD/DA:24ビット/44.1/48/88.2/96kHz ▪オーディオ入出力:最大4イン/6アウト(ヘッドフォン出力を含む) ▪ダイナミック・レンジ:102dB(AD)、106dB(DA) ▪ひずみ率:−99dB(マイク/ライン入力)、−92dB(インストゥルメント入力)、−112dB(ライン出力)、−100dB(ヘッドフォン出力) ▪外形寸法:214(W)×37.5(H)×140(D)mm(本体) ▪重量:989g(本体)

製品情報

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www.snrec.jp

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