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FOCUSRITE Vocaster Two レビュー:ポッドキャストに適した2イン/2アウトのUSBオーディオ・インターフェース

FOCUSRITE Vocaster Two レビュー:ポッドキャストに適した2イン/2アウトのUSBオーディオ・インターフェース

 ポッドキャストをはじめとした音声配信を手軽に実現する2イン/2アウトのUSBオーディオ・インターフェース、FOCUSRITE Vocaster Twoが発売されました。軽量かつ、USB接続によるバス・パワー駆動に対応しています。それでは、詳しく見ていきましょう。

2系統のマイク・ミュート・ボタンを装備

 今回ご紹介するVocaster Twoは、まさにオンライン配信向けのオーディオ・インターフェース。声の収録にフォーカスしているため、ギターやシンセといった楽器の音声信号を取り込むライン入力もありません。それくらい、Vocaster Twoは使用するシチュエーションを具体的に想定しているのでしょう。

 トップ・パネルには3つの大きなレベル・ノブを搭載。左から、ホストとなるチャンネルのヘッドフォン出力とメイン出力を調整するためのノブ、続いてマイク入力を設定するためのノブ、最後はゲストとなるチャンネルのヘッドフォン出力を調整するためのノブとなっています。

 トップ・パネルの最下段を見てみましょう。両端にはマイクのミュート・ボタンを2系統、両端から2番目の位置には後述するエンハンス・ボタンが2系統あります。中央に並ぶHostボタンとGuestボタンは、押した方のチャンネルがこれらの真上にあるノブに割り当てられる仕様に。ワンクリックでホストとゲストのマイク入力レベルを調節できるようになっているのです。

 リア・パネルには、ゲストとホストの音声を取り込むためのマイク入力を2系統装備。Vocaster Twoと同価格帯のオーディオ・インターフェースは、大体がライン入力も受けられるXLR/TRSフォーン・コンボ・ジャックを搭載することが多い印象ですが、冒頭で述べたとおりVocaster Twoは声の収録にフォーカスしています。よって、2系統のマイク入力はXLR端子のみになっているのでしょう。機能を絞っただけあって、同価格帯の他社製オーディオ・インターフェースと比べてもその録り音は抜群に良く、かなりクリアな印象です。

 これらのほかにも、リア・パネルにはスマホやタブレット機器からの音声入出力(TRRS)と、Bluetooth接続によるデジタル入力も実装。電話相手の声、BGM、効果音など、スマホ/タブレット経由で何でも入力することができます。

リア・パネルには左から電源スイッチ、コンピューターと接続するためのUSBポート(Type-C)、ケンジントン・ロック、ビデオ・カメラ用音声出力(ステレオ・ミニ)、Bluetooth接続ボタン、ラインL/R出力(TRSフォーン)、スマートフォン/タブレット用入出力(TRRS)、48Vファンタム電源スイッチ、マイク入力(XLR)×2を備えている

リア・パネルには左から電源スイッチ、コンピューターと接続するためのUSBポート(Type-C)、ケンジントン・ロック、ビデオ・カメラ用音声出力(ステレオ・ミニ)、Bluetooth接続ボタン、ラインL/R出力(TRSフォーン)、スマートフォン/タブレット用入出力(TRRS)、48Vファンタム電源スイッチ、マイク入力(XLR)×2を備えている

 メインの出力についてはラインL/R出力(TRSフォーン)を備え、フロント・パネルにも2系統のヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ)を搭載しています。筆者はあまり見たことがないのですが、外部のビデオ・カメラ用音声出力(ステレオ・ミニ)も備えているので何かと重宝することでしょう。

マイク入力レベルを自動設定するオートゲイン機能

 それではVocaster Twoで声を収録してみます。初心者にとってマイクのゲイン調整は失敗ポイントになりがちですが、Vocaster Twoなら問題ありません。なぜならHostボタン/Guestボタンのいずれかを長押しすると、オートゲイン機能が有効になるから。10秒間マイクに向かって話すだけで、高精度なゲイン調整が完了します。

 次はエンハンス・ボタンを押してみましょう。専用ソフトウェアのVocaster Hubを用いることで、デフォルトのCleanをはじめ、Warm/Bright/Radioといった計4種類のボイス・プリセットをソフトウェア上で選択することができます。コンプやEQといった設定はないため、初心者にとっても非常に扱いやすい仕様になっていると思います。

専用ソフトウェアのVocaster Hubでは、各入力/出力レベルを調整できるだけでなく、オートゲインやエンハンス、マイクのミュートなどの機能もコントロール可能だ

専用ソフトウェアのVocaster Hubでは、各入力/出力レベルを調整できるだけでなく、オートゲインやエンハンス、マイクのミュートなどの機能もコントロール可能だ

 なおVocaster Hubを用いることで、ここまでに紹介した機能がソフトウェアからもコントロールできるので便利。さらには2系統のマイク音声やループバック、スマホ/タブレット機器からの音声、Bluetooth信号といった入力/出力周りのミックス・バランスも調整可能です。例えばWeb会議中、相手側にはすべての配信内容を聴いてもらいつつ、こちら側では相手の音声だけを2ミックスとして出力するという、初心者にとっては頭が痛くなるようなルーティングも簡単に実現できるでしょう。

 Vocaster Twoは、これからオンライン配信を始めようと考えている音楽制作クリエイターはもちろん、少人数で活動している動画/音声コンテンツ・クリエイターにもお薦め。初心者にも優しい操作性だけでなく、複雑なルーティングにも対応できる高い汎用性も備えています。

 なお、ダイナミック・マイクと密閉型ヘッドフォン、XLRケーブルがセットとなったVocaster Two Studio(オープンプライス/市場予想価格:59,400円前後)もラインナップ。配信機材を手っ取り早くそろえたい方は、こちらが最適かもしれません。

 近年オンライン配信コンテンツの普及によって、一般の層にも音声収録の需要が高まりつつあります。特にポッドキャストやゲーム実況といったシーンでは“音響機材には全く明るくないが、そこそこの予算をかけてでもいいから高音質で音声を収録したい”というニーズがあるでしょう。Vocaster Twoは、そんな方たちにもぴったりのオーディオ・インターフェースだと言えます。

 

in the blue shirt
【Profile】有村崚のソロ・プロジェクト。Maltine RecordsやSecond Royalからのリリースを経て、2016年と2019年にアルバム、2020年には最新EPを発表。ドラマの劇伴やCM音楽も手掛ける。

 

FOCUSRITE Vocaster Two

オープン・プライス

(市場予想価格:36,600円前後)

FOCUSRITE Vocaster Two

SPECIFICATIONS
▪マイク入力インピーダンス:3kΩ ▪最大マイク入力レベル:12.5dBu@最小ゲイン ▪マイク入力ゲイン・レンジ:70dB ▪ライン出力インピーダンス:440Ω ▪最大ライン出力レベル:14dBu ▪ヘッドフォン出力インピーダンス:5Ω ▪最大ヘッドフォン出力レベル:6.5dBu@0dBFS ▪全高調波ひずみ率:≦−94dB@−1dBFS(マイク入力)、≦−96dB@−1dBFS(ライン出力)、−96dB(ヘッドフォン出力、無負荷時)、−73dB@−1dBFS(カメラ出力) ▪Bluetooth:バージョン5.0 ▪USB:USB 3.0 ▪外形寸法:224(W)×50(H)×113(D)mm ▪重量:440g

製品情報

FOCUSRITE Vocaster Two

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