FOCAL Twin6 レビュー:SM6シリーズに新たな技術や機能が追加された2.5ウェイ・モニター

FOCAL Twin6 レビュー:SM6シリーズに新たな技術や機能が追加された2.5ウェイ・モニター

 筆者はFOCALというブランドが日本ではあまり知られていない頃に初期モデルのTwin6 Beを使い始め、その後はSolo6 Beも使用するなど、同社のスピーカーにはたくさん活躍してもらいました。このたび長年に渡り発売されてきた“SM6シリーズ”が改良され、“ST6シリーズ”として生まれ変わることに! 早速その中から2.5ウェイ・モニターのTwin6をチェックしてみましょう。楽しみです。

レンジを変えられる“FOCUSモード”を新搭載

 箱から取り出してみると、Twin6はTwin6 Beに比べかなり重くなっていることが分かります。サイズはそれほど変わりませんが、Twin6 Beが14kgなのに対し、Twin6は22kg!中年の私には、持ち運びに勇気が必要です。しかし、Twin6 Beは低域が少し箱鳴りっぽいところがありましたので、重くなったということは……低域のレスポンスが良くなっていることが期待できますね。

 背面には、250Hz以下と4.5kHz以上のシェルビングEQ(±3dB)と、主にサブウーファーを使う際に使用するハイパス・フィルター、コンソールやデスクに設置した際の音の反射を低減する160HzのピークEQ(±3dB)が装備されています。EQコントロールの数が増えたのはうれしい点ですね。

 AUTO STAND-BYスイッチが付いているのも特徴です。スタジオではあまり使いませんが、自宅などで電源を入れっぱなしにしてしまった際の消費電力を抑えることができます。また、2つのウーファーのどちらに中域/低域を担当させるのかを決めるSPEAKERスイッチを搭載。横置きにして、左右それぞれ内側のウーファーを中域に設定するのが本来の使い方ですが、私の経験上、設置場所によっては変えてみると良くなることもありますので、うまく音が鳴らないと感じたら、触ってみるのも良いと思います。

 Twin6の一番のポイントは、“FOCUSモード”が搭載されたことでしょう。これは“小さいスピーカーやテレビなどで聴いた場合にどうなるのか”をチェックできるモードだと思っていただいて構いません。大きいスピーカーで鳴らしたときに低域が気持ち良くても、レンジが狭いスピーカーではうまく聴こえない場合は多々あります。

 そこで我々エンジニアはレンジの広いスピーカーだけでなく、必ずラジカセなどの小さいスピーカーでもミックスをチェックするのですが、それがこれ一台で可能です。FOCUSモードではレンジが狭まり、中域メインの音像になります。このモードを使用するためには、別売りのフット・スイッチが必要です。片方のスピーカーにスイッチをつなげば、左右のスピーカー同士をケーブルでつなぐことで、両方に機能する仕様になっています。

リア・パネル。右側に縦2列のセクションに分かれてツマミやスイッチ、端子がまとめられている。左のセクションはEQで、上からハイパス・フィルター、250Hz以下のシェルビングEQ、160HzのピークEQ、4.5kHz以上のシェルビングEQ。右のセクションは上から、電源を入れたまま放置した際の消費電力を抑えるAUDIO STAND-BYスイッチ、入力端子(XLR)、入力感度を調整するスイッチ(+4dBU/−10dBV)、2つのウーファーのどちらに中域を担当させるかを決めるSPEAKERスイッチが並ぶ。その下のFOCUSイン/アウトは、FOCUSモードを使うために用意されている。FOCUSインは、通常動作からFOCUSモードに切り替えるためのフット・スイッチを入力する端子。また、FOCUSモード時は、片方のスピーカーのFOCUSアウトをもう片方のスピーカーのFOCUSインにつないで動作させる仕様だ

リア・パネル。右側に縦2列のセクションに分かれてツマミやスイッチ、端子がまとめられている。左のセクションはEQで、上からハイパス・フィルター、250Hz以下のシェルビングEQ、160HzのピークEQ、4.5kHz以上のシェルビングEQ。右のセクションは上から、電源を入れたまま放置した際の消費電力を抑えるAUDIO STAND-BYスイッチ、入力端子(XLR)、入力感度を調整するスイッチ(+4dBU/−10dBV)、2つのウーファーのどちらに中域を担当させるかを決めるSPEAKERスイッチが並ぶ。その下のFOCUSイン/アウトは、FOCUSモードを使うために用意されている。FOCUSインは、通常動作からFOCUSモードに切り替えるためのフット・スイッチを入力する端子。また、FOCUSモード時は、片方のスピーカーのFOCUSアウトをもう片方のスピーカーのFOCUSインにつないで動作させる仕様だ

前モデルよりも低域に量感がある

 今回は、自宅とスタジオの両方で試してみました。“派手になったな~”というのが第一印象。これまでのシリーズは、どちらかと言えば“素直で堅実な音”というイメージがありましたが、Twin6は最近のはやりのスピーカーにも多い、スケールの大きい鳴りっぷりです。

 やはり低域については本体が重くなった分、しっかりとした量感があります。箱鳴りのような雰囲気は無く、パワーを感じる低域です。その分、設置場所によってはインシュレーターの活用も必要になるかと思いました。

 高域に関しては、新品でツィーターのベリリウムがまだこなれていないということもあり、ちょっと硬めな印象ですが、ハイエンドがよく伸びており奇麗です。これまでのシリーズとは全くと言ってよいほど鳴り方が変わりました。

 新品のうちは仕方のないことでもありますが、少し中域が控えめに聴こえたので、今回は高域のシェルビングEQを−3dBにして作業しました。欲を言うと、EQではなくツィーター自体の音量が下げられるともっと良いですね。中域を確認する際には、FOCUSモードも活躍してくれました。基本的には普通に鳴らして使い、中域の音作りの際にFOCUSモードで作業をするのも良いでしょう。ひょっとするとこの点も考慮に入れて全体の音作りをしているのかもしれませんね。

 いろいろなジャンルの音楽をTwin6で聴いてみたところ、どれも偏りなくきちんと鳴らしてくれると思いました。スタジオで実際にレコーディングで使っていて、クライアントやアーティストから“いつものスピーカーに戻して”などと言われることはなかった、というのも付け加えておきます。

 前シリーズが持つ“音の奇麗さ”を継承しつつも、低域と高域の迫力が上がっているので、これまでFOCALのスピーカーを使ってこなかった方も一度聴いてみるのがお勧めです。特に低域の量感が感じられるのが良かったですね。Twin6 Beよりアンプの出力が落ちているので、スタジオでのリズム録りに使用するのは厳しいかと思っていましたが、ピークが付くこと無く鳴らせましたので、この点も良かったです。

 

中村文俊
【Profile】レコーディング/ミックス・エンジニア。スガ シカオ、大黒摩季、空気公団などの作品に携わってきた。ライブDVDのサラウンド・ミックスやゲーム用サウンドのデザインなども行う。

 

FOCAL Twin6

330,000円/1台

FOCAL Twin6

SPECIFICATIONS
▪タイプ:2.5ウェイ・パワード ▪構成:1.5インチ径ツィーター+6.5インチ径ウーファー×2 ▪周波数特性:45Hz〜40kHz(−3dB)、110Hz〜10kHz(FOCUSモード使用時) ▪最大SPL:112dB、111.5dB(FOCUSモード使用時) ▪内蔵アンプ:70W RMS(LF×2)、50W RMS(HF) ▪外形寸法:514(W)×258(H)×344(D)mm ▪重量:22kg(1台)

製品情報

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