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BOSE PROFESSIONAL Bose S1 Pro+ wireless PA system レビュー:ワイヤレスレシーバー内蔵でスマホ操作も可能なポータブルPAシステム

BOSE PROFESSIONAL Bose S1 Pro+ wireless PA system レビュー:ワイヤレスレシーバー内蔵でスマホ操作も可能なポータブルPAシステム

 BOSE PROFESSIONALのポータブルPAスピーカーシステムBose S1 Pro Portable Bluetooth Speaker System(以下、S1 Pro)が新たにワイヤレス機能を搭載し、Bose S1 Pro+ wireless PA system(以下、S1 Pro+)へと進化を遂げた。早速、チェックしていこう。

マイク入力2つを備える内蔵3chミキサー 別売トランスミッターでマイクも楽器も無線接続

 外観は、以前のS1 Proとほとんど変わらない。少し丸みを帯びたフォルムになり、持ち比べてみると軽さを感じる。データによると450g軽い6.5kgということである。

 内蔵ミキサーは3ch仕様で、入力は2つのXLR/フォーンコンボ入力とTRSフォーンのライン入力、ステレオミニのライン入力、Bluetooth入力を装備。出力はラインレベルのXLR出力のほか、パソコンと接続してオンライン配信やDAWへの録音に利用できるライブストリーミング・モード用のUSB-C端子も用意されている。

左側に入出力、右側に内蔵ミキサーのノブ、その中央にシグナル/クリップインジケーターがある。入出力は上からch1/2(XLR/フォーンコンボ)、ch3(TRSフォーン、ステレオミニ、Bluetooth)、USB-A(左、充電用)とUSB-C(右、ライブストリーミングモード用)、ライン出力(XLR)

左側に入出力、右側に内蔵ミキサーのノブ、その中央にシグナル/クリップインジケーターがある。入出力は上からch1/2(XLR/フォーンコンボ)、ch3(TRSフォーン、ステレオミニ、Bluetooth)、USB-A(左、充電用)とUSB-C(右、ライブストリーミングモード用)、ライン出力(XLR)

 操作子は、S1 Proではアナログのノブだったが、本機では電子式ボリュームになり、1つのノブで音量や音質、リバーブなどを操作可能だ。

写真①は縦置きの状態だが、上の写真のように横置きにすると、ノブ上のディスプレイの表示も自動的に回転する。ノブは電子式で音量のほか、長押しするとTREBLE、BASS、リバーブ(ch1/2のみ)の機能に切り替えることができる

上の写真のように横置きにすると、ノブ上のディスプレイの表示も自動的に回転する。ノブは電子式で音量のほか、長押しするとTREBLE、BASS、リバーブ(ch1/2のみ)の機能に切り替えることができる

 また、iOS/AndroidアプリのBOSE PROFESSIONAL Bose Musicを利用した、Bluetoothによるリモートコントロールも可能。本体にはバッテリーが内蔵されており、電源を接続すると充電が開始され、最大で約11時間使えるということである。

 S1 Pro+はワイヤレスレシーバーを内蔵し、2種類のトランスミッターも発売された。XLRタイプはBose S1 Pro+ Wireless Mic/Line Transmitter – XLR(26,400円)、フォーンタイプはBose S1 Pro+ 1/4" Wireless Instrument Transmitter(26,400円)で、いずれも2.4GHz帯を使用する。S1 Pro+本体には専用ドックが設けられ、挿入するとペアリングと充電を行え、最大約5時間の使用が可能だ。

別売りのトランスミッター。上がフォーンタイプのS1 Pro+ 1/4" Wireless Instrument Transmitter、下はXLRタイプのS1 Pro+ Wireless Mic/Line Transmitter – XLR

別売りのトランスミッター。上がフォーンタイプのS1 Pro+ 1/4" Wireless Instrument Transmitter、下はXLRタイプのS1 Pro+ Wireless Mic/Line Transmitter – XLR

S1 Pro+本体にはトランスミッターを2台収納するドッグがあり、ここに収めることで充電とペアリングが行える

S1 Pro+本体にはトランスミッターを2台収納するドッグがあり、ここに収めることで充電とペアリングが行える

ボーカルクラリティが進化 ワイドレンジな高音質を手軽に楽しめる

 まずはダイナミックマイクにXLRタイプのトランスミッターを挿し、フォーンタイプはHi-Z対応なので直接アコースティックギターに接続して弾き語りを行ってみた。XLRタイプのトランスミッターは、デフォルトではラインレベル出力で、電源とMUTEボタンの同時長押しでマイクレベルになる。一度設定するとメモリーされるので、その後は設定不要だ。

 S1 Pro+は、S1 Proと同様に垂直、チルトバック、横、スタンドの4パターンで設置できる。しかも、それぞれの置き方をS1 Pro+が感知して音質を自動調整するAuto EQ機能が搭載されている。実際に、各置き方を試してみて音の変化をあまり感じなかったのは、Auto EQの働きと理解した。

 入力チャンネルのノブは、長押しで音量以外のTREBLE、BASS、リバーブ(ch1/2のみ)の調整に切り替えられる。今回はスマートフォンにBose Musicアプリをインストールしてコントロールを試みた。本体には付いていないが、アプリにはミュートボタンがあり、音量や音質調整も素早く行える。そして当然だが、離れた場所でコントロールできるのが最大のメリットだ。同じマイク&楽器セッティングで、野外の公園のようなスペースで使用してみたが、近くでもうるさくなく、遠くにいくと音圧は落ちるが、音質が変わらないのは驚きだった。電源の確保も必要ないので、気軽に使うことができる。

 屋内に戻って2台のS1 Pro+を使用し、XLRタイプのトランスミッターをラインレベルにして、ミキサー卓の出力をワイヤレスにしてステレオで使用してみた。トランスミッターのサイズの都合で、XLR端子に直接接続できず、ケーブルを介したのは残念だったが、スピーカーにケーブルがないので、好きな場所に置けることやケーブルのケアの必要がないのは利点として挙げられる。

 そのほかピアノ音源なども試してみた結果、特筆すべきは音質面の向上である。BOSE PROFESSIONALスピーカーの特徴でもあるボーカルクラリティが一層進化したように感じた。S1 Proと聴き比べても、中低域からボーカル帯域の中高域、そして高域へのつながりが良くなり、一歩前に出てくる感じがした。上品でうるさくない“BOSE SOUND”の流れは維持されていて、SN比も聴感上では向上しているように感じる。Bluetoothでの音源再生や11時間使用可能な充電池など、音を出すことに対するハードルが低くなる製品だ。

 音響に携わる方々は、指向性を考え、モニターとオーディエンス向けの併用などを考慮した置き場所を工夫することで、本機だけでもPAを行うことが可能だろう。その音質にも満足感を持てるのではないかと思われる。その他、インフィルやモニタースピーカー、メインシステムとして現場での使用が十分可能である。また、コンシューマーユースとしては、リバーブを簡単に使えるので、スマホでカラオケを流して歌うことが、Bluetoothスピーカーと同じような手軽さで可能だ。しかもワイドレンジの高音質だから、簡単に良い音で楽しむことができる。学校などでは2台用意して、1台のライン出力にトランスミッターを接続することで、広いエリアに音を届けることができる。電源も含めてケーブルを全く使わずに簡単に音が出せるメリットは予想以上に大きいと思われる。しかも高音質なので、幼稚園などの施設では、情操教育にも一役買うのではないかと思われる製品である。

 

山寺紀康
【Profile】PAをメインに手掛けるサウンドエンジニア。磯貝サイモン、武藤彩未、井上苑子、新谷祥子、未唯mieなどのライブでPAを担当。尚美学園大学の芸術情報学部情報表現学科で教授を務める。

 

 

 

BOSE PROFESSIONAL Bose S1 Pro+ wireless PA system

109,780円

BOSE PROFESSIONAL Bose S1 Pro+ wireless PA system

SPECIFICATIONS
▪バッテリー持続時間:最大11時間 ▪Bluetooth動作範囲:最大9m ▪外形寸法:238(W)×332(H)×279(D)mm ▪重量:6.5kg

製品情報

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