512 AUDIO Tempest レビュー:USB-C端子で接続可能な配信や宅録に向いたコンデンサー・マイク

512 AUDIO Tempest レビュー:USB-C端子で接続可能な配信や宅録に向いたコンデンサー・マイク

 今回は、512 AUDIOから発売されたUSBコンデンサー・マイクTempestの使用感を、音楽制作やYouTubeなどの動画制作を行っている私の視点からレビューしていきたいと思います。

34mm径の大型ダイアフラムを搭載

 まずは、512 AUDIOというメーカーについて紹介します。往年の名機にインスパイアされたコンプレッサーやEQといったアウトボードを低価格で発売している、あのWARM AUDIOから派生したメーカーなのだそうです。WARM AUDIOが音楽制作に特化しているのに対し、512 AUDIOは、YouTubeやポッドキャストといった、ネット配信や動画投稿を行うクリエイターをメイン・ターゲットとしているようですね。

 次に、スペック的な面からこの製品を見ていきましょう。TempestはMac/Windows対応のUSBマイクであり、マイク本体の底部にUSB-C端子があります。

本体の底面にはUSB-C端子を搭載

本体の底面にはUSB-C端子を搭載

 USB-C端子だと、ケーブルを差し込む向きを考えなくてよいので取り扱いが楽です。また、USB-A to Cケーブルが付属しているので、USB-Cポートがコンピューターに搭載されていなくても、付属ケーブルを安心して使えます。特別なセットアップは必要なく、コンピューターに接続するだけでよいので、使用するのはとても簡単でした。思い立ったらすぐこのマイクで録音できるので、アイディアを見失うこともなさそうです。

 音を拾う部分については、34mm径の大型ダイアフラムを搭載しており、動画のナレーションから楽器、ボーカルのレコーディングまで、幅広くこなせそうです。指向性がカーディオイドのみというのも、初心者でも迷わず使うことができそうで良いと思いました。また、ダイレクト・モニタリング機能があるため、歌などをマイクでレコーディングする際の遅延なども全く問題ありません。ヘッドフォン端子も備わっており、癖のない素直な音をモニターすることができました。ただし、一般的なUSBマイクと同様ASIOに対応していないため、Windowsで使用する場合は標準のオーディオ・デバイスとして認識されます。MIDIキーボードを演奏してそれをモニタリングしながら声を録音する場合は、多少遅延があるので注意が必要です。

 また、マイク・ゲインとモニタリング音量を調整するツマミは一見小さく見えるのですが、それぞれを操作する際に、各ツマミが邪魔にならないので、とても使用しやすかったです。これらの上部に搭載されたミュート・ボタンは、配信や通話中でもボタンを押すだけでミュートできるようになっています。しっかりと配信者やクリエイターのことが考えられているようですね。

前面がカットされたショック・マウントが付属

 さらには、スタンドやショック・マウントも付属しています。特に感心したのは前面がカットされたショック・マウント。ツマミやヘッドフォン端子にアクセスしやすいので、とても好印象でした。スタンドは卓上に置くには最適な大きさではありますが少し低めの作りなので、好みに応じて別のマイク・スタンドを用意するとさらに良いでしょう。

付属品。左からショック・マウント、ハード・マウント、デスクトップ・スタンド、USB C to Aケーブル

付属品。左からショック・マウント、ハード・マウント、デスクトップ・スタンド、USB C to Aケーブル

低音がすっきりしているので余分なエディットが要らない

 それでは音質のチェックを行いたいと思います。初めに、男声と女声でナレーションを試してみました。大体のマイクですと、特に男声はEQなどでローをカットする必要がある場面が多々あるのですが、このマイクに関してはそのままでも聴き取りやすい音が録音できました。また、女声の方がさらにこのマイクとの相性がよく、高音域がマイルドで耳が痛くならず、気持ち良い音です。同様に男声、女声のボーカルでも試してみましたが、とても素直でクリアな良い音を録音することができました。

 続いて、アコースティック・ギターを録音してみました。前述した通り、このマイクはほかのマイクに比べて低音がスッキリ聴こえるので、ミックスをする際に音の処理に困ることはなさそうで好印象。アコースティック・ギターの響きを奇麗に録音することができました。また、ダイレクト・モニタリング機能のお陰で自分の演奏がしっかりと把握できるので、弾き語りで歌とギターを録音するのにも相性が良さそうです。

 Tempestは、手軽にセットアップできるので浮かんだアイディアを逃さずに録音できますし、なおかつ使い勝手が良いため好印象でした。また、低音がスッキリしているのでミックスの際に余分な編集をする必要がなく、録音した音を簡単にコンテンツに取り入れることができる製品だと感じました。総じて、配信や動画のナレーション、さらには歌モノのコンテンツなどを作りたいクリエイターの方に、お薦めできるUSBマイクです。

 

ミディ
【Profile】プロの作曲家としてアニメやゲーム、アイドルなどへの楽曲提供を行う傍ら、バーチャルYouTuber(VTuber)として音楽制作に関する解説動画などをYouTubeに投稿している。

 

512 AUDIO Tempest

オープン・プライス

(市場予想価格:23,800円前後)

512 AUDIO Tempest

SPECIFICATIONS
▪形式:コンデンサー ▪接続:USB-C ▪対応OS:Windows 10、macOS 10.14以降 ▪ビットレート:24ビット ▪サンプリング・レート:48kHz ▪最大マイク・ゲイン:45dB ▪指向性:カーディオイド ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪外形寸法:50.6(φ)×185(H)mm ▪重量:420g

製品情報

512 AUDIO Tempest

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