第2回
Studio Oneにおけるミックスの準備と
オススメ内蔵プラグイン
こんにちは! この原稿を書いてる最中にVer.3.2.2が発表されました。マイナー・アップデートは幾つかのバグフィックスやSTEINBERG Cubase/Nuendoとの互換性向上など、ユーザーにとってはうれしいニュースです。個人的にはいささか音にも変化があったように感じていて、DAWでは表現が難しいとされる音の奥行き感が増したように思います。さて、エンジニア目線で見るStudio One(以降S1)の2回目は、ミックスの準備とS1付属のプラグインについて紹介していきましょう。
素早い作業を実現するための
ドラッグ&ドロップ
僕がS1で作業をするのはほぼミックスですが、まれにミックス・チェック前にコーラスなどちょっとしたダビングをすることもあります。そんなときはAVID Pro Toosをわざわざ立ち上げるのではなく、開いているS1で録音をするのですが、そこで便利だなぁと思うのがインプット・チャンネル。スタジオで生楽器やボーカルを録音しているときにコンソールに入ってくる録音レベル、もしくは信号が来ているかどうかを確認するのに、コンソールの入り口にあたるチャンネル・インプット・メーターを見ることがしばしばあります。そんな機能がS1にもあり、ハードウェア(オーディオ・デバイス)からの入力信号をダイレクトに表示できるようになっているのです。

トラックをインプット状態にせずともS1に信号がちゃんと来ているかどうか確認することができます。また便利なのはこのインプット・チャンネルにはインサート・デバイス・ラックがあるので、ここにお気に入りのプラグインを挟むことでエフェクトのかけ録りができること。例えば、お気に入りのプラグインをインサートに入れることで録り音に反映させることが可能ですし、ギターやベース・ダビングなどでは、S1内蔵のプラグインであるTunerをこのインプット・チャンネルにインサートしておけば、チューニング・メーターとして使えるのです。
さて、ここからは普段僕がミックスに入る一連の流れを説明していこうと思います。S1の起動画面から新規ソングをクリックすると、これから始めるソング・データのタイトル、サンプル・レート、解像度、テンポなど必要な情報を入力できるページが現れるので、データの保管場所も確認しつつOKを押します。作曲する場合、取り込んだオーディオ・ファイルがソング・テンポに自動的にストレッチしてくれる項目(オーディオファイルをソングテンポにストレッチ)にチェックを入れると、選ぶオーディオ・ファイルのテンポを意識せず自分の作りたい曲に取り込めるので便利ですが、ミックスの場合は必ず外れていることを確認しておきましょう。

それでは、立ち上がった空のソングにミックスができるように、オーディオ・ファイルを取り込みます。一般的なDAWと同様、メニューの“ソング→ファイルをインポート…”からオーディオを取り込み可能ですが、S1の場合は、画面右側のブラウザーからファイルのタブを選択し、ボリューム(パソコン本体のファイル)から取り込みたいオーディオ・ファイルをドラッグ&ドロップするだけでOK。

本当にシンプルな動作で読み込め、トラック名にもファイル名を反映してくれますし、迷うことはありません! この動作はミックスの実作業にも度々出てきますので覚えておきましょう。
オーディオ・ファイルを並べたらミックス・スタートです。曲構成を把握したり、トランスポートを速くするためにマーカーという機能がありますが、僕はまずアレンジ・トラックを作成します。

アレンジ・トラックでは“イントロ”“1A”“ブリッジ”などのセクションを作成し、それをリスト表示化できるので、ワンクリックによるダイレクト・トランスポートとして使用可能。テレビやプロモーション用に1コーラスの曲がほしい場合など、セクションの構成を入れ替えるだけでエディットにも活用できるので、最初に作っておくと何かと便利なのです。
作成方法は、インスペクターの上部にアイコンがあるのでクリック。後はアレンジ・ビュー内をダブル・クリックするのみで、イントロ、バース、コーラス……とセクションが作成されます。右クリックで名称や色も変更できるので、変えておくことで視認性もアップです。
プラグイン・エフェクト/シンセは
ブラウザーでアイコン表示が可能
S1に付属するプラグインはかなり使い勝手が良く、種類も一通りそろっています。プラグインのインサートもオーディオ・ファイルを取り込む場合と同様、右のブラウザーからエフェクト・タブ選択し、プラグインを挿入したいトラック上にドラッグ&ドロップするだけでOK! プラグインを削除してもゴミ箱(コンソール左端のタブから選択)に入るので、すぐに戻すこともできます。さらに、内蔵のプラグインは、ブラウザー内でアイコン表示されるので、文字が小さくても視認性が良く目的のプラグインをすぐ選択可能。

サード・パーティのプラグインもアイコン化できるので、使用頻度が多いものだけアイコン化しておくか、“お気に入り”にチェックを入れてまとめておくと、作業効率がアップするでしょう。
今回の最後に、使用頻度の高い付属プラグインを紹介しておきましょう。1つは7バンドでスペクトラム・メータリングなどを備えたPro EQ。

クリアで効きも良くソースを選ばずに使えるのはありがたいです。またディレイは、Analog Delay、Beat Delay、Groove Delayと3種類も入っていて特徴もそれぞれ違い、プリセットも豊富なのできっと楽曲に合ったディレイが見つかります。今回はミックスに入る準備段階から内蔵プラグインまでをピックアップしましたが、便利な機能がまだまだあるので、次回紹介できたらと思ってます。nos vemos!
*Studio One 3の詳細は→http://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/