JBLのスピーカーを全面的に導入
伊勢湾に面する国内屈指の総合レジャー施設、ナガシマリゾート。その中核であるナガシマスパーランドもアミューズメント・パークとして日本最大級の規模を誇り、アトラクションの数は50種類以上にのぼる。園内を歩いてみると、メイン・ゲートの付近から各アトラクションの周囲まで、あらゆるポイントにJBL PROFESSIONALのスピーカーが認められる。「園内の音響設備は、お客様向けのBGMやアトラクション用効果音の再生、迷子などの案内放送に使用しています。JBL PROFESSIONALのスピーカーは、プロセッサーでイコライジングなどをしなくても良い音で鳴ってくれるんですよ。とりわけ音楽ソースにはバッチリですね」と語るのは、ナガシマスパーランドで音響設備の改修を手掛ける担当者だ。
「改修済みの音響設備は、年何回かのイベントにも役立っています。例えば園内全域にゾンビが現れる……といった催しでは、ゾンビのパフォーマンスに合わせて、スピーカー間で音を動かしてみたんです。改修前は、こうした演出を外部のPA会社にお任せしていて、システムもその都度組んでもらっていました。しかし今は、規模によっては自前の設備で賄えるイベントも増えたわけです。改修は2年くらい前から徐々に進めていて、パーク内の遊園地エリアについては7割程度が完了しました。残りの3割は、あと1〜2年かけて改修していくつもりです」
改修された音響設備は、QSCのネットワーク・システムQ-SYSをプラットフォームに据えたもの。園内の幾つかの事務所には音響機器のラックが設置されており、それらが光ネットワークでつながっている。例えば、プール施設付近の事務所にはBGM用の音楽ファイルを収めたサーバーが、メイン・ゲートのそばの事務所にはトランスポートやボリュームのコントローラー、パワー・アンプなどがスタンバイ。すべてがネットワークの中にあるため、メイン・ゲートのそばからプール付近のサーバーに入った音楽ファイルを扱うようなことも可能。また専用ソフトの入ったコンピューターを接続すれば、ネットワーク内のスピーカーの音量などを個別にコントロールできる。
「例えるなら、改修前は1台のアンプに100台のスピーカーがぶら下がっているような状態でした。なので、ある場所のスピーカーの音量を変えると、ほかの場所の音量まで変わっていたんです。また同一の音声が、場所によって大きく聴こえたり小さく聴こえたりもしていたので、音量のバラつきを無くすというのはテーマの一つでしたね。そして、最もアップデートしたかったのは音質。昨今は設備が老朽化し、お客様アンケートでも“音を良くしてほしい”という声が見られました。それを解決したかったのと、音質を向上させることで遊園地エリアの雰囲気をより良くしたいという思いがあったんです」
風雨のみならず塩害にも耐えるJBL AWC
音質に多大な恩恵をもたらしたのは、JBL PROFESSIONALのスピーカーだ。AWCシリーズ(同軸2ウェイ)やCBTシリーズ(コラム型)、Controlシリーズ(2ウェイ)などのモデルが適材適所に導入された。
「環境面でありがたいのは、AWCシリーズが塩害にも耐える点。ここは海に面しているため、潮風が吹いてくるんです。風雨に強いスピーカーは他社にもありますが、塩害に耐えるモデルはあまり見ないので、うれしいですね」
各モデルの配置については、こう解説する。
「AWCシリーズはカバー・エリアが広いので、広範囲へ音を届けたいポイントに設置しています。これに対してCBTシリーズは直進性が高く、アトラクションの出入り口などに有用。入場した瞬間、迫力のある音質で音が聴こえてくるので、“ほかのエリアから雰囲気が変わった感じ”を持たせることができるんです。順番待ちのお客様に対しては、Controlシリーズでアナウンスを伝えています。Control 25Tなどの小口径モデルを採用し、会話の妨げにならない程度の音量で鳴らしていますね。改修後は、お客様から音へのご指摘をいただくことが無くなり、さらにはアンケートで“音が良くなった”という反応を見るようにもなったので、大変満足しています」
ナガシマスパーランドには3つの宿泊施設が隣接しており、その一つであるホテル花水木もバンケット(宴会場)の音響設備が改修された。バンケットは全3部屋で、それぞれにJBL PROFESSIONALの2ウェイ・ラインアレイVRX932LA-1とサブウーファーVRX918Sをメインとするスピーカー・システムがスタンバイしている。
「改修の動機は主に2つあって、一つは従来の設備が老朽化していたこと。もう一つは、昨年の伊勢志摩サミットの“ジュニア・サミットin三重”の会場に選ばれていたことです。以前は出音のレンジが狭く、もっと迫力が欲しいと思っていましたし、聴取位置による音量のバラつきも気になっていました。VRX900シリーズはラインアレイらしい聴きやすい音質ですし、価格も手ごろなので良いですね。導入した後の評判も良く、普段オペレートを務めている係の者も“音がクリアになった”と喜んでいます」
新しい音響機器を積極的に取り入れ、音のグレード・アップを果たしたナガシマスパーランド。来場客からの反応も上々とのことで、音響設備への投資が施設そのものの価値向上につながったと言えるだろう。