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生形真一(Nothing's Carved In Stone)× 細井智史 インタビュー【前編】〜アルバム『ANSWER』制作の使用機材

生形真一(Nothing's Carved In Stone)× 細井智史 インタビュー【前編】〜アルバム『ANSWER』制作の使用機材

Nothing's Carved In Stoneは、生形真一(g/写真右)、日向秀和(b)、村松 拓(vo、g)、大喜多崇規(g)からなる4人組。ストイックなライブ演奏とアグレッシブで鋭い音が魅力のバンド。前作『By Your Side』からエンジニアの細井智史氏(KURID/写真左)がミックスを手掛け、バンドにサウンド面で革新をもたらした。今回は生形と細井氏に、11thアルバム『ANSWER』制作フローからギターの音作り、ミックスのこだわりを聞いた。

Text:Mizuki Sikano Photo:Chika Suzuki

楽曲アレンジを考えながら完パケを想像できるように

お二人の出会いのきっかけは何ですか?

生形 以前所属していた事務所時代に、今回もマスタリングしてくれているエンジニアのタッキー(瀧口“Tucky”博達)さんを通して知り合いました。タッキーさんには“ナッシングスと細井さんは合うと思う”って言われていたんですよね。僕ら9thアルバムの『Mirror Ocean』まではずっと同じエンジニアにミックスしてもらってたんですけど、独立を機に10thの『By Your Side』から細井(智史)さんにミックスをお願いするようになったんです。

 

細井さんのミックスによって変化した部分は?

生形 ナッシングスはギターもベースも結構ひずませるし、音数も多いので、まとめるのが難しいと思うんですけど、細井さんの音は“すごく整理されていて、俺らが鳴らすそのままの音を生かしてくれている”という印象です。過度に加工したりされない、とてもナチュラル感じがします。

細井 僕は出音を生かすのが命だと思っているんだよね。しかもナッシングスは素晴らしいミュージシャンが集まってできたバンドだから、やりたいことを吸い上げて格好良くしたいんです。だから録音前からナッシングスのデモを共有してもらって聴いて、イメージをしています。

生形 録り音が良くないものがミックスで良くなるわけないですもんね。録音スタジオでイメージが決まっていて、そこで仕上がったものがきちんと録れているのが大事。

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生形真一のプライベート・スタジオ。制作やライブで使用するギターやエフェクターの管理場でもある。立てかけられたギターのうち1967年製GIBSON ES-335は「角が取れていて空気感があって、すべての弦を弾いたときに分離して聴こえてくるバランスが良いギター」と生形は語る

『ANSWER』では激しいロックに始まり、後半のプログラミングの多い楽曲にかけてグラデーションが描かれていると思います。その中でギターがかなり引き算されている印象を抱きました。

生形 確かに、今回はゴリゴリのギターの壁を作ろうってモードではなかったですね。曲がシンプルになっていて、僕だけじゃなくベースとドラムの音数も自然と少なくなっています。細井さんと作ってまるっきり音が変わって、曲のアレンジを考えながら完パケしたときの雰囲気を想像できるようになったのは大きいのかもしれない。

 

ミックスも全パートがせめぎ合うというより、広い空間で皆が順番に前に出て魅せるようなムードですね。ギターは音色変化ごとに、音量バランスが常に変わる印象です。

生形 バランスは細井さんにお任せです。

細井 ミックス・チェック、マジですぐ終わるよね。

生形 リクエストするとしたら、ボーカルの音量ぐらい。

細井 音量バランスは録りから綿密に作るから、ミックスの段階でそんなに変えることがないんですよ。録りで相談することで、その後がスムーズになっているのかもしれないですね。

生形 サウンドクルー(録音スタジオ)では、俺がギターの音色を決めたら“この音どうですか?” って細井さんに聞くんですよね。逆にそれまでは細井さん、全然口出ししてこない。そういうのは信頼できるなって思います。もちろん、自分の中で完ぺきなイメージがあるときは、崩さないでほしいと伝えることもありますけどね。

 

では前作からミックスだけでなく、レコーディング方法も含めて変化があったということですね。

生形 そうですね。あと、細井さんとやるようになってから、より機材にこだわるようになったんですよね。

細井 ビンテージのファズをいっぱい買ってたよね。見てたら俺まで“古いファズ欲しい”ってなっちゃったもん(笑)。

生形 とにかく自分でいろいろな音を出すのが楽しくて。細井さんと共通の知り合いなんですけど、ギタリストの土屋昌巳さんと以前お話ししていて、機材は大事だなって本当に強く思うようになって。“どんなギターでも俺の音出せる”って人も格好良いけど、このギターやアンプじゃないと出ない音、その曲に合う音って間違いなくあるから、それを追求したいんですよね。

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デスク周り。モニター・スピーカーはSONODYNE SM100Jをメインに、GIBSON GSLP4をサブとして使っているという。DAWはAVID Pro Toolsを使用。デモではプラグインとコンパクト・エフェクターで音作りをするという。「API Tranzformer LXを最後に入れると良い音になる」とのこと

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CORNELL Plexi(左)は「ワット数の切り替えが可能で、普段は2.5Wで弾く」と言い、GIBSONの真空管アンプGA-5(右)は「素直な音がするのでサウンド・チェック用」と使い分けられている

ひずみ系のギターには迫力がありつつ粘りがあり、クリア系は鋭く不純物が無いので、プレイの人間味が際立っている印象です。どういった機材を新しく購入されたのでしょうか?

生形 ファズだとビンテージのVOX Tone Bender。ほかにはギターやアンプも買っています。RICKENBACKERの1966年製ギターは『ANSWER』で大活躍しましたね。コード弾きとかするとすごくクリアな音が鳴るのが特徴なんですけど……俺、U2が大好きで、ギタリストのジ・エッジはRICKENBACKERのギターをガンガンひずませてDIGITECH Whammyをかけたりするんですよ。ガラスが割れたような繊細なひずみ方をして危うい音になるのが魅力です。今回は「Deeper,Deeper」のリフなどで使いました。

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『ANSWER』のギター・サウンドの基盤作りとして、オーバー・ドライブのKLON Centaur(左上)、VOX Tone Bender(右)、ファズのZVEX Fuzz Factory(左下)をよく通していたという

 

インタビュー後編(会員限定)では、最新アルバム『ANSWER』でのギターの音作りやミックスのこだわり、そして今後の展望について伺います。

Release

『ANSWER』
Nothing's Carved In Stone
(Silver Sun Records/SPACE SHOWER MUSIC:初回限定版DDCZ-9071、通常盤DDCZ-9072)

Musician:生形真一(g)、日向秀和(b)、村松 拓(vo、g)、大喜多崇規(g)、佐瀬貴志(prog)
Producer:Nothing's Carved In Stone
Engineer:細井智史
Studio:サウンドクルー

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