TAKUYA〜音のプロが使い始めたECLIPSE TDシリーズ

それぞれの音が“本来あるべきところ”に聴こえる

“タイムドメイン理論”に基づき設計されたECLIPSEのスピーカー、TDシリーズ。2001年に最初のモデルがリリースされるやいなや、ミックスやマスタリングなど正確な音の再現が要求される現場で高い評価を獲得。その後モデル・チェンジやラインナップの拡充が続けられ、現行のTD510MK2、TD510ZMK2、TD508MK3ではインパルス・レスポンスの向上や周波数特性の拡張など、さらなる進化を遂げている。また2014年には、より多くのユーザーが使いやすいようにとアンプ内蔵モデルTD-M1も登場し人気を博している。そんなECLIPSE TDシリーズの魅力をトップ・プロにうかがっていくこのコーナー、今回登場していただくのはJUDY AND MARYのギタリストとしてデビューした後、最近は台湾などアジア圏のミュージシャンをプロデュースする仕事も多くこなしいているTAKUYA氏だ。

この記事はサウンド&レコーディング・マガジン2016年2月号から編集・転載したものです。

自分が弾いている間(ま)が聴き取りやすい

本誌でも何度か紹介しているTAKUYA氏のプライベート・スタジオ=54it。海外を含めた多くのスタジオで作業してきた経験を生かし2004年に作られたものだ。

「僕の持論なんですけど、音のいいスタジオは天井が高いんですよ。そしてほとんどが木とレンガでできている。だから自分のスタジオを作るとき、まずは高い天井を確保し、そして木をふんだんに使い……レンガは残念ながら日本の建築的に無理だったので、壁面に漆喰を塗って吸収と乱反射を狙ったものを作りました」

良い部屋を作ることはできたのだが、当初入れたモニターにはあまり満足することができず、その代わりとして開設の1年後に導入されたのがECLIPSE 512だ。

「第一印象はとにかくタイミングのいいスピーカーだということ。それぞれの音が“ 本来あるべきところはここ”という感じに聴こえるんですね。だからギターの録音をするときに、自分がいったいどの間(ま)で弾いているのかが聴き取りやすくなりました」

すっかりECLIPSEにほれ込んだTAKUYA氏だが、スタジオを訪れるエンジニアたちは戸惑ったという。

「やっぱりほかのスピーカーとあまりにも違ったからみんななかなか慣れてなくて……。確かに512のときは高域が足りないところもあったので、エンジニアさんがミックスに使うのにはつらそうだなと。それで仕方なくほかのスピーカーを引っ張り出すこともあったんです。でも、2012年にTD510MK2に替えてからは、高域も十分に出るようになりましたし、TD520SWというサブウーファーを加えてからは、文句を言うエンジニアさんは一人もいなくなりました。僕自身はサブウーファーが無くても大丈夫なんですが、アレンジャーから打ち込みもののオケをもらってきたとき、想定外のスーパーローが入ってないか確認するのにどうしても必要なのでね」

オールドNEVE の卓と絶妙にマッチ

本シリーズに登場してくれているミュージシャン/エンジニアがみな絶賛するECLIPSEのTDシリーズだが、一方で“あまりにもシビア過ぎる”という声もよく聞く。その点についてTAKUYA氏はこう話してくれた。

「筐体が鳴らないから周りの影響が出ちゃうんですよ。いろいろなものを試した結果、僕がやっている音楽には下に大理石を置くのがいい。これでシャンパンっぽい感じで鳴りますね(笑)。あとこのスタジオの場合は直前にオールドNEVEの卓がつながっているのが効いているんじゃないかな。AVID Pro ToolsのI/OにPRISM SOUNDのADA-8XRを使い、それをNEVEの卓、そしてECLIPSEのアンプとスピーカーにつないでいる……歴史的においしい回線になっているんです」

訪れるエンジニアから“アジアで一番音がいい”とまで言われるスタジオを作り上げたTAKUYA氏だが、最近、“福岡に世界一のスタジオを建設する”という構想を発表して話題となっている。

「僕が今まで培ってきたノウハウを生かした、スタジオとしての決定版を作ろうと思っています。大きなブースも備え、それこそ建物の造りから電源まで、現代の技術を結集した最高のものを作りますよ。なぜ福岡なのかって、アジアが近いからです。僕は最近プロデュースの仕事で台北や北京に行く機会が多いのですが、福岡からならどちらも飛行機で2時間くらいだし、東京へも2時間。福岡は東京と台北のちょうど真ん中なんですね。しかも空港が市の中心にあるから、どこからでも15分で飛行機に乗れる。コストも含めいろんな面で有利なんですよ。既に行政とも話し始めてまして、来年中には話を決めるつもりで動いてます。もちろん、そのスタジオが稼働する暁にはECLIPSEのスピーカーを大量に導入しますよ(笑)」

【TAKUYA PROFILE】 1971年京都生まれのギタリスト、ソングライター、プロデューサー。1993 年にJUDY AND MARYのギタリストとしてデビューし、多くのヒット曲の作曲・作詞を手掛ける。1997 年にはROBOTSでソロ・デビュー。現在は他のアーティストへの楽曲提供やプロデュース活動などを精力的に展開

TD510MK2

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■ユニット:10cmコーン型フルレンジ ■周波数帯域:42Hz~22kHz(ー10dB) ■能率:84dB/W・m ■許容入力:25W/50W(定格/最大) ■インピーダンス:6Ω ■角度調整:ー10°~30° ■重量:約9.5kg(1本) ■価格:120,000 円(1本)■カラー:ブラック/ホワイト/シルバー

TD-520SW

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■ ユニット:20cmコーン型ウーファー×2 ■周波数帯域:25Hz~150Hz(ー10dB)■定格出力:250W(T.H.D.1%) ■ローパス・フィルター:30Hz~150Hz ■位相切替:0°/180° ■高周波歪率:0.05% ■重量:約37kg ■入力:ライン×2系統、スピーカー×1系統 ■価格:250,000 円(1本)

問合せ:富士通テン http://www.eclipse-td.com/

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