簡単なドラムを打ち込んでみる~ピアノロールの第一歩

簡単なドラムを打ち込んでみる~ピアノロールの第一歩

オーディオとは趣を異にする豊かな音楽表現を可能にするピアノロール。その活用術について、アーバンギャルドのキーボーディストで作編曲家の、おおくぼけい氏が基礎から解説します。本稿では、まず簡単なドラムの打ち込みについてレクチャーしていただきましょう。

ドラム音源の仕組みを知る

 こんにちは。アーバンギャルドのキーボーディストで、作編曲家のおおくぼけいです。ここからはピアノロールを使ったフレーズ作りのテクニックを解説します。今回は、記事の題材として曲を作りました(♪1-1)

 この曲に使用したMIDIのパターンやソフト音源に沿って話を進めます。またWebで試聴できる誌面連動音源は、各テクニックの効果が伝わりやすいように、トピックとなる部分をループ再生したりソロ再生するなどしています。

 さて、手始めにドラムの打ち込み方法から見ていきます。題材曲は僕のメインDAW=APPLE Logic Proで制作し、ドラムには付属音源のDrum Kit Designerを使いました

題材曲のドラムに使った音源は、APPLE Logic ProのDrum Kit Designer。生ドラム系の音色を収録していて、各ドラム・パーツを好みのものに設定できます

題材曲のドラムに使った音源は、APPLE Logic ProのDrum Kit Designer。生ドラム系の音色を収録していて、各ドラム・パーツを好みのものに設定できます

 ピアノロールに打ち込んだデータは、DAWで自動演奏(シーケンス)することが可能です。例えば、ドの鍵盤の位置に4分音符のデータを打ち込めば、その長さでドの音を自動演奏できるのです。

 ピアノやストリングスなど、旋律用の音源であれば通常、ピアノロールにC4のノートを打ち込めばドの音が鳴りますが、ドラム音源はC1を打ち込むとキックが鳴り、D1ならスネア、F1はクローズド・ハイハット……というように、各ノート・ネームへドラム・パーツが割り当てられています

この画面のように、ドラム音源では各ノート・ネームにドラム・パーツが割り当てられています。どのノート・ネームがどのパーツかは、製品や音源のプリセット・キットによってさまざまです

この画面のように、ドラム音源では各ノート・ネームにドラム・パーツが割り当てられています。どのノート・ネームがどのパーツかは、製品や音源のプリセット・キットによってさまざまです

 また、どのノート・ネームが何のパーツかは製品によってさまざま。なので、題材曲のドラム・パターンをDrum Kit Designer以外の音源で鳴らすと、スネアがキックになったりハイハットがタムになったりするかもしれません。

 今回は、題材曲に使用したMIDIファイルを配布しています。お手持ちのドラム音源を鳴らす場合は、各ノートをピアノロール上で上げ下げして、しかるべきドラム・パーツが鳴るようにしてみてください。

題材曲のMIDI素材をダウンロード!
※上のページにアクセス後、パスワード「pianoroll2302_snrec」を入力してください
※MIDI素材は、トラックのスタンダードMIDIを書き出したものです

16分音符グリッドに沿って打ち込む

 まずは簡単なドラム・パターンを打ち込んでみましょう。ポップ・ミュージックなら、グリッドは基本的に16分音符に設定しておくとよいでしょう。また題材曲で僕がやっているように、鉛筆ツールで打ち込む場合は、グリッドぴったりにノートを入力できるようにしておくと、ひとまずは作りやすいと思います。Logic Proでは、標準でそのような状態となっています。

題材曲の軸となる8ビートを1小節分、打ち込んだピアノロール画面。縦線の1区切りが16分音符の長さのグリッドで、1&3拍目にキック、2&4拍目にスネア、小節頭から8分音符でハイハットを打ち込んでいます。画面右上のメニューで“グリッドに沿う”を選択していると、グリッドに吸い付くようにノートが入力されるので、作り始めの段階では便利。題材曲の完成形は、この基本パターンにいろいろなテクニックを施し、ブラッシュアップしたものです

題材曲の軸となる8ビートを1小節分、打ち込んだピアノロール画面。縦線の1区切りが16分音符の長さのグリッドで、1&3拍目にキック、2&4拍目にスネア、小節頭から8分音符でハイハットを打ち込んでいます。画面右上のメニューで“グリッドに沿う”を選択していると、グリッドに吸い付くようにノートが入力されるので、作り始めの段階では便利。題材曲の完成形は、この基本パターンにいろいろなテクニックを施し、ブラッシュアップしたものです

 題材曲の軸となる8ビートは、1拍目と3拍目にキック、2拍目と4拍目にスネア、すべての拍へ8分音符ごとにクローズド・ハイハットを打ち込んだもの(♪1-2)。でもこのままではシンプルすぎるというか、もっと面白みを加えたいので、次のページから紹介する技で磨き上げていきましょう。


「テクニック2:平坦なフレーズにノリを出したい!~ベロシティをいじってみよう」は近日公開予定です!

 

おおくぼけい

おおくぼけい
【Profile】アーバンギャルドのキーボーディストで、作編曲家としても活動。頭脳警察や戸川純、大槻ケンヂらの音楽にも携わり、映画や演劇のための作編曲も手掛ける。アーバンギャルドは、2023年1月25日にユニバーサルから『URBANGARDE CLASICK ~アーバンギャルド15周年オールタイムベスト~』をリリース。3月31日には、中野サンプラザホールにてライブ『15周年記念公演 アーバンギャルドのディストピア2023 SOTSUGYO SHIKI』を行う。

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