iamSHUM 〜Kis-My-Ft2や倖田來未などへの楽曲提供も行うシンガー、DJ、音楽/映像プロデューサー

iamSHUM 〜Kis-My-Ft2や倖田來未などへの楽曲提供も行うシンガー、DJ、音楽/映像プロデューサー

音楽制作は慣れれば自由にできるようになるので、それまで100曲でも200曲でも作ってほしい

今回登場するのは、シンガー、DJ、音楽/映像プロデューサー/イラストレーターと多方面に活動するiamSHUMだ。ダンス・ミュージックの制作を得意とし、音楽プロデューサーとしては、これまでに倖田來未やKis-My-Ft2、SEAMOなど多数のアーティストに楽曲提供を行っている。また昨年9月にはワーナーミュージック・ジャパンにおける新レーベル、WARNER HYPE MUSICを立ち上げ、自身の作品を続々とリリース。ここでは彼のプライベート・スタジオにて、ビート・メイキングやミックスのこだわり、制作ツールなどについて伺った。

【Profile】沖縄出身のシンガー、DJ、音楽/映像プロデューサー。作詞作曲からアレンジ、ミックス、マスタリングまですべて自身で行っている。2022年からはワーナーミュージック・ジャパンのダンス・ミュージック専門レーベル、WARNER HYPE MUSICの主宰も務めている。

 Release 

『二次元』
iamSHUM
(WANER HYPE MUSIC)

CubaseとLogic Proを使い分け

■スタジオとDAW

 スタジオは6〜7畳くらいの広さで、使いはじめてから約10年がたちます。このスタジオでは曲作りからボーカル/ギターの本番レコーディング、ミックスまで行っているんです。コンピューターはAPPLE MacBook Pro、DAWはSTEINBERG CubaseとAPPLE Logic Proを使い分けています。もともとCubaseユーザーでしたが、東京に来てからLogic Proも使いはじめました。周りのビート・メイカーにはLogic Proユーザーが多く、僕も使ってみたくなったからです。現在、ビート・メイキングやミックスをするときはLogic Proで、レコーディングをするときはCubaseというふうに使い分けています。特にCubaseはオーディオ編集が容易に行えるのでお気に入りですね。ピッチ/タイミングを編集できるVariAudioという機能が優秀で、ボーカル・エディットはいつもこの機能を使用しています。

iamSHUMのプライベート・スタジオ。広さは6〜7畳で、10年以上使用しているという。メイン・マシンはAPPLE MacBook Proで、APPLE iPad Proをサブディスプレイとして使用。ボーカルやギターの録音も行うこともあり、壁や天井には吸音材を貼って反射を少なくしているという

iamSHUMのプライベート・スタジオ。広さは6〜7畳で、10年以上使用しているという。メイン・マシンはAPPLE MacBook Proで、APPLE iPad Proをサブディスプレイとして使用。ボーカルやギターの録音も行うこともあり、壁や天井には吸音材を貼って反射を少なくしているという

NORD Nord Lead 2はMIDIキーボードとして使用している

NORD Nord Lead 2はMIDIキーボードとして使用している

メイン・デスク下に置かれたラックには、コンプのTUBE-TECH CL 1BやEQのAMEK System 9098 EQなどを格納

メイン・デスク下に置かれたラックには、コンプのTUBE-TECH CL 1BやEQのAMEK System 9098 EQなどを格納

スタンドにはNEUMANN U 87 AIがスタンバイ

スタンドにはNEUMANN U 87 AIがスタンバイ

■オーディオ・インターフェース

 音楽制作を始めた頃からSTEINBERG UR28Mを使っています。Cubaseユーザーだったので、同じブランドで統一した方がいいと思って購入しました。愛着はあるものの、そろそろ次のオーディオ・インターフェースを導入しようかな?とも考えています。次はUNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズにしようと思っていて、その理由はUADプラグインを使いたいからです。ちなみに最近はApolloシリーズが無くても動作するUADxプラグインも登場しました。自分はShadow Hills Mastering Compressorがお気に入りです。

オーディオI/OはSTEINBERG UR28Mを使用する

オーディオI/OはSTEINBERG UR28Mを使用する

■モニター・スピーカー

 モニターはGENELEC 1031Aで、もともと父のレコーディング・スタジオで使っていたものです。僕はGENELECのサウンドが一番好きで、ダンス・ミュージックとも相性が良いと思います。GENELECのモニターは、高域がシャキッとしつつ、低域もしっかり出るんです。ミックス・チェックでは、必ずこの1031Aで確認するようにしています。それくらい自分自身のリファレンスになっていますね。サブモニターとしてKRK Rokit 5も所有していますが、今は主にPIONEER DJ CDJ用のスピーカーとして利用しています。

モニターはGENELEC 1031Aを設置

モニターはGENELEC 1031Aを設置

DJ用のデスク。CDJはPIONEER DJ CDJ-2000 Nexus×2台、ミキサーはPIONEER DJ DJM-900 Nexusを備える

DJ用のデスク。CDJはPIONEER DJ CDJ-2000 Nexus×2台、ミキサーはPIONEER DJ DJM-900 Nexusを備える

ヘッドフォン。左からAUDIO-TECHNICA ATH-M50X、SENNHEISER HD 25、V-MODA Crossfade Wireless

ヘッドフォン。左からAUDIO-TECHNICA ATH-M50X、SENNHEISER HD 25、V-MODA Crossfade Wireless

常にシーンのトレンドをチェックして楽曲に反映

■ビート・メイキングの手順とこだわり

 コードまたはビートから作り始めることが多いです。先にメロディが浮かんだ場合は、そこからコードやビートを展開することもあります。制作時のこだわりは、常にシーンのトレンドをチェックして曲に反映すること。去年〜おととしまではトランスやフューチャー・レイブがトレンドでしたが、現在のトレンドはハウスだと思います。ビヨンセやドレイクもハウスを取り入れた作品を発表していましたね。ザ・チェインスモーカーズなど、最近のDJ/音楽クリエイターは新しい音楽よりも、ビルボードに入るための曲を作っているように感じます。

ドクター・ドレーに憧れて購入したというサンプラー、AKAI PROFESSIONAL MPC1000

ドクター・ドレーに憧れて購入したというサンプラー、AKAI PROFESSIONAL MPC1000

リニアPCMレコーダーのTASCAM DR-44WL。フィールド・レコーディングやポッドキャスト時に活躍しているそうだ

リニアPCMレコーダーのTASCAM DR-44WL。フィールド・レコーディングやポッドキャスト時に活躍しているそうだ

■音源/プラグイン・エフェクト

 僕は、曲に合わせてキックのピッチを変えるようにしています。キックにはサンプルか、キック専用のソフト音源SONIC ACADEMY Kick 2を使います。ピッチ変更やエンベロープ処理が簡単にできて便利だからです。スネアやハイハットはサンプルが多いですね。あとシンセ・ベースはLENNARDIGITAL Sylenth 1で、サブベースにはROB PAPEN Subboombass 2をよく用います。Subboombass 2は、サブベースに特化したソフト音源なので音作りがしやすいです。上モノのシンセはSylenth 1とREVEAL SOUND Spire。これらがあれば、大体のサウンドが作れると思います。オリジナルのサウンド・プリセットをたくさん作っているので、効率良く作業を進められるんです。

■リバーブのこだわり

 ディレイやリバーブは、マルチエフェクト・プラグインのXFER RECORDS SerumFXがメイン。特にリバーブはふわっとした奥行き感を演出できるので、ボーカルによく使用しています。ディストーションやフランジャー、コンプなどもあり、各エフェクトはラックみたい並べられるので扱いやすいです。ちなみに最近購入して良かったリバーブ・プラグインは、W.A. PRODUCTION KSHMR Reverb。今っぽいリバーブのプリセットをたくさん内蔵しているところがいいですね。

■リバーブのこだわり

 リバーブ・プラグインを使うとき、同じブランドのものを極力使わないようにしています。なぜなら音質の傾向が似ているから。つまり、ある周波数帯域にカブリが発生するのを防ぐためという理由です。例えばシンセにVALHALLA DSPのリバーブを使ったら、ボーカルにはKSHMR Reverbを、コーラスにはSerumFXのリバーブを用いるといった感じですね。コンプやサチュレーションなどにおいても同様にしています。

■読者へのアドバイス

 CLMX MasterClassっていうオンライン音楽アカデミーをやっていて、そこの生徒の方たちにもよく話しているんですが、“完璧じゃなくていいからたくさん曲作れ”っていうのが大事だと思うんです。僕の経験上、音楽制作は慣れたら自由にできるようになるので、慣れるまで100曲でも200曲でも作ってほしいなと。僕自身、これからもどんどんリリースしていくので、ぜひチェックしてください!

iamSHUMを形成する3枚

「エレファンク」
ブラック・アイド・ピーズ
(ソニー)

 「ファーギーの加入後にリリースした作品で、クオリティが大幅にアップ。ウィル・アイ・アムを尊敬しており、僕のアーティスト名の“iam”は彼の名前から取りました」

 

「ディスカバリー」
ダフト・パンク
(ワーナー・ミュージック・ジャパン)

 「収録曲の「Harder, Better, Faster, Stronger(邦題:仕事は終わらない)」を聴いて、電子音楽に興味を持ちました。僕にとってダフト・パンクは神的存在です」

 

「トゥルー」
アヴィーチー
(ユニバーサル)

 「アヴィーチーは僕と同年齢ということもあり意識していたアーティストでした。作曲、サウンド・メイキングなど、どれを取っても僕の中ではナンバー・ワンです!」

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