Luna Recording Systemの魅力とは?〜おすすめ付属ソフト&機能を横山直弘が紹介

UNIVERSAL AUDIO Luna Recording Systemを詳しく解説 〜横山直弘のおすすめ付属ソフト&機能

アナログ・スタイルのワークフローが実現する、UNIVERSAL AUDIOのレコーディング・システム

【製品概要】

 同社のオーディオ・インターフェースApolloのために設計されたレコーディング・アプリケーション。Macのみに対応し、Thunderbolt接続のArrow/Apolloシリーズ・オーナーは無償で使用できます。ミキサーをはじめとする基本機能を統轄するLuna Application、プロセッサーのLuna Extensions、専用ソフト音源Luna Instrumentsで構成され、UADプラグインのほか、サード・パーティ製AUプラグインも使用できます。最高24ビット/192kHzに対応し、内部処理は32ビット・フロートとなっています。

UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズ。Luna Recording Systemは、同社Arrow/Apolloシリーズ・オーナーに無償で提供されるレコーディング/音楽制作システムです

UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズ。Luna Recording Systemは、同社Arrow/Apolloシリーズ・オーナーに無償で提供されるレコーディング/音楽制作システムです

【動作環境】
Mac:macOS 10.15/11/12/13、INTEL Quad Core I7以上のプロセッサー、Thunderbolt1/2/3、16GB以上のRAM、SSDのシステムディスク推奨、サンプル・ベースのLuna Instruments用SSD(APFSフォーマット済みのもの)、iLokアカウント(iLok Cloudもしくは第2世代)以降のiLok USB Keyでライセンスを管理)

横山直弘(感覚ピエロ)が語るLuna Recording Systemの魅力

横山直弘(感覚ピエロ)が語るLuna Recording Systemの魅力

【Profile】ロック・バンド感覚ピエロのボーカル/ギタリストで、作詞/作曲/編曲/マニピュレートを担当。門垣良則氏(MORG)に師事しレコーディングやミキシングも手掛ける。そのほかLiSA、水樹奈々への楽曲提供など、精力的に活動中。

アナログ・アウトボードを通したような迫力のあるサウンド。ハード&ソフトの組み合わせで“カッコいい音”に仕上げる

 現在DAWソフトは群雄割拠であり、それぞれが強いアピール・ポイントを持っています。その中でLuna Recording System(以下、Luna)の魅力は、“オーディオ・インターフェースとソフトウェアが完全統合したワークフロー”と“アナログ・アウトボードを通したようなまとまりと迫力がある出音”です。

 筆者はUNIVERSAL AUDIOのオーディオ・インターフェースApollo x4を愛用しています。特にエフェクトのかけ録りができるUNISON機能は強力で、自宅でも出先でも、高品質のギター・アンプやマイクプリ、プロセッサーをぜいたくに使用しながら音楽制作をすることができます。Lunaではさらに、このUNISON機能を含めたConsoleアプリケーション上のすべての機能を、操作することが可能になるのです。

 例えば、“このプロジェクトのここの部分だけやっぱりギターを録り直したいんだけど、どんなアンプでどんな設定だったか覚えていない……”という場面はまれに遭遇するのですが、Lunaでは、録音した際のUNISONプラグインの設定をすべてリコールしてくれます。

 また、Lunaに専用音源のLuna Instrumentsやサード・パーティ製のソフト音源を打ち込んで、ギターなども録音してトラックを並べて再生すると、まとまり感とローミッドの迫力を感じます。Lunaを使って制作すると自然とカッコいい音に仕上がるのです。アナログ・マジックに通ずる魔法を、Lunaは持っていると感じます。

Luna Recording Systemのおすすめ付属ソフト&プラグイン

API Vision Console Emulation[拡張用プロセッサー]

API Vision Console Emulation|699.00ドル

API Vision Console Emulation|699.00ドル

 API Vision Console Emulationを使いたくてLunaを使っていると言っても過言ではありません。以前からUNIVERSAL AUDIOのUADプラグインで登場しているAPIの各種プロセッサーはお気に入りでしたが、APIのチャンネル・ストリップをUNIVERSAL AUDIO品質で、かつ簡単にソフト上の一機能として使えることはとても魅力的です。すごく滑らかに音が変わっていくので、録り音が破綻しにくいし、カッコよく仕上がります。

Neve Summing[サミング・ミキサー]

Neve Summing|299.00ドル

Neve Summing|299.00ドル

 Neve Summingを使うだけで、音楽全体の印象が変わります。“より音楽を生々しく、ワイルドにしてくれる”というような印象です。実際にアナログ・サミングをしようと思うと機材面やシステム面、資金面でとてもハードルが高いので、NEVEの質感でサミングできるのは大きな強みだと思います。録音素材を並べたプロジェクトでも、Lunaで作業するとより音が生き生きとするように感じます。

Ampex ATR-102[テープ・シミュレーター]

Ampex ATR-102|349.00ドル

Ampex ATR-102|349.00ドル

 海外の伝説的なバンドで聴けるような雰囲気を出す秘けつは、アナログ・レコーディングにあると感じています。筆者は特に、ロック・サウンドのプロダクションを制作したい際にテープ・シミュレーターを使用。そこでAmpex ATR-102を挿すだけで音がとてもカッコよくなります。ウィンドウにプリセットがたくさん表示されるのも便利で、細かい操作が分からなくても、カッコいい音に仕上げてくれるプリセットを簡単に見つけられます。

Luna Recording Systemのおすすめ機能

UNISON機能によるかけ録りの際の設定を自動保存

UNISON機能によるかけ録りの際の設定を自動保存

 ギター、ベース、歌などをマルチに録音したい方は、かけ録りができる“UNISON”対応プラグインを活用すると思いますが、“ギターのアンプを変えたいけど、いちいち設定を保存するのは面倒くさい……”という悩みに遭遇するかもしれません。Lunaでは、トラックを録音したときのUNISONプラグインの設定を自動保存してくれます。そのため、より気軽にUNISON対応プラグインを使った試行錯誤ができ、音楽そのものに集中できます。

アナログ・アウトボードを意識したワークフロー

アナログ・アウトボードを意識したワークフロー

 “アナログのアウトボードを通すと音に迫力やまとまりが出る”という魅力がDAWの機能の一部として統合されています。例えば、ドラム、ベース、ギター×2、ボーカルのようなオーソドックスな構成の曲の場合にも、音そのものにアナログ感と迫力を加えてくれるので、よりシンプルなレイヤーで魅力的に仕上げようという気分にさせてくれますし、自分が弾いた一つ一つのフレーズに、より愛着を抱けるようになります。

プロジェクトウィンドウ上でMIDIの編集が可能

プロジェクトウィンドウ上でMIDIの編集が可能

 例えば、ドラムの打ち込みをしていて、“ここのリズムをちょっと変えてみようかな”というとき、MIDI編集のために別ウィンドウを開いて、編集したらウィンドウを閉じて……という作業が発生すると、一曲を作り終えるまでになかなかのストレスを感じてしまいます。しかし、Lunaはプロジェクトウィンドウ上で直接MIDIノートを編集可能。音楽を聴く流れを止めずに作業を進められることは、良いアレンジにつながるきっかけとなるかもしれません。

ピッチやゲインをトラック内で調整可能

ピッチやゲインをトラック内で調整可能

 Lunaはアナログ・レコーディングのワークフローを再現できることが魅力である一方、機能に複雑さが無く、画面に見えている情報でLunaの持つ機能をすべて操作することができます。例えば、クリップのゲインやピッチは、オーディオ/MIDIクリップの上部で操作可能で、複数選択すれば一括変更もできます。どこにどんな機能があるか迷わなくて済むのは、Lunaがデザインに優れている証拠であると思います。

UTILITYで即座に極性を反転できる

UTILITYで即座に極性を反転できる

 複数のマイクで録ったドラムや、キックとベースなどは、位相のずれによって、音の打ち消し合いが生じてしまうことがあります。その解消のためには、位相を反転=逆相にする必要が出てくるのですが、Lunaでは、Utility機能として極性の反転スイッチを搭載。ボタン一つで即座に逆相にできます。細かい部分ではありますが、非常に助かる機能です。曲の低域が何か物足りない……そんなときはまずUTILITYで極性を反転させてみましょう。

DSP使用量をディスプレイ上で常に確認できる

DSP使用量をディスプレイ上で常に確認できる

 UADプラグインを使ってミックス作業をしていると、作業が盛り上がってきたときにDSPパワーの使用量が多くなって“あれ……DSPが足りない……どうしよう……”という場面に遭遇することがあります。LunaではUADのDSP使用量をソフトウェア上で常に確認できるので、急な対応に追われることなく調整ができるのです。こちらも大きな特徴ではないですが、ミックスのときに役立つ便利な機能の一つだと感じます。

UNIVERSAL AUDIO Luna Recording System 製品情報

https://hookup.co.jp/blog/35621

サンレコ・ビギナーズ|音楽制作に役立つ初心者ガイド

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