Ableton Liveの魅力とは?〜おすすめ付属ソフト&機能をA.G.Oが紹介

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Ableton Live 製品概要

制作からライブパフォーマンスまで対応。シンプルなデザインで直感的な操作ができる

 国内外で幅広いジャンルのクリエイターが使用する、ベルリン生まれのDAW。オーディオ・サンプルやMIDIシーケンスを含んだ“クリップ”をタイムラインに沿って並べるアレンジメントビューと、各トラックのスロットに縦に並べるセッションビューの2画面で構成されます。多くのMIDIコントローラー/キーボードに対応しているのもポイント。2024年10月にリリースしたスタンドアローン・デバイスMoveからLiveをコントロールしたり、Moveで作った楽曲をLiveで仕上げるなどの互換性も魅力となっています。

 製品ラインナップ 
Live 12:Lite(対象製品にシリアル付属)|Live 12:Intro:11,800円|Live 12:Standard:52,800円|Live 12:Suite:84,800円

 動作環境 
Mac:macOS 11以降、INTEL Core i5以上またはAPPLE Silicon、Core Audio準拠のオーディオ・インターフェースを推奨
Windows:Windows 10(バージョン22H2)/11(バージョン22H2以降)、INTEL Core i5(第5世代)またはAMD Ry
zen、ASIO互換オーディオ・ハードウェア(Link使用時に必要)
共通:3GB以上の空きディスク容量(8GB以上推奨、追加可能なサウンド・コンテンツのインストールを行う場合は最大76GB)

A.G.Oが語るLiveのススメ!

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【Profile】ビート・メイカー/プロデューサー。生音と先進的なサウンドを組み合わせたグルービーなプロダクションを得意とし、アレンジ、ミックス・ダウンも自身でこなす。ヒップホップ・クルーCIRRRCLEの全楽曲のほか、SIRUP、BE:FIRST、FuruiRiho、佐藤千亜妃、Ayumu Imazuなどの作品を手掛ける。自身で選曲を行い、毎週土曜日に更新するSpotifyのプレイリスト“OMAKASE SATURDAY”は、2,000人以上のフォロワーを誇る

感覚をそのまま反映できるシンプルなワークフロー。自動でフレーズを生成する機能も面白い

 僕がLiveを使いはじめたきっかけは至って単純で、ジャンルを問わず大好きな音楽プロデューサーたち(当時SoundCloudでヒーロー化していたSoulectionのクルーや、ムラ・マサなど)がみんなLiveを使っていたから、というもの。長年愛用していくうちに、今ではすっかりその魅力に取りつかれてしまっています。一見プログラム感の強い取っつきにくそうな見た目をしているのに、実はアイディアを直感的に形作るのにとても優れた、素直なDAWです。
 特に使いやすさを感じる点は、音のルーティングが“見れば何となく分かる”ので、とりあえずドラッグ&ドロップで音やエフェクトを放り込んでいじってみる、というシンプルなワークフローになっているところ。僕はかなり感覚で曲を作っていくタイプなのですが、同じ趣向の人であれば、手を止めることなくサクサクと曲を作っていけるでしょう。そういう意味では、初心者にこそ自信を持っておすすめできるDAWだと思います。
 バージョン12のアップデートでは、アイディアを“自動で生み出す”MIDI機能などが追加されました。自分の手癖では出てこない面白いフレーズを混ぜ込むことができるという、偶発性も魅力です。そういったシンプルさとは対照的に、デバイスを自作するツールのMax for Liveなどを活用すれば無限にカスタマイズできる点も、まさに”沼ってしまう”魅力の一つです。

Liveのおすすめ付属ソフト/プラグイン

サンプラー

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 LiveのSamplerは超優秀。取り込めばどんな音もMIDIで演奏可能な楽器にしてしまうスグレモノです。僕の定番の使い方は808系のキックを放り込んでトリガー再生したり、上モノのワンショットをループしてパッド化するなどがあります。シンセの音作りが苦手な人でも、好きなサンプルを放り込めばフィルターやLFO、エンベロープ・ジェネレーターを簡単に設定可能。自分だけの楽器を作ることができます。

サチュレーション/ディストーション

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 バージョン12から追加された、ひずみ/汚し系エフェクトの新定番です。従来から人気のSaturatorにさまざまな要素を足したようなエフェクトで、シンプルにサチュレーターとしての使い方から、ハイパーポップなどで出てくるような破壊的な攻めたサウンドまで、豊富な選択肢で楽しみながら音作りできます。

エフェクト・チェイン・デバイス

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 複数のエフェクトをまとめて管理する=エフェクト・チェインを作れるのがAudio Effect Rackです。例えば1つのトラックの音を分岐させて、ドライの音をそのまま残しながら数種類の空間エフェクトをかけて鳴らすような場合、センド&リターンを使わなくてもそのトラック内で完結することができます。同様に、ボーカルでは複数のコンプをかけた音を重ねて鳴らして太くする、という使い方も鉄板です。

Liveのおすすめ機能

ドラッグ&ドロップで手軽にトラックを制作

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 Liveは、ブラウザからソフト・シンセやエフェクトなどのプラグイン、サンプルをドラッグ&ドロップで気軽に取り込める設計になっています。そのため、素材を適当に並べてみる→エディットする→まとめてエフェクトをかける、といった一連の流れが非常にスムーズにできます。またトラックをまとめることをLiveではグループ化と言いますが、まとめたグループの中にまた別のグループを作れるので、トラックの管理も自由自在です。

多種多様なMIDI生成&エディット機能

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 バージョン12へのアップデートでは、さまざまなMIDI生成、エディット機能が実装されました。サイコロを振るようにランダムにMIDIフレーズを生成したり、シンプルなフレーズを複雑に改造することもできるので、自分では思いつかないようなパターンが生み出され、ワークフローの中に新たな楽しみをもたらしてくれます。

カスタマイズ性に優れたインターフェース

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 先ほどまではいかにシンプルかという説明でしたが、一方でLiveはどこまでも自分好みにカスタムして最高の相棒に仕上げることもできます。ショートカット・キーを好きなように設定する、複数パターンのデフォルト・セットを用意してジャンルで使い分ける、Max for Liveデバイスを使って機能を拡張・追加するなど、各ユーザーがやりたいことを柔軟に受け止めてくれる懐の深さも持っています。

ABLETON Live 製品情報

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