プロデューサー楠美津穂氏に聞く『夢ノ結唱』が見据える未来

プロデューサー楠美津穂氏に聞く『夢ノ結唱』が見据える未来

無限の可能性の中で新たな音楽を作ってほしいです

アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど、さまざまなメディアミックスを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』から生まれた新たなプロジェクト=『夢ノ結唱』。作品を代表するバンド、Poppin'Partyの戸山香澄(CV.愛美)の歌声を元に誕生したPOPYと、Roseliaの湊友希那(CV.相羽あいな)の歌声を元に誕生したROSE、それぞれのSynthesizer V専用歌声データベースが12月にリリースされた。POPYとROSE、2人の歌声合成ソフトから成るプロジェクト=夢ノ結唱はどのように誕生したのか。夢ノ結唱のプロデューサーを務めるブシロードミュージックの楠美津穂氏に、プロジェクトの始まりからPOPYとROSEへの思い、これからの展望まで詳しく伺った。

バンドリ!の次世代に向けて

 はじめに、夢ノ結唱がスタートした経緯から楠氏に聞いていこう。

 「まず、バンドリ!の次世代に向けて、音声合成ソフトを開発しようというプロジェクトを発足したのですが、その過程で、ソフトのリリースのみで終了とするのはもったいないのではないかという議論がありました。(戸山)香澄ちゃん、(湊)友希那さんの声がPOPYとROSEになり、そのソフトをまだバンドリ!に出会ったことがない人たちが使う。そうすることで、バンドリ!というものを新たに知ってもらえるようなプロジェクトにしたいという思いがありました」

 ソフトとしては、まず2022年12月にCeVIO AI版が発売された。その際はどういった反応だったのだろうか?

 「とても驚かれた印象を感じました。世間がちょうどイラストのAI生成について大きく取り上げている時期で、AIが少しネガティブな捉え方をされていた頃でもありましたので、“このAIは悪じゃないんだよ”ということをまずは感じてほしかったです」

 既存のファンへのファンアイテムとしても、これまでにないものとなっている。

 「今まではバンドリ!が発信するものを受け取っていただくことが多かったですが、ユーザーの方からバンドリ!を発信できるアイテムが生まれたことは、これまでのファンの方々にとても良い機会を作れたのではと思っています」

 そして、今年の12月にSynthesizer V版のPOPYとROSEが発売される運びとなった。

 「CeVIO AI版をリリースした際のユーザーの皆さんの反応を見て、これからのPOPYとROSEの未来を考えたときに、Synthesizer V 版をリリースすることに大きな可能性を感じました。結果として、より人間らしさを感じられる声が完成し、学習元の声優のお二人のファンの方が手に取っていただいても、さらに喜んでいただけるソフトになったと思います」

 POPY=戸山香澄役の愛美と、ROSE=湊友希那役の相羽あいなも、「面白いプロジェクトだなと思ってくれているかなと。いずれライブで一緒に歌える日が来るといいですね。というお話もしていますよ」と語る楠氏。これからPOPYとROSEにも、それぞれの物語を展開していくことも考えているそうだ。

 Synthesizer VのAI歌声データベースの開発は、機械学習技術の一つ“ディープラーニング”を用いて、歌唱データを学習することがベースとなっている。POPYとROSEの開発にはどのようなデータを用いたのだろうか?

 「リリース済みのバンドリ!楽曲からボーカルデータを約40曲分リストアップして、開発チームにお渡ししました。パラメーターの一つであるボーカルスタイルも、2人の特徴が出るようなものにしています。バンドリ!は2024年3月で9周年を迎えるプロジェクトなので、その長い歴史もこのソフトには反映されています」

『BanG Dream!(バンドリ!)』とは?

BanG Dream!(バンドリ!)

 キャラクターとライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクト。アニメ、ゲーム、リアルライブなどのメディアミックスを展開している。作中に登場するバンド“Poppin'Party” “Roselia”“Morfonica” “RAISE A SUILEN” “MyGO!!!!!” “Ave Mujica”の声優が実際にバンドを結成し積極的に生演奏のライブ活動を行っている。スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』は、提供開始から6年目の2022年11月には、国内ユーザー数が1,600万人を突破。2023年夏に放送したTVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』の続編となるTVアニメ新シリーズ「BanG Dream! Ave Mujica」の製作を発表し、今後の展開への期待が高まっている。

POPYとROSEなりの人生を歩ませる

 本稿のインタビューにも登場する、POPYとROSEをボーカリストに楽曲を制作した4組のアーティストも、楠氏がオファーしたとのこと。依頼の決め手は何だったのだろうか?

 「これまで音声合成ソフトというとボカロPの方々がメインユーザーである印象が強いと思うのですが、また新たな層の方にもアプローチしたいと考えており、真っ先に浮かんだのは中野雅之さんでした。オファーした時点では中野さんがSynthesizer Vをご存じではなく、これはSynthesizer Vをもっとたくさんの方に知っていただけるチャンスがあるのだなと実感しました。今回オファーしたアーティストの皆さんには、音声合成ソフトとの新しい向き合い方の発見となるような楽曲を制作してくださるだろうという期待もありました」

 また楠氏は「POPYとROSEは、バンドリ!楽曲のテイストをなぞることだけではないことを使命として感じている」とも語る。その真意を聞いた。

 「POPYとROSEはSynthesizer Vのおかげもあり、さらにさまざまな表現が可能になりました。もちろん学習元のバンドと同様の方向性の楽曲にもぴったりな声質なのですが、バンドリ!のPoppin'PartyやRoseliaの模倣をするだけではもったいないと感じると同時に、元バンドの代替えになることもあり得ないなと考えています。POPYとROSEにはこの子たちなりの人生を、異なる方向性の道を歩ませてあげて、お互いにとって良い効果が生まれるようにできるといいなと思っています」

 バンドリ!では、そのほかにも多数のバンドが活動しているが、今後のリリース予定を聞くと「次のリリースキャラクター2体は決まっています。春頃には情報を出すことができるので楽しみにしていてください!」と明かしてくれた。バンドリ!が多数のユーザーを魅了する豊富なコンテンツを有しているからこそ、今後の展開も幾重にも広がっていくのだろう。最後にPOPYとROSEを手に取るユーザーに向けてメッセージを伺った。

 「Synthesizer Vは無限の可能性が詰まった音声合成ソフトなので、だからこそ、POPYとROSEの歌声を気に入ってくれた方にはキャラクターの枠にとらわれず、自由に楽曲制作を楽しんでほしいです」

 

 Release 

Synthesizer V AI 夢ノ結唱 POPY
Synthesizer V AI 夢ノ結唱 ROSE

Synthesizer V AI 夢ノ結唱 POPY/ROSE Studio Pro ダウンロード版:各20,460円
Synthesizer V AI 夢ノ結唱 POPY/ROSE ダウンロード版:各9,680円

※Synthesizer V Studio Basicが付属。Synthesizer V Studio Basicは多言語歌唱/ボーカルスタイル/AIリテイク/ラップ歌唱の各機能は非対応となっている。

 Requirements 

●Mac:macOS 10.13以降
●Windows:10/11以降(64ビット)
●Linux:Ubuntu 20.04以降(64ビット)
●共通:Intel Core i5以上または同等のAMDプロセッサー(AI音声の高品質編集時は、Intel Coreシリーズの第四世代i5(i5-4xxx)以上推奨、AMD Athlon X4 845以上、Ryzenシリーズを含む)、2GB以上のメモリ、1GB以上のHDD空き容量、1,280×800以上のディスプレイ解像度

【特集】夢ノ結唱 BanG Dream! × Dreamtonics Synthesizer V

製品情報

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