「W.A. PRODUCTION Instachord 2」コード進行や伴奏パターンをサポートするMIDI生成プラグインの最新版

「W.A. PRODUCTION Instachord 2」コード進行や伴奏パターンをサポートするMIDI生成プラグインの最新版

フックアップが運営するオンライン・ストアbeatcloudから、注目のソフトをピックアップする本コーナー。今回レビューするのは、チェコを拠点にサンプル・パックやプリセット、プラグインなどを提供するブランドW.A. PRODUCTIONがリリースしたInstachord 2。コード進行や伴奏をサポートしてくれるMIDI生成プラグインとなっています。Mac/Windowsで動作し、AAX/AU/VSTプラグインとして使用可能。MIDIルーティングが行える主要なDAWに対応しており、NATIVE INSTRUMENTS MaschineとREASON STUDIOS Reasonには非対応です。それでは詳しく見ていきましょう!

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任意のコードを各ノートに設定可能なコードキー

 Instachord 2は作曲をサポートしてくれるMIDI生成プラグイン、Instachordの最新版。一言で言えば、コードや伴奏を作成することができるツールです。MIDIキーボードからでも操作可能で、例えば左手でコードを右手で演奏パターンを指定することによって、伴奏フレーズを手軽に作成することができます。バージョン2では新たなパターン・エディターやカスタム・コード機能、AIによるパターン生成機能などを搭載。DAWと同じように各ノートをドラッグして、独自の伴奏パターンやシーケンスを作成することが可能です。

 まずは使い方について。Instachord 2を立ち上げるだけでは音は出ません。使用の際はInstachord 2を鳴らすためのソフト音源が必要です。これはDAWに付属するものや、サード・パーティ製のものでOKです。

 音源を用意したら、次はDAW内でルーティング。設定方法はDAWによって異なります。Instachord 2から任意のソフト音源へMIDI信号が送られるように設定しましょう。これでInstachord 2で生成したコードや伴奏を鳴らすことができるようになります。一見難しく思えるかもしれませんが、W.A. PRODUCTIONの公式YouTubeチャンネルでは各DAWにおけるMIDIルーティング方法を解説したチュートリアル動画(下の動画)がアップされていますので、ビギナーの方でも安心です。

 次はInstachord 2の画面解説と各機能について。画面最上段には、左からプリセットの選択や保存などが可能なプリセット・メニューをはじめ、オクターブ、トランスポーズ、ホールド・モードなどを搭載しています(メイン画像)。ホールド・モードとは、MIDIキーボードから手を離してもサウンドがそのまま持続し、かつコードを切り替えることができる機能です。全部で5つの動作モードが用意されています。  画面左上にあるのはコードキー・セクション(画面①)。任意のコードをトリガーするためのノート設定部分です。コードキー・セクションの左下にはChords Aボタン/Chords Bボタンがあり、クリックすることでChords A画面とChords B画面を切り替えることができます。これらの画面は、それぞれ1〜12までのスロットを搭載。各スロットにはお好みのコードを登録することが可能です。

画面① コードをトリガーするためのノート設定をつかさどるコードキー・セクション。1〜12までのスロットを搭載し、Root欄でコードのルート音を、Chord欄でコードの種類を、Voicing欄でボイシングの種類を、Oct欄でオクターブの高さを選択できます。同セクションの左下にはChords A/Chords Bボタンがあり、クリックすることでそれぞれ切り替え可能です

画面① コードをトリガーするためのノート設定をつかさどるコードキー・セクション。1〜12までのスロットを搭載し、Root欄でコードのルート音を、Chord欄でコードの種類を、Voicing欄でボイシングの種類を、Oct欄でオクターブの高さを選択できます。同セクションの左下にはChords A/Chords Bボタンがあり、クリックすることでそれぞれ切り替え可能です

 なおChords A画面とChords B画面は、画面最下段にある入力キーボード・セクション内のChords A/Chords Bと連動(画面②)。つまり、入力キーボード・セクション内のChordsA/Chords Bをクリックすることで、コードキー・セクションにて登録したコードを鳴らせるという仕組みになっているのです。もしMIDIキーボードを接続している場合は、指一本でコードを鳴らすことができます。

画面② 入力キーボード・セクション内にあるChords A/ChordsBは、コードキー・セクションのChords A/Chords Bと連動しています。つまり、入力キーボード・セクション内のChords A/Chords Bのどれか一つをクリックすることで、登録したコードを鳴らすことが可能だということです。なお入力キーボード・セクション内のChords A/Chords Bは、MIDIキーボードからでも操作できます

画面② 入力キーボード・セクション内にあるChords A/ChordsBは、コードキー・セクションのChords A/Chords Bと連動しています。つまり、入力キーボード・セクション内のChords A/Chords Bのどれか一つをクリックすることで、登録したコードを鳴らすことが可能だということです。なお入力キーボード・セクション内のChords A/Chords Bは、MIDIキーボードからでも操作できます

 コードキー・セクションにおける設定についてですが、Root欄でコードのルート音を決定します。そしてChord欄ではメジャーやマイナー、sus4や7thといったコードの種類を、Voicing欄ではボイシングの種類を、Oct欄ではオクターブの高さを選ぶことが可能です。 

 コードキー・セクションで感心したのは、Instachord 2がお薦めのコードを提案してくれること(画面③)。推奨されたコードは、コード選択画面上で黄緑色にハイライトされるため、初心者の方でもスムーズに選ぶことができるでしょう。またボイシングは、コードの転回形やギター・ボイシング、オープン・ボイシングなどにも対応。ギターやシンセ・パッドの伴奏にもバッチリです。

画面③ コードキー・セクションでコードを選ぶ際は、Instachord 2がお薦めのコードを提案してくれます。コード選択画面では、推奨コードが黄緑色にハイライトされるため、コードに詳しくないビギナーの方にも親切です

画面③ コードキー・セクションでコードを選ぶ際は、Instachord 2がお薦めのコードを提案してくれます。コード選択画面では、推奨コードが黄緑色にハイライトされるため、コードに詳しくないビギナーの方にも親切です

 コードキー・セクションの右側にはピックキー・セクションを搭載(画面④)。ここでは伴奏パターンを制御するためのトリガー・ノートを設定できます。Picks A画面とPicks B画面には、それぞれ1〜12までのスロットを搭載し、一つ一つのスロットには好みのトリガー・ノートを登録することが可能です。これらPicks A画面とPicks B画面も、画面最下段にある入力キーボード・セクション内のPicks A/Picks Bと連動。そのため入力キーボード・セクション内にある該当する鍵盤をクリック、またはMIDIキーボードを弾くことで、トリガーとなるピックキーを機能させることができます。

画面④ 伴奏パターンを制御するためのトリガー・ノートを設定できる、ピックキー・セクション。Action欄では伴奏パターンの種類を選択することができます。Picks A画面とPicks B画面は入力キーボード・セクション内のPicks A/Picks Bと連動しているのでMIDIキーボードからでも操作が可能

画面④ 伴奏パターンを制御するためのトリガー・ノートを設定できる、ピックキー・セクション。Action欄では伴奏パターンの種類を選択することができます。Picks A画面とPicks B画面は入力キーボード・セクション内のPicks A/Picks Bと連動しているのでMIDIキーボードからでも操作が可能

AIが自動で伴奏パターンを生成するAI-GEN機能

 画面右上にはパターン・エディターと呼ばれるセクションがあります(画面⑤)。ここではピックキーでトリガーしたコードにおける、伴奏パターンの作成/編集/保存/読み込みが可能です。4小節分の長さがあり、自由にノートを打ち込むことで独自のパターンを作成したり、プリセットのパターンを編集したりすることもできます。

画面⑤ 伴奏パターンの作成/編集/保存/読み込みが可能なパターン・エディター・セクション。4小節分の長さがあり、ノートは最大7つまで重ねることができます。ノートの下部にある部分(赤枠)では、各ノートのベロシティを変更することも可能です。さらに左下にはAI-GENボタンを搭載。AIが自動で伴奏パターンを生成してくれるので、アイディアが湧かないときは試してみてください!

画面⑤ 伴奏パターンの作成/編集/保存/読み込みが可能なパターン・エディター・セクション。4小節分の長さがあり、ノートは最大7つまで重ねることができます。ノートの下部にある部分(赤枠)では、各ノートのベロシティを変更することも可能です。さらに左下にはAI-GENボタンを搭載。AIが自動で伴奏パターンを生成してくれるので、アイディアが湧かないときは試してみてください!

 パターン・エディターでは最大7つのノートを重ねられます。ラインB/1/2/3/4/5/6には既に音が割り当てられているため、スケールを気にせず直感的にノートを配置することが可能。もちろん各ノートのベロシティを変更することもできるので、打ち込みっぽい表現から人間らしい表現まで幅広い伴奏パターンを作成できます。

 伴奏パターンのプリセットもさまざま。ストラムから数種類のアルペジオまで多数用意されています。さらにパターン・エディター・セクションの左下にあるAI-GENボタンを押すと、AIが自動で伴奏パターンを生成してくれます! 自分では思いつかないようなパターンも生みだしてくれるので、制作が行き詰まった際に重宝しそうです。

 Instachord 2の画面中段にはコード進行生成セクションがあります(画面⑥)。何とここでは指定したキーとスケールに従って、Instachord 2が良い感じのコード進行を提案してくれるのです。さらに同セクションにあるChords A/Chords Bボタンをクリックすれば、ここで生成されたコードを自動でChords A画面とChords B画面、および入力キーボード・セクション内のChords A/Chords Bへ配置してくれるので便利すぎます。

画面⑥ コード進行生成セクション。ここではキーとスケールを指定し、Generateボタンをクリックすると、Instachord 2がコード進行を提案してくれます。またChords A/Chords Bボタンをクリックすれば、ワンクリックで入力キーボード・セクション内のPicks A/Picks Bへアサインすることも可能です

画面⑥ コード進行生成セクション。ここではキーとスケールを指定し、Generateボタンをクリックすると、Instachord 2がコード進行を提案してくれます。またChords A/Chords Bボタンをクリックすれば、ワンクリックで入力キーボード・セクション内のPicks A/Picks Bへアサインすることも可能です

 最後はコード進行生成セクションの下部にある出力キーボード・セクション。ここは、Instachord 2が出力するMIDIノートをリアルタイムに表示します。

伴奏だけでなくリフ用のプリセットも収録

 ここからは使ってみた感想をお話ししましょう。画面最上段にあるメニューからプリセットを幾つか試してみたところ、どの音楽ジャンルにも対応できるであろうオーソドックスな伴奏パターンが多く用意されている印象。中には今どきのおしゃれJポップ/洋楽ポップスに合いそうなコード進行や伴奏パターンのものもあり、これは即戦力として期待できそうです。また伴奏やアルペジオだけでなく、リフ用のプリセットもありましたので、ますます使い道が広くなりそうですね。ちなみに、プリセットの拡張パックがW.A. PRODUCTIONから販売されているため、自分好みのプリセットを増やしていくこともできます。

 コードに関してですが、Instachord 2はほとんどの種類のコードを網羅しているだけでなく、オリジナル・コードの作成も可能です。そのため上級者の作曲やアレンジにもすごく使えるツールだと感じます。自分は毎回、同じコード進行を使いがちなので、アイディアに詰まったときはInstachord 2が非常に役立ちました。

 総じてInstachord 2は、初心者から上級者までの幅広い音楽クリエイターやアレンジャーにとって使いやすく、直感的な操作感でアイディアを逃さずに作業が行える便利なツールだと感じます。ちなみにパターン・エディターで生成した伴奏パターンは、DAW上へドラッグ&ドロップしてそのままMIDIパターンとして使用可能です。W.A. PRODUCTIONは、こういった“かゆいところに手が届く機能”までよく考えているので、本当にユーザー目線で製品を開発しているんだなあと思わせられました。

 Instachord 2はコード進行についてよく分からない方、伴奏パターンの作成が苦手な方の強い味方。中〜上級者の方は、自分がよく使用するコードや伴奏パターンをプリセットとして登録しておくことで、次回作曲する際の時短にもつながるでしょう。自分もこれから重宝しそうです。ぜひ、皆さんも使用してみてください!

 

W.A. PRODUCTION Instachord 2

beatcloud価格:12,720円 特別セール実施中(8/31まで)!3,220円

 Requirements 
■Mac:macOS 10.13以降、AAX/AU/VST対応のホスト・アプリケーション(64ビット)
■Windows:Windows 8以降(32/64ビット)、AAX/VST対応のホスト・アプリケーション
■動作確認済みDAWリスト(個別の問題もあり、動作を保証するためのものではありません):ABLETON Live 9以降、APPLE Logic Pro X以降(Macのみ)、AVID Pro Tools 11以降、IMAGE-LINE FL Studio 12以降、PRESONUS Studio One 5以降、STEINBERG Cubase 10以降

 

ミディ

【Profile】プロの作曲家としてアニメやゲーム、アイドルなどへの楽曲提供を行う傍ら、バーチャルYouTuber(VTuber)として音楽制作に関する解説動画などをYouTubeに投稿している。

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