AVID Pro Tools|HDXのハイブリッド化をアナウンス。HDXカード×1枚でも最大2,048ボイスを実現

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 AVIDは、今年6月、Pro Tools|HDXへハイブリッド・エンジンが搭載されると発表した。Pro Tools | Carbonで既に実現しているこのエンジンは、ボタン一つでトラックごとにDSPとCPUのプロセッシングをシームレスに切り替えるものだ。

 

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左が従来のHDXエンジン(HDX PCIeカード×3枚)、右がハイブリッド・エンジン

 従来のPro Tools|HDXシステムは、AAX Nativeプラグインの動作を除いたミキサー機能や録音/再生に必要なDSPタスクのすべてを、Pro Tools|HDX PCIeカードに搭載されたDSPチップ&高性能FPGAチップでハンドリング。それにより、録音時のレイテンシーを常に1ms以下に保ちながら、確実で安定したパフォーマンスを実現してきた。一方、ハードウェアの仕様によってボイス数の上限が決まっており、HDX PCIeカード×1枚で最大256ボイス、カード×3枚で768ボイスという制限があった。

 

 新規採用されるハイブリッド・エンジンは、DSPとネイティブ・ミックス・エンジンを分割して処理する仕組みを採用。ホストとなるコンピューターのパワーを最大限に活用しつつ、CPUに対する補助的な役割として、あるいは録音時のニア・ゼロ・レイテンシーを実現するために、HDX上のオンボードDSPを使用する。CPUネイティブとDSPの特徴を効率よく活用できるため、大規模なセッションでの作業がよりスムーズに。また、両エンジンを分割して管理する仕組みとなるため、CPUネイティブとDSPプラグインを一つのトラック上に同時実行した際に生じていたラウンド・トリップも無くなり、システム全体のディレイやコントロール・サーフェス上のフェーダーやノブの反応も改善されるという。

 

 このハイブリッド・エンジンは、2021年6月にリリースされるPro Tools | Ultimate 2021.6で実装予定。CPUネイティブ・パワーでのボイス管理を行う場合、すべてのサンプルレートで最大2,048ボイスまで実行可能となる(コンピューターのパワーに依存)。

 

アップデートに関する公式情報

 

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