世界中のエンジニア/クリエイターが愛用するWAVESのプラグインは、具体的にどのような場面で力を発揮するのか? ミックスやサウンド・メイクで悩みがちなポイントにプロが答える形で、WAVESプラグインを用いたソリューションを紹介!
A. ピッチ・シフトで低音を生成するのが近道
使用するWAVESプラグイン:Submarine
サブハーモニック・ジェネレーターのSubmarineを使ってみてはいかがでしょうか? 原音から1オクターブ下もしくは2オクターブ下の音を作り出して追加できるもので、そのピッチ・ダウンには恐らくSoundShifterやTorqueと同じピッチ・シフト・アルゴリズムが使われているのだと思います。だから音が濁ったりせずピュアですし、生成された低音が原音から遅れて聴こえるようなこともありません。入力信号のボリューム・エンベロープに対して、どんなふうに下の音を加えるのか、というのを演算しているのでしょう。
操作画面にはRANGEというスライダーがあり、原音のどの帯域について下の音を作り出すか範囲を指定できます。そして、スライダーの上部にあるSUB -1で1オクターブ下の音、SUB -2で2オクターブ下の音のボリュームを調整する仕様です。例えばスライダーで50~70Hzを選択すれば、SUB -1では25~35Hz辺りが生成されます。
ピッチ感が強いキック(チューンを上げた909キックのような音)の低域を強化したいとき、100Hz以下などに範囲指定すれば、ピッチを感じさせる部分をよけて量感のみを膨らませることができます。ベースにも有用で、全体としては低域が物足りないのにCを弾いたときだけ下がちゃんと出る、といった場合は65Hz以下もしくは65Hzまでのどこかに範囲指定すると、C以外の量感を底上げできます。
渡部高士
【Profile】イギリスのレコーディング・スタジオでサウンド・エンジニアとしてキャリアを開始。以来、電気グルーヴ、石野卓球、FPMといったクラブ・ミュージックのアーティストをはじめ、七尾旅人やCHARAといったポップ・ミュージックの作品の録音/ミックスにも携わってきた。