REPRODUCER AUDIO Epic 5 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

REPRODUCER AUDIO Epic 5 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

ペアで30万円以下のモニター・スピーカーから選び抜かれた全11モデルを、音楽制作の第一線で活躍するエンジニアの染野拓氏、プロデューサー/コンポーザーのT.Kura氏が徹底レビュー! ここでは、REPRODUCER AUDIO Epic 5を紹介します。

原音の再現性を追求しすべての部品を自社開発。ピュアなアナログ・シグナル・パスで構成

REPRODUCER AUDIO Epic 5 フロント
REPRODUCER AUDIO Epic 5 リア
REPRODUCER AUDIO Epic 5|製品価格:179,300円/ペア

 メタル・ドーム・ツィーターやウーファー、底面のパッシブ・ラジエーター、75W×2のクラスDアンプなど、すべての関連部品を自社開発。また、DSPを一切用いないピュアなアナログ・シグナル・パスで構成されている。原音の再現性を追求し、フラットな周波数特性や、速いトランジェント・レスポンス、広大で自然なダイナミックレンジ、そして低ノイズと低ひずみを実現したという。背面には低域、高域のEQを搭載。取り外し可能なスパイクと、ラバー・インシュレーターが付属する。

本体底面のパッシブ・ラジエーター

本体底面のパッシブ・ラジエーター

SPECIFICATIONS
●形式:2ウェイ・パワード ●スピーカー構成:5.25インチ径ウーファー+1インチ径ツィーター ●周波数特性:56Hz~33kHz(±3dB)、45Hz~38kHz(±10dB) ●外形寸法:190(W)×270(H)×240(D)mm(スパイク非装着時)、190(W)×310(H)×240(D)mm(スパイク装着時) ●重量:5.2kg/1台

クリアで耳に痛くない高域。ベース・ラインもよく分かる 〜染野拓

 サンレコ2022年8月号でEpic 4をレビューしたことがあるのですが、ウーファー口径が4インチから5インチになったためか、Epic 5の方が低域がより出ている印象です。シンセ・ベースのラインがよく分かり、高域もクリアだけど耳に痛くない。位相もぴったりそろっていて、トランジェントも明確に聴こえます。例えるなら、同軸タイプのような“厳密な鳴り”という表現が合うのかもしれません。

 ローエンドについては、サブウーファーの分を賄えるほどの鳴り。付属品には、本体底面に備わるスパイク用のラバー・インシュレーターが同梱されています。スパイクをそのまま使うか、これらにラバー・インシュレーターを付けるかによっても音質が大きく変わるため、環境に合わせて調整ができるのもポイントです。ルーム・アコースティックにもよりますが、直接耳に届く音はとても明瞭で、ステレオ感や奥行き、音の分離、エフェクトの分量、M/S処理など、どれも繊細に聴こえます。そのため、ミックス時に迷ったときの判断が早くなりそうだと感じました。Epic 5は作曲からミックスはもちろん、マスタリングまで、あらゆる制作工程で使用することができるスピーカーだと言えるでしょう。

分離感に優れているため音数の多い曲にも対応可能 〜T.Kura

 Epic 5は“精密なサウンドを持つスピーカー”という言葉がぴったり。音場が繊細に再現されており、曲の悪い部分を素直に教えてくれるモニターです。高域はしっかり聴こえ、低域は本体底面に備えられたパッシブ・ラジエーターのおかげで量感があります。セッションを立ち上げて作業したところ、微量なパラメーターの変化にも敏感に反応しました。ハイハットのスピード感や定位が分かりやすいのも印象的で、ラフ・ミックスの未整理な帯域がよく見えます。

 リア・パネルには、補正用のHF-TRIMノブとLF-TRIMノブがありますが、試聴した環境ではデフォルト設定でも非常にバランスの良い音で聴こえました。素晴らしいと思ったのは、フロント・パネルに備わるゲイン・ノブを最大値にまで回したとき。内蔵パワー・アンプのクオリティが高いせいか、とても高音質になります。さらに、本体底面に備えられたスパイクで共振が抑えられ、位相もブレることなく安定しています。Epic 5は音の分離感に優れているため、音数の多い楽曲にもばっちり対応できるでしょう。1台で約17万円だと思っていましたが、ペアでの価格なんですね……これにもびっくりです!

レビュワー紹介

染野拓

染野拓
レコーディング/ミックス・エンジニア、PA。2017年、東京藝術大学音楽環境創造科を卒業。2019年からStyrismに所属し、これまでにCHARA、SIRUP、odol、WONK、モノンクルなどの作品を手掛けている。

 Recent Work 

『Where is "LAGHEADS"?』
LAGHEADS
(LAGHEADS LABEL)
※全8曲のうち7曲のミックスを担当


T.Kura

T.Kura
プロデューサー/コンポーザー。EXILE、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、Crystal Kay、安室奈美恵、AI、三浦大知などの国内トップ・アーティストを手掛けるほか、1996年にプロデュースしたエリーシャ・ラヴァーンのシングル「Say Yeah!」がUKの『Blues&Soul』誌のチャートで1位を獲得。2010年には、EXILE「I Wish For You」で第52回日本レコード大賞を受賞。日本国内にとどまらず世界で活躍しているR&B/ヒップホップ・プロデューサー。

試聴環境

 モニター・スピーカーの試聴は、前回の特集“はじめてのモニター・スピーカー選び”に続き、東京・御茶ノ水にある多目的スペースのRITTOR BASEで行なった。スタジオにはデスクとスピーカー・スタンドを用意し、全11モデルを個別にスタンドへ配置してレビュー。レビュワーの2人には、リファレンスとなる音源を再生したり、AVID Pro Toolsのセッションで作業したりして、各モニター・スピーカーの性能をチェックしてもらった。

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

製品情報

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