REPRODUCER AUDIO Epic 4 レビュー:底面にパッシブ・ラジエーターを装備したニアフィールド・モニター

REPRODUCER AUDIO Epic 4 レビュー:底面にパッシブ・ラジエーターを装備したニアフィールド・モニター

 今回はREPRODUCER AUDIOの新しいモニター・スピーカー、Epic 4をレビューしていきたいと思います。

4インチ径ウーファーを備える小型のモデル

 Epic 4は既に発売されているEpic 5の弟分で、ウーファーが4インチ径と小型になったモデルです(Epic 5のウーファーは5.25インチ)。ツィーターはEpic 5と同じく1インチとなっています。ほかの仕様に関してもEpic 5を踏襲しているようで、メーカーこだわりのDSP不使用の純アナログ回路で構成されており、原音に忠実な再生が可能とのことです。周波数特性は±3dBで80Hz〜30kHzとなっており、出力50WのクラスDアンプが搭載されています。スピーカーはかなりコンパクトなのですが、パッシブ・ラジエーターを底面に装備しており、見た目以上の低域を実現しています。

底面にはパッシブ・ラジエーターを装備

底面にはパッシブ・ラジエーターを装備

 背面には入力端子(XLR、RCAピン)があり、そのほかボリューム、高域用EQ、低域用EQの3つのノブが用意されています。EQに関しては高域が2.5kHz以上、低域が250Hz 以下のシェルフとなっていて、1dBステップで±5dBの調整が可能です。これらの設定の数値もEpic 5と同じ仕様になっているようです。

リア・パネル。左上には入力端子(RCAピン、XLR)があり、右は上からボリューム・ノブ、LF-TRIM(250Hz/±5dB)、HF-TRIM(2.5kHz/±5dB)を備える

リア・パネル。左上には入力端子(RCAピン、XLR)があり、右は上からボリューム・ノブ、LF-TRIM(250Hz/±5dB)、HF-TRIM(2.5kHz/±5dB)を備える

 電源ケーブル、持ち運び用のキャリー・バッグ、スパイク受けのラバー・インシュレーターが同梱されています。回路が詰まっているからか本体の重量は片方で3kg弱あり、ペアだとなかなか手軽に持ち運べるとは言いにくいですが、専用設計されたケースがあれば外現場やコライトの現場に持っていく際には便利でしょう。また、特筆すべきなのが付属のスパイク受けで、これがあると無いとではかなり音の印象が違いました。詳細は追って説明したいと思います。

同軸スピーカーのように音の定位感が分かる

 今回は、普段自分がミックス作業をしている6畳ほどのスペースで試聴を行いました。金属製のスピーカー・スタンド上に付属のスパイク受けを付けた状態で設置します。設置幅は90cmにしました。オーディオ・インターフェースのライン・アウトからXLRで接続して音を聴いてみます。

 まずは普段リファレンスに使っている音源を再生します。一聴したところかなり中域の出方が強く、500Hz辺りに若干のクセを感じました。いろいろと原因を探ったところ、設置幅とスパイク受けの影響だったようです。今回の環境だと、スピーカー・スタンドの下にさらにオーディオ・ボードが敷かれており、スパイク受けを付けているとスピーカーが制動され過ぎて低域と高域が少し出にくくなっていたようでした。デスクに直置きする場合であればかなり制動してくれるスパイク受けなので、使用するのがよいと思います。また、設置幅は90cmまで広げていると左右のつながりが出にくく、つながるまで音量を上げようとすると少しスピーカーに音を出させ過ぎているなと感じてしまいました。音量的スウィート・スポットを考えると幅は70〜80cmぐらいが良さそうです。実際に80cm幅で設置すると、低域の音圧も高域とのつながりや定位感も一気に改善されました。このサイズ感のスピーカーなので、ある程度狭めに置くのが良さそうです。

 前置きが長くなってしまいましたが、音はとても素直で速いという印象です。ウーファーとツィーターのアライメントを物理的に傾斜を付けて合わせているようで、全帯域が一気に耳に到達するのが分かります。個人的には同軸スピーカーを使っているときに似た感覚で、音が点になってそれぞれの定位に存在しているように聴こえました。4インチ径ウーファーなので揺れるような低音は出ませんが、先述した設置方法にしてからは必要十分なベースの動きがきちんと見えます。実際60Hzぐらいまでは感じられそうなので、小規模なスペースであれば十分な再生能力でしょう。パッシブ・ラジエーターの音も特に違和感が無く、長いローなのか止まったローなのかをしっかりと判断できるので、リファレンス曲と自分の音作りの差などを判断しやすそうです。

 続いて実際にミックス作業で使ってみます。中高域のクセが無くパリッと前に聴こえるので、ピーク取りなどEQの処理がしやすいです。トランジェントの再現度が高く、コンプを用いて前後感を出すときの判断もしやすい印象。また、中域の再現度が高いので、ボーカリストが口を開いている様子などがすごく想像しやすいです。ボーカルのアタック感やボリューム感も判断しやすく、ボリュームのオートメーションやディエッシング作業もスムーズ。音量を絞った際にもあまりバランスの変化を感じませんが、やはり中域の情報量が最後まで残るので、少しドンシャリ系のライン・ケーブルを用いるか背面のEQでチューニングしてあげるのも良いかもしれません。アナログ回路のおかげか生楽器系の音とも相性も良かったので、ジャンルレスで使えるスピーカーだと思います。

 

染野拓
【Profile】 2017年、東京藝術大学音楽環境創造科卒業後、エンジニアとしてレコーディング/PAで活躍。CHARA、odol、SIRUP、WONK、モノンクルなどの作品やステージに携わる。Styrism所属。

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◎対象機種:Epic 4、Epic 5、Epic 55
◎期間:7月1日(金)〜8月31日(水)
◎お申し込み方法などの詳細はこちら

 

REPRODUCER AUDIO Epic 4

オープン・プライス

(市場予想価格:148,500円前後)/ペア

REPRODUCER AUDIO Epic 4

SPECIFICATIONS
▪スピーカー構成:4インチ径ウーファー+1インチ径ツィーター ▪周波数特性:80Hz〜30kHz(±3dB)、65Hz〜40kHz(±10dB) ▪最大SPL:106dB ▪内蔵アンプ:クラスD、50W(LF)+50W(HF)RMS ▪クロスオーバー周波数:3kHz ▪EQ:HF-TRIM(2.5kHz<±5dB)、LF-TRIM(250Hz>±5dB)/いずれも1dB刻み ▪消費電力:300W ▪外形寸法:160(W)×240(H)×175(D)mm(1台/スパイク装着時) ▪重量:2.95kg(1台)

製品情報

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