今の音楽業界の実情を見て、新たに配信機能を追加したり機能を強化するライブ配信サービスが増えている。その一つがfanicon/fanistreamだ。ここではfanicon/fanistreamの運営会社、THECOOの代表取締役である平良真人氏とプロダクト・マネージャーの星川隼一氏に登場いただく。サービスが生まれた経緯、そして今後のライブ・ストリーミングの在り方について話を聞いた。
fanicon/fanistreamとは
特徴1
自分のコミュニティを作成でき
ファンが月額課金で入会する会員制
特徴2
写真の投稿やメッセージのやり取りなど
ライブ配信以外のSNS機能も充実
特徴3
月額課金だけでなく
投げ銭や物販機能などで収益を獲得
2017年に誕生したfaniconは、ファン・コミュニティ・プラットフォームとしてクローズドな環境になっているのが特徴だ。アーティストやタレントなどは“アイコン”と呼ばれ、そのアイコンのコミュニティに月額課金(金額設定可能)でファンが入会。コミュニティ内でライブ配信や写真や動画の投稿、グループ・チャットや個別でのメッセージのやり取りなどが可能になっている。スーパースタンプと呼ばれる投げ銭機能のほか、物販やデジタル・スクラッチ、ライブやイベント用チケット販売など、収益を得られる機能が多彩。最大60名が参加できるイベント・スペースも提供されている。ライブ配信はfaniconアプリ(iOS/Android)のほか、OBS Studioなどのエンコーダーを使ってコンピューターからも可能だ。新型コロナ・ウィルスの騒動を受け、“#ライブを止めるな!”というプロジェクトとともに、チケット制ライブ・ストリーミング・サービスfanistreamも発足。faniconの配信機能をオープンにし、コミュニティ以外の人たちもチケットを購入することでライブ視聴が可能になった。fanistreamの利用はfaniconへ問合せが必要となる。
Developer Interview
またライブができるようになったときに
より多くの人へ音楽を届けられる存在になりたい
—2017年よりスタートしたfaniconはどのように生まれたのでしょうか?
平良 faniconは有料会員制のファン・コミュニティ・プラットフォームです。我々はもともとインフルエンサー・マーケティングと呼ばれる、YouTuberやInstagramerなどのインフルエンサーと企業をつなぐ代理店のようなことをやっていました。そういう中で見えたのは、コアなファンだけが集まったクローズドなコミュニティが無いこと。例えば、僕は洋楽ロックが大好きなのですが、興味の無い人に幾ら語ったところで伝わらないじゃないですか。やはり、同じくらいの熱量を持った人たちが集まるというのが大切なんです。そういう場があったら良いなという思いから始まりました。
— “#ライブを止めるな!”というプロジェクトとともに始まったfanistreamは?
平良 新型コロナ・ウィルスの影響を受けているアーティストやエンジニアの方の力になれないかと考えていたタイミングで、ACIDMANのライブを配信したのですが、そのときに大木伸夫さんが“ライブをチケット制にできないのかな?”とおっしゃって。それを星川に伝えて、実質4日くらいで作ったのがfanistreamです。
星川 faniconはコミュニティ限定のクローズドなプラットフォームです。fanistreamではそれをオープンにして、アプリをダウンロードしてチケットを買えば誰でも見れるようにしました。
—投げ銭システムのライブ配信が多い中、チケット制でしっかり収益を得られるのはアーティストにとってもうれしいことですね。
平良 マネタイズの方法は、みんな悩んでいるところでしょう。投げ銭やチケット、オンラインでの物販、もしかしたらスポンサーを取ることもできるかもしれない。そうやってさまざまな方法で収益性は高められると思います。
星川 ライブで得られる感動をみんなにちゃんと届けたいと思ったんです。オンラインであっても、しっかりとした映像と音声システムを通して視聴者は素晴らしいパフォーマンスを見ることができ、それに対してお金を払う。そしてアーティストに還元される。実際のライブに近い体験ができるんだということを味わってもらいたいんです。
—新型コロナ・ウィルスの影響で、一気にライブ・ストリーミングの需要が高まったわけですが、今後はどのような展開を見せると思いますか?
平良 ストリーミングというコンテンツが常態化してほしいですね。例えば、行きたいライブのチケット抽選が当たらなかったとしても、配信のチケットを買えばオンラインで見られるとか。またライブができるようになったときに、より多くの人に音楽を届けることができる存在になればいいですね。
星川 リーチできていなかったところに届くということですし、すごく価値のあることだと思うんです。電子書籍と紙媒体が共存しているように、音楽ライブの世界でも同じことが起こるかもしれません。それを僕らが推し進めていきたいです。