2023年9月23日〜24日に開催されたイベント『サンレコフェス2023』にて行われた、5つのセミナーを動画とともにレポート! 9月22日、まさにサンレコフェス直前にリリースされたAVIDのiPadアプリPro Tools Sketch。従来のPro Toolsのイメージとは一線を画したループベースでの音楽制作が行える無料アプリだ。しかも、無料版のIntroを含むPro Tools全グレードにも同じ機能が新たに搭載された。そんなPro Tools Sketchをサンレコフェスでは国内最速で紹介。講師としてギタリスト/作編曲家として活躍する阿瀬さとし氏をお迎えした。
Photo:Hiroki Obara
Pro Tools Sketchで音楽制作
無料/有料を問わず数多くの音楽制作用iPadアプリがある中、新たにAVIDがリリースしたPro Tools Sketch。阿瀬氏は今年『GarageBandで遊ぼう!』を上梓したが、それ以降iPadを積極的に普段の作曲にも使用しているという。
「GarageBandは、何がどこにあるのか分かりづらく、階層が深いので、それを解説する本を作りました。一方でPro Tools Sketchはそんな説明が要らない。見た目で何がどこにあるかがすぐに把握できたんです」
そんな阿瀬氏は今回のセミナーのためにPro Tools Sketchだけで楽曲を制作。Cojokのボーカル、KcoがiPhoneで録音したボーカル・フレーズから8小節をクリップで指定し、これをループ再生させて展開を作るというアイディアを試した。Pro Tools Sketchだけで作ったとは思えない出来映えに、会場からは驚きの声が上がる。
「同じボーカルのトラックを複製して、片方はPro Tools Sketchのコンプレッサーやディレイをかけ、聴こえ方が変わるようにしています」
バッキング・トラックのピアノやストリングスは、Pro Tools Sketch内蔵音源のPlay Cellを使用。
「ピアノは長く演奏したものから4小節だけを切り出してループにしました。こうした作業は迷うことなく直感的に行えますね」
リズムは、Pro Tools Sketch用に用意された素材集Sonic Dropを読み込んで構築。さらに阿瀬氏が作りためていたビートも読み込むと、曲に合わせたテンポで再生される。既にDAWで音楽制作をしているユーザーも、いつもと違った視点で制作に取り組める点もメリットと言えるだろう。
こうして曲のセクションごとに制作を進めた後、画面上部のARRANGEMENTで並べて構成を作ることができるのもPro Tools Sketchのユニークな点だ。
こうしてiPadで作成した楽曲は、WAVへの書き出しはもちろん、.ptsketch形式でPro Toolsへ読み込むことが可能。従来のPro Toolsセッションとは別にPro Tools Sketchウィンドウが立ち上がり、セッションとのリンクやセッションへの流し込みが行える。前述の通り、無償のPro Tools Introにもこの機能は内包されているので、ぜひあなたの手でPro Tools Sketchに触れて、楽曲制作に挑戦してもらいたい。